解剖学や生理学の理解が最終的に行き着くものは?? | 看護師国家試験という山を登りきれ!!

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看護師国家試験を受ける人に向かって、自分の体験談などを記録していきたいと思います。これが何かの役に立ったらよいなぁと思います。

前回の解剖生理の勉強 で、生理学の重要性を書きました。生理学を理解すると、『病理がわかる』『薬理がわかる』とも書きました。


でも、実はもっと有益なことがあります。とても重要なことです。

それは・・・・・・・解剖学や生理学を理解すると『覚える量が格段に減る』ということです。(この『理解する』ということについては、また後で書きます)


これは例をあげたほうがなんとなくですが、理解しやすいと思うので例を挙げてみます。

ネフローゼ症候群という疾患をあげてみたいと思います。(看護学生レベルの理解なので、医師からすれば「そんなの浅いよ」と思われてしまうかもしれませんが、まあそれはおいておいて・・・・。)


「ネフローゼの症状は?」と聞かれたら、①高タンパク尿、②低タンパク血症、③浮腫、④高脂血症の4つの症状があがります。


これをそのまま覚えようとすると『4つの単語をただ覚える』しかありません。


「こんなのはすぐに覚えられる!」という人がほとんどだと思います。


ですが、覚えなきゃいけないことが他にもいっぱい出てきます。次から次に覚えなければいけないことはたくさんあります。

すると、『どれがどの症状だったのかが、ごちゃごちゃになる』ことは予想できますよね。



実際にちょっとやってみましょう。


「糸球体はどこにありますか?」と聞けば『腎臓』。「腎臓は何をしていますか?」と聞けば、『身体の中の老廃物を捨てている。』ということは中学生・高校生やでも答えれるレベルですね。


一般の人ならこの程度の知識で十分なんです。学業を終えて、普通のサラリーマンが腎臓について考えることはまずないと思います。でも看護師はそれではいけないのです。



ではちょっと具体的にしていきますよ。(これは、ぼくがさまざまな本を読んで、いろいろな本の内容をまとめたものです。)

まず解剖学で考えます。

①糸球体は、腎臓にあります。

②糸球体には輸入細動脈、輸出細動脈があり、そこで濾過された物を『原尿』といいます。

③その後原尿は『近位尿細管』、『ヘンレループ』、『遠位尿細管』、『集合管』を経て排泄されますね。


次に生理学で考えます。

①糸球体は基本的には『捨てる』ことが仕事です。とにかくいろんなもを捨てます。

②尿細管は、その中から必要なものを身体に返す(再吸収)が仕事です。


深めていきます。

糸球体は基本的には捨てるのが仕事ですが、それでも何でもかんでも捨てていては、存在してる意味がありません。


糸球体は、『身体にとってどうしても必要なものは捨てない』機能を持っています。

捨てない=濾過できないです

濾過できない=糸球体の血管の穴を通過できないものです。

通過できないもの=分子が大きいもの

分子が大きいもの=血球、タンパク質、ブドウ糖なんです


つまり、糸球体は身体に必要な血球やたんぱく質は捨てません。

でもよく考えてみてください。

赤血球を捨てたら、『貧血』になりますよね。

タンパク質を捨てたら『栄養不足』になっちゃいますよね。

ブドウ糖はどうでしょうか?ブドウ糖を捨ててしまったら、『ATPが作れなくなってしまいます』よね。


だから、これらは濾過されることなく身体に残ります。


一方、電解質は小さいので、糸球体の血管壁を通過してしまいます。

でも電解質も必要ですよね。

なので、電解質を尿細管で再吸収するのです。



・・・・・・・さあここでちょっと発展させましょう。

尿検査を思い出してください。(毎年4月にやりますよね)


あれって尿潜血、蛋白尿、尿糖を調べませんか?

あの検査では(-)が基本的には正常ですよね。

ってことは出てしまったら、異常なんです。


ん????そうなんです、糸球体では赤血球、タンパク質、ブドウ糖は濾過できないからなんです!!
だから・・・・・・


『それが出ている=糸球体の機能が壊れている』可能性がある


ということですよね。



さあ、ここまできて、やっとネフローゼです。

ネフローゼは・・・・・糸球体の毛細血管の透過性が亢進と書きました。

つま『り毛細血管の穴が大きくなってしまい、本来は通過できないはずのたんぱく質が通過してしまう=濾過されてしまう=たんぱく質を捨ててしまう』」のです。


『じゃあ再吸収すればいいんじゃないのか?』と思いませんか?

でも、『タンパク質は本来は捨てられないもの=尿細管で再吸収する必要はないもの=再吸収するシステムはいらない=再吸収できない』のです。


これが理解できると、症状が理解できます。

①たんぱく質を捨ててしまうのですから、おしっこの中にタンパク質がでます。これを『蛋白尿』といいますね。

②体内のたんぱく質を捨ててしまうのですから、血液の中のたんぱく質は減ってしまいます。これを『低タンパク血症』といいますね。

③血液中のたんぱく質は膠質浸透圧を維持してますね。膠質浸透圧とは細胞内に余分な水が入らないように血管内に水を引っ張っています。これができなくなるので、細胞内に水が入って、細胞が膨らんでしまいますね。これを『浮腫』といいますね。

④身体の中のタンパクが減る=低栄養なので、身体は脂肪を分解して、栄養を維持しようとします。脂肪が血液の中に溶け出しますね。これを『高脂血症』というのです。


自然と症状がでてきましたよね。


このように、ただ症状などをひたすら覚えるのではなく、『一つ一つを解剖学、生理学から理解していく』ことが重要なんです。


生理学が理解できると・・・・・・ネフローゼだろうが腎不全だろうが、結局『腎がおかしいんだから、同じような症状がでるに決まってる!!!!』ということが自然とわかってきます


生理学が理解できると・・・・・・『ネフローゼで症状を覚えて、腎不全で症状を覚えて、腎盂腎炎で症状を覚えて・・・・』なんてことをするのではなく、『起こりうる共通の症状』を覚えて、あとはそれぞれの疾患で『特異的なもの』だけを覚えればいいということになります。

効率的に覚えられますよね。


これを繰り返していくと、最初は『点』なのですが、あるところで『線』になり、それがどんどん『立体構造』になります。

様々な病気が簡単に理解できるようになります。


最終的にはそれが『アセスメント能力』につながるのです。


国家試験でもアセスメント能力が重要になってきますよ。