5-1 最終的な目標と途中の目標

 “自分の現在地”が100を切れたばかりという人が、「でもやっぱり目標は72です」と一足飛びに先を見て「パーオンしたい。だからドライバーは飛距離を出し、セカンドショットは正確に」と考えれば、力みを招いてミスを連発しかねません。


そのうえ「狙ったことができない、スコアを作ることはむずかしい」と考えて自信を無くしてしまうことにもなります。



 そこで、

「1打めは飛ばさなくていい。2打めも乗せなくていい。アプローチも寄せなくていい。ファーストパットも入れなくていい」


という考え方で臨めば、ボギーはかんたんに取れるということを体得していただくよう指導します。



実は、このようにして、「自分で狙ったことができた、スコアは狙って作れる」という成功体験を得ること。この段階を踏むことは非常に有効なのです。


 18ホールをボギーペースで回ることは、多くのプロが「だれでもできる」と断言している通りなのです。


(私も、『ゴルフの方程式「88」なら誰でも出せる! (GOLFスピード上達シリーズ)』(KKベストセラーズ)を14年11月26日に発行しましたので、ご笑覧ください)。



 しかし、「ボギーペースで90」はあくまで中間の目標に過ぎないものです。

72あるいは70台を目指す人にとっては、ここからどうスコアを伸ばしていくかを考えて第2のスタート地点になります。


スコアを伸ばしていくためのコース・マネジメント、スコア・マネジメントの能力のベースは、すでに「ボギーペース」を作る際に築かれたと言えます。「ボギーペース」は自分の組み立てで作ることができたという自信をもって、次の課題「パー」へ進みましょう。



パーの取り方のイメージを作ると、それが「自分のゴルフ」「自分のスタイル」になる。それを突き詰めることが、うまいゴルファーへの道と言える

5-2 72というスコアを目標に掲げよう

 420ヤードのパー4をボギーオンでいいなら、極端な話140ヤードを3回打てばいい、という計算になります。


この段階は「ボギーを狙いにいって、うまくすればパーも狙える」という感覚でいいでしょう。でも、この“現在地”からどのようにパープレーへと、進化させられるでしょうか。


 3打で乗せてファーストパットが遠くても、入れる。そのためのパッティング技術を高める。

 そのファーストパットをできるだけやさしくするため近くまで寄せる、またはやさしく狙えるところに運ぶ。そのためのアプローチの技術を高める。
 そのアプローチが打ちやすい場所を準備してやる。またはアプローチしなくてもいい、つまりパーオンするための、セカンドショットの質を高める。
 そのセカンドショットができるだけ打ちやすく、さらには乗せる確率が高まる距離に近づけるため、ティショットの精度と飛距離を高める。



 90から72に近づけていくための方法論は、このようにいくつもあるのです。そのどれを選ぶかは、あなた次第です。どれか1つを徹底的に磨く方法もありますし、まんべんなく高めていこうとする方法もあるでしょう。


 しかし大切なことは、どんな方法をとる場合であっても、「どのようにパーをとるか」というイメージがはっきりできていることです。


 この段階は「パーを狙いにいって、その一歩手前にボギーがある」。先ほどの感覚とはまったく違います。これならば、ボギーに終わったとしても、その先にあるパーのとり方は見えている。手の届く範囲に来ていると言えます。


5-3 72というスコアを手の届く範囲に置く

 90というスコアから、「まず3分の1の6ホールでパーをとって84を出し、さらに3ホールでパーをとって81。さらに3ホールで78……」という具合に、段階を踏んで上っていこうという考え方があります。地道で堅実な方法と思われるかもしれません。
 しかし、こうすることが逆に、いちいち84や81、あるいは80というスコアが「カベ」となって、乗り越えるのに時間と労力を必要以上に使ってしまう原因ともなりかねないのです。


 まずは、パーをとるイメージをもち、そこを目標にしてスタートしていいのです。ただ、思いどおりティショットが打てなかった、セカンドショットが打てなかったというときにスパッと切り替えて、大叩きしない攻め方を選ぶ。すでに身につけたマネジメントの力を生かせばできるはずです。
 そして、次のホールではまた気持ちを切り替えて、パーをとるイメージでスタートする。


 ピンチに陥っても大叩きを避けること。そして、予定どおりに行かなかったときに、気持ちを切り替え、ベストな選択肢を探し、切り抜ける。そして、再び目標とする「パー」に向かって新しいスタートを切る。結局は「1打1打でベストを尽くすこと」ではないか、と思われるかもしれませんが、「目標を明確にパーに置いている」前提が重要なのです。


ボールをテーブルの上で、縦に4つ乗せる。はじめから「4つ乗せる」ことを目指すと、2個め、3個めは「当然乗り越えられる通過点」と考えられ、実際に比較的容易に達成できるようになります。

しかし4つという目標ではなく、2つ乗せることを目標にすると「それ自体が難しいものになるのです」


ですので、ボギーを目標にしてボギーを取ることより、パーまたはバーディを目標にしてボギーを取ることの方が、はるかに優しいのです。



目標を設定したからといって、クリアしなければいけないものではなく、その目標次第で前提が変わり、行動が変わってくることが目標を立てる意味になってきます。



IQゴルフナビ スコアマネジメントより