5類へ移行 コロナと公明党=“文化芸術の灯”守る
自粛で苦しむ個人・団体に前例ない規模の支援
党文化芸術振興会議 浮島智子議長に聞く

2023/06/21 3面
 コロナ禍の影響で公演やイベントの中止などが相次ぎ、文化芸術関係者は深刻な打撃を受けました。苦境に直面する関係者の声を聴き、支援に全力を挙げてきた公明党の取り組みについて、世界を舞台に活躍した元バレリーナで、党文化芸術振興会議の浮島智子議長(衆院議員)に聞きました。


■窮状打開を後押し

 ――コロナ初期の公明党の取り組みは。

 浮島智子衆院議員 2020年2月以降、政府による自粛要請を受け、公演などの中止・延期が相次ぎました。4月には、活動の場を失った文化芸術関係者からの相談が殺到し、携帯電話が鳴りやまなくなりました。
 私も、バレリーナ時代に経済的に困窮した苦しい実体験があります。「収入がゼロになって生活できない」「役者の道を諦めるしかない」といった関係者の声を聴き、かつての自分と重ね合わせて涙が出る思いでした。
 公明党は「“文化芸術の灯”を消してはならない!」との決意で、音楽や演劇など各分野の関係者から実情を聴き、政府に支援策の策定と予算確保を強く働き掛けました。党青年委員会のユーストークミーティングでも関係者から声を聴きました。
 しかし、財務省側は、事業者の事業継続に向けた「持続化給付金」などで対応可能として、文化芸術関係者に限定した支援に消極的でした。当然、20年度第2次補正予算案の編成作業でも、予算確保の見通しが立っていませんでした。

 「苦しむ文化芸術関係者を何としても守る」。そう心に誓い、5月上旬の連休には休日返上で、実態把握への調査や、政府幹部らとの折衝を重ね、支援策のたたき台を作成。同19日には、このたたき台を基にまとめた提言を、自民党と共に、政府に提出しました。
 公明党は、持続化給付金などの対象から漏れる関係者が少なくないこと、裏方の技術スタッフなども対象に含めるために500億円規模の支援が必要なことなどを必死に訴えました。

■政府を説得し予算確保

 ――どうなりましたか。

 浮島 20年度第2次補正予算には、文化芸術関係者に向けた総額560億円規模の緊急総合支援策(スポーツ団体支援を含む)が計上されました。毎年の文化芸術関連予算の半分に相当する前例のない額です。
 これにより、フリーランスの芸術家や小規模団体の活動継続への支援事業が実施され、約8万件の支援が行われました【表中①参照】。
 支援の決定後、関係者から喜びと安堵の声が相次ぎました。当時、日本劇作家協会会長を務めていた女優の渡辺えりさんは「公明党は文化芸術が直面する窮状を理解し、関係者の苦労に寄り添い、その声を代弁してくれた。本当に感謝している」と語ってくれました。

 ――支援策以外では。

 浮島 公演やイベントには、音響、照明など技術スタッフの働きが不可欠です。コロナ禍では、行政の支援策の対象業種の指定などに活用される日本標準産業分類で、技術スタッフが「その他」扱いとなっていることから、雇用調整助成金などが受け取れない問題が浮き彫りになりました。
 公明党が国会質問などで改善を主張したことで、同分類が近く改定され、技術スタッフも含まれるようになる予定です。

■再興めざす活動を促進/子どもの鑑賞機会さらに

 ――21年以降は。

 浮島 ウィズコロナ時代に適した新しい文化芸術活動を後押しするための支援策を実現しました【表中②参照】。
 現在は、コロナ前と同じように公演やイベントが開催できるようになり、支援の局面が変わりつつあります。文化芸術の再興をめざし、新しく優れた活動への支援などを進めます。

 ――コロナ禍で、子どもが文化芸術を鑑賞できる機会も減りました。

 浮島 その通りです。子どもたちが一流の舞台公演に触れる機会をつくることは、一人一人の生きる力を育むとともに、中長期にわたって文化芸術を振興させていく観点から重要です。
 公明党の主張により、21年度から、18歳以下の子どもを対象に、オペラなどのチケット代を3万円まで全額無料にする事業を実施しています。また、一流の文化芸術団体が小中学校などを巡回して公演を行う事業も、再び各地で行われています。今後も継続・拡充をめざして取り組みます。
 文化芸術振興基本法(01年成立)の“生みの親”である公明党は引き続き、現場の声を聴きながら、関連施策の“リード役”をしっかりと果たしていく決意です。