14-1 課題を持ってプレーしよう

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あえて選択肢を制限するルールでラウンドすることで、さまざまな気付きを得られることも多い。

 プロを目指してコースに在籍している研修生たちは、日々、同じようにラウンドしているわけではありません。「うまくなるため」には何をしたらいいのかを突き詰めて考え、自分の課題を克服するための「特別な」ラウンドをしているものです。

 それを、真似してみませんか。


 もちろん、多くの一般ゴルファーにとって、月に数回という貴重な機会は「常に本番。ムダにはできない」という心構えになるのも分かりますが、ムダにできないと考えるのであればこそ、「特別な」ラウンドを「本番」の間にもうけてほしいのです。「特別な」ラウンドは、あなたに上達のための「実体験から自分で気付くヒント」をたくさん与えてくれます。それは本で読んだ「セオリー」よりも、ずっと役に立つ内容です。


 同伴競技者が受け入れてくれないと実現できませんから、気心の知れた仲間とのプレーする機会がベターだと思います。同伴競技者も一緒に、同じルールでプレーすれば、ラウンドは盛り上がりますし、きっと「学ぶこと」も増えると思います。自分のプレーだけでなく、一緒に回っている人のプレーからも気付きを得られることが多いからです。


 例えば、一人でボールを2球打つというルールでラウンドしてもいいでしょう。これは、プロや研修生のラウンドではそれほど「おかしなこと」ではないのですが、一部では「許されないこと」と考える人たちもいるようです。こうしたルールでプレーするときには、コースの関係者に事前に目的を伝え、了解を得るようにしてください。


14-2 特定のプレーを必ず練習することになるルール

 ハードルが低く、取り組みやすいパターンとしては、通常のティグラウンドから、通常の14本のクラブを使い、一つのボールをプレーするなかで、条件をプラスするという形の「特別な」ラウンドでしょう。少し例を挙げます。


  ①パーオン禁止ルール 
 パーオン禁止ですから、パーオンしてしまったら1ペナで、ボールは拾い上げ、ピンとボールを結ぶラインの延長上でグリーン外にドロップしてください。


 パーオンさせずにパーセーブできるエリアを見つける力とともに行ってはいけないエリアを見分ける力、グリーン外の狙ったところに正確に運ぶ力、寄せワンを取れるアプローチの力、距離があってもパーパットをねじ込む力などが身に付きます。あるいは、ドライバーで距離を欲張らなくてもパーが取れるという新しいパーの取り方の感覚も得られるでしょう。


 ②バンカー経由ルール
 バンカーがあるホールでは、必ずバンカーに入れてからグリーンに乗せること。フェアウェイ・バンカー、ガード・バンカーのどちらでもいいので最低一度は砂から打つ。入れてもなんとかなるバンカーを見分ける力、バンカーへ狙って入れる正確性、多彩なバンカー・ショットが身に付くでしょう。


 ③地上戦ルール
 グリーンを狙うショット、アプローチで、キャリーを直接グリーンに落とすとワンペナになります。冬にグリーンが凍ると必然的にこの攻め方をしなければならないものです。また、全英オープンでよく見られる長いランを使う狙い方をすることで、グリーンの狙い方、寄せ方のバリエーションや使う番手の幅を広げられます。さらに、花道の幅や位置を意識した攻め方ができるようにもなるでしょう。


苦手なショットを多く経験することも、レベルアップへとつながっていきます。

 

14-3 さらに特殊な条件を設定し、技術を高める

 同伴競技者やキャディにしっかりと説明して理解してもらうことが必要となりますが、学ぶことの多い「特別な」ラウンドも紹介しておきましょう。

 ④右ダメ(左ダメ)・ルール
 ショットを右(あるいは左)に曲げると1ペナというルールにします。1打目(およびパー5の2打目)でフェアウェイを右に外すと1罰打で、拾い上げてフェアウェイ端から1クラブ・レングス以内の外側にドロップ。グリーンを狙うショットでも右(または左)に外すと1罰打。グリーンエッジから外側、50センチ以内にプレースしてプレーを続けます。
 18ホール続けて、すべて「右ダメ」にしてもいいですし、途中で右と左入れ替えるルールでもいいと思います。
 右ダメ・ルールならば、球を必ずつかまえる打ち方が身に付き、左ダメ・ルールならば、球を引っ掛けない打ち方が身に付きます。また、どのような場合、フェアウェイのどちらに外してもいいのか、グリーンのどちらに外しても大丈夫なのか、という発想ができるようにもなります。

 ⑤クラブ3本ルール
 スタート前に、使うクラブを3本(パターは除く)決めておき、そのクラブだけでプレーします。使うクラブは自由に選んでOKです。フェースを閉じて使ったり開いて使ったり、スイング・スピードを変えるなど工夫して距離を合わせることになり、「飛ばす打ち方」「飛ばさない打ち方」が分かってきます。限られたクラブで、多様なアプローチの状況に対応する工夫で、技術に幅と深みが得られるほか、ドライバーで飛ばして、パーオンさせるだけではないパーの取り方への理解が深まります。

14-4 自分のゴルフの新たな可能性を見つける

 ここから紹介するルールは、あらかじめコースに伝え、承諾を得てから実行してください。スロープレーにならないよう配慮しながら、プレーすることも大切です。

 ⑥一人ベストボール・ルール
 一人で2球ずつ打って進みます。ティショットで2球打ち、良いほうを選びます。2打目はその位置から2球。3打目以降も同様です。「あの1打がうまく打てていたら…。あの1打をミスしなければ…、という「たら・れば」の夢をかなえるわけです。ミスを帳消しにすると、どこまでスコアが良くなるのか、追求してください。あなたの潜在能力を知ることができます。
 あるいは、1球目でうまく打てたのなら、2球目はいつもならしない狙い方や打ち方をしてみる、といったこともできます。それが狙い方や打ち方の幅を広げることになります。また、「もう1球打てる」という余裕がナイスショットを生み出すという感覚も養うことができます。


 ⑦レディスティ・ルール
 男性ならば、レディスティからプレーし、どこまで良いスコアが出せるのかを追求してください。もしかすると、距離が短くても良いスコアが出せないかもしれません。その場合はどこに問題があるのか、今まで気付かなかった課題が見えてくるでしょう。
 レベルが上になってくると、このルールは「バーディ合戦」の様相を見せることになるでしょう。バーディの取り方を学び、バーディ・チャンスが続く状況でのメンタルの持ち方などを学ぶことができるものです。

 まだまだ、ほかにもお勧めしたい「特別な」ラウンド方法があります。また機会を見つけて、ご紹介しようと思いますのでお楽しみに。




IQゴルフナビ スコアマネジメントより