19-1 パッティング・グリーンで過ごしてみる
パッティング・グリーンで費やした時間が、スコアを決める! 遊び感覚でもいい。ラウンド中にはしないことなども試してみることで「新たな気付き」が期待できる
トーナメントを観戦に行くと、プロのすごいプレーを目の当たりにできるのはもちろんですが、その練習ぶりを見ることもできます。プロが一体どのような練習をしているのか。
ショットの練習に興味が向くかもしれませんが、多くの方は、パッティング・グリーンでのプロの姿を見て驚かれると思います。
プロの多くは、本当にパットの練習に時間をかけます。あきれるほど、飽きずに、暗くなるまで打っている選手たちが必ずいます。
「パット・イズ・マネー」と言われるように、それが入るか入らないかで天と地の違いを味わうことにもなりかねないというのがパットです。そして、方向や距離の打ち分けの精度というものは微妙な感覚であり、日々ズレていく可能性があるということを、誰もが重々承知しているからでもあります。
だから、あれだけパットが入るのです。
日々、自分の感覚と実際の転がりにズレがないか、自分の向きとバランスで構えることができているか。自分の軌道、フェース向き、リズムで振れているかを確かめる必要があるのです。
そしてそれができていない場合は、いち早く修正に取り組み、悩みを解消し、自信をもってプレーに臨めるように準備する。そのために時間を費やしています。
こういう練習の機会は、一般のアマチュア・ゴルファーにはなかなかつくれないのも確かでしょう。でも、コースに行けば練習グリーンがあります。朝、少し早めに行ってじっくりと打ってみる。あるいは、終わったあとにしばらく打つ時間をつくられることを、強くお勧めします。
19-2 ラインには十分な幅があることを脳裏に刻もう
ホールにボールをかざしてみる。ホールはボールが入る十分な広さがあることを実感し、安心して臨めるようになる。入るラインの太さのイメージもできるだろう
カップ方向にスパットを見つけて打ち出す目標にするのもアリだが、逆側にスパットを設定するのも有効。スクエアに構えやすく、テークバックしやすくもなる
まず、ホールの「大きさ」についての感覚をつくっておきましょう。
ゴルフ規則で決まっているのは、ボールの直径が42.67ミリ以上、そしてホールの大きさは直径4.25インチ=約10.8センチということ。つまり、ホールはボールの直径の2.5倍もあります。
一升瓶の直径が10.4センチですから、ホールにすっぽり余裕で入ってしまうのです。一升瓶があれば練習グリーンのホールに突っ込んでみましょう。「ホールに入れる」と意識していると難しいと思えているとしても、この「一升瓶にぶつける」と意識したらどうでしょう。「あれ? 簡単に思える」と感じる人が多いようです。
ボールがホールに落ちる「ライン」というものは、ごく細いレールではありません。10.8センチの幅が使えるということを意識に深く刻み込んで、安心感を醸成していただきたいのです。
練習場で試していただきたいのは、この幅を体験することです。
どのくらい左右にズレていてもカップインするのか。例えば1メートルから打ち続けて、経験として記憶に刻んでください。
ラインに乗せるために、スパットをボールの先に見つけるという方法があります。わたしが推奨するのは、ボールの先ではなく、ボールの後ろにスパットを見つけておくことです。
こうするとターゲット・ラインが、目標からボールまでで終わらず、自分のカラダの前を通り過ぎる形になり、スクエアに立ちやすくなります。そして、それがバックスイングのガイドラインにもなるため、スムーズにストロークできるようにもなると思います。
17-3 「入るタッチ」にも幅があることを実感しておく
1メートルでもギリギリ落ちるタッチと、土手にぶつけて落とすタッチがある。その中間の強さなら入る。その「幅の広さ」を体感する。さらに曲がるラインでこれを行なうのもお勧め
方向性に幅があるように、入るタッチ=強さにも幅があります。これもぜひ実際に試して、体感しておき、安心感として頭に置いておくことを強くお勧めします。
まずは、ストレートなラインを選んで、やはり1メートルくらいから。
最後のひと転がりで入るタッチと、ギリギリ入らないタッチの違いを打ち分けてみましょう。
そして、普通に入るタッチ。
さらに強めて、ホールの向こう側の土手に当てて入れるタッチ。さらにもっと強いタッチでも真ん中に当てれば入ります。入らなくなるのは、どのくらいの強さなのかを確認してください。
タッチにも幅があることが体感できると思います。(また、副産物として、タッチを「強くする」とストロークがどちらかにズレるというクセが自覚することになるかもしれません)
この幅で、どちらも自在にイメージできるようにしておくと、グリーンの速さにも対応しやすくなります。速いグリーンでは、カップにギリギリ入れる感覚を使えばいいのですし、重いグリーンや高麗グリーンでは、奥の土手に当てるタッチを使えます。
方向の幅と入るタッチの幅が組合わさると、もっと面白いことになります。スライスライン、フックラインで同じことを試してください。タッチに応じて、ラインが違うことが分かります。これを体感しておくと、実際のプレー中に、イメージを出しやすくなっているはずです。
17-4 距離感を磨くには「立体感」を利用する
目標をオーバーさせる距離感。ショートさせる距離感。その中間にぴったりのタッチがある。それを素振りで感じる。練習では実際に目標を決めて1球目をオーバーさせ、2球目をショートさせ、3球目をその間で止める方法もおススメ
一般のアマチュア・ゴルファーの皆さんがなかなか練習できないもう一つの課題が、ロングパットでしょう。
これも、せっかくですからゴルフ場の練習グリーンで徹底的に、いろんなことを試しておきましょう。
何も考えず気持ちよく振って3球、転がしてみます。気持ちよく振れる場合、打球結果は、一定の距離と方向にそろうものです。これを歩測しておきましょう。
それがあなたの「基準距離」です。これを把握しておけば、行く先々のゴルフ場のグリーンのスピードが具体的につかめます。
ロングパットの練習は、プレー中と同じつもりで、しっかりとラインを読んでから打ってみます。歩測には賛否両論ありますが、ホールからボールまでを歩くことで、足の裏から情報をキャッチする感性も高められます。傾斜の度合いや硬さを感じることで、デリケートなタッチの違いを読み、表現できるようになってきます。
距離感を出すコツをお教えしておきましょう。
多くの人はホールだけを見て、距離感を出そうとしますが、なかなか難しいものです。そういう場合はまず、オーバーするタッチを出してみる。ホールの向こう側を見て、そこへ到達するタッチの素振りをします。次に、ショートするタッチを出す。ホールの手前を見てそこで止まるタッチを出して素振りをする。
そうすると、その中間のどこかに、ホールまでのタッチがあります。
ホールまでの距離を立体的に把握することで、打ち分けの感覚が出てくるものです。
また、素振りは、イメージのなかでボールを「打って転がす」ことが大切です。ボールが転がっていき、止まるまでを実際の転がりのスピードに合わせてていねいにイメージすること。その感覚の養成こそが、「タッチ」になっていくのです。
iゴルフナビ スコアマネジメントより