2022年11月7日、「自治体DX・公民連携について」をテーマに、宮城県亘理町を視察させていただいた。

 

 

私としては、国としても取り組みを進めている自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)について、特にその推進手法に興味があった。

 

DXについてはWEBサイト等の解説では、デジタル技術によってビジネスや社会、生活の形・スタイルを変えることである…などの説明がある。仕事のやり方を大きく変える可能性のあるこの種の取組は、行政という分野では進めにくいのは当然だろう。

だからこそだと思うが、亘理町ではDXの推進にあたり、若い職員で構成するプロジェクトチームを新たに設置し、勉強会やツールの操作研修、新規ツールの導入可否の協議等を実施している。同町の正規職員は290名(保育士含む)で、そこからこのチームへ1割を超える39名が参加していることを考えると、役所として力を入れていることが伝わってくる。

 

DXは、取組みの前提として「まず業務改善からスタートするもの」と認識があったので、私からは、経験豊かな職員と新しい手法へのハードルの低い若手職員の意見の違いをどのように乗り越えているか、また大規模な予算をともなうデジタル化についてどのような庁内調整がおこなわれているか質問した。

 

これに対する責任者のご回答は、いずれの課題も、行革推進本部と同チームとの情報共有に努めつつ、よく話し合いながら進めているとの趣旨だったと受け止めている。規模の小さいなりの自治体の特性をうまく利用して、新しい時代の波に柔軟に対応しようとしているところはさすがだと思った。

 

(↓)亘理町役場は、かつて東日本大震災で被災しており、新たに建築された新庁舎を訪問しました。

 

(↓)新庁舎は保健福祉センターが併設されており、ふんだんに木材を使った温かみのある建物でした。

 

 

また、他の方の質問で、職員の私物スマホに連絡用のチャットアプリ(ロボチャットモバイル版)を入れることへのハードルをどう乗り越えたか、とあったが、これに対する回答(以下)には非常に感銘を受けた。

「私(責任者)自身、仕事で使うアプリを私物スマホに入れることに、当初大きな抵抗があった。しかし結局、3.11で大きく被災した自治体として、災害時の利活用を見越して取り入れたというのが、最大のポイントだ。このアプリを入れることはあくまで任意だが、今ではほとんどの職員が導入済みだ。ガイドラインは町として独自に作成している」とのこと(主旨)。
 

公務員なのだし公共の利益のために働くのは当然、というご意見もあるかと思うが、平時の今、災害時の対応を想定して、地域住民のために、役所の職員としてこうした決断をされるのは賞賛に値する。新しいデジタル化の波に果敢に挑戦する意欲は、この使命感に裏付けられていることを実感した。

 

(↓)亘理町の郷土資料館。JR常磐線の亘理駅に隣接している。この施設には、時間があれば立ち寄りたかった。残念!

 

(↓)この郷土資料館には立ち寄れなかったので、せめて公式サイトだけでも…と思い、拝見させていただきました。

 

★亘理町立郷土資料館★