13年目の冬
早いものですね。震災からもう13年ですが、私はここ数年、神戸、長田周辺の追悼イベントに足を運んでいます。
当時、私はABCのスタジオで生放送中にでした。照明が凄まじい音をたてて揺れ、頭の上に降ってくるか、と思ったその瞬間に揺れは止まりました。
スタジオ内は塵や埃でもうもうとし、いつの間にか放送は途絶えていました。
そんな、非日常の場での被災だったので、後になって、被災された方々の話を伺っても、客観的にしかその事実を受け止めることしかできませんでした。
被災された方々の心のうちを、理解することがなかなかできなかったのです。それは私の身内で不幸がなかったのも理由の一つかもしれません。
さらに、震災から10年以上経つと、当時の記憶も徐々に曖昧になってきてしまいます。
これではいけない、と追悼イベントに足を運ぶようになりました。
ロウソクに灯をともす人々に向けてシャッターを切っていると、震災に対して皆それぞれ、違った思いがあるのだ、ということを実感できます。
震災の受け止め方は一つではありません。
大事なのは、震災があったということ、そしてそれによって多くの命が奪われたということ、この二つの事実を忘れないことだと思います。