高校の実質無償化が始まったのが2010年なので、今年で10年目ということになる。

それに加えて、今年の10月からは、幼児教育の無償化がはじまる。

 

子どもの体験活動がもたらす効果について学んだ大学院生時代、一方で僕は教育行政に関心が強く、フィンランドについての勉強もしてみたことがある。

 

フィンランド。

日本と同じように、義務教育は9年間、その後はほとんどの生徒が高校や専門学校に進学するという点も日本と似ている。

 

日本と決定的に違うのは、大学を卒業するまで授業料が全て無料というだけでなく、交通費、給食費、文房具代に至るまで全て無料ということ。

 

そして、幼児教育の環境。

フィンランドの保育園は公立が一般的で、保育料は収入と家族構成によって決定される。

 

待機児童が問題となっている日本とは違い、園児に対する保育士の数が多い。

また特徴的なのは、「エシコウル」。

僕が大学院生時代だから、もう15年も前の数字だが、その時で9割以上の子どもが、就学前の子どもが通うプレスクールに行く。

フィンランドでは、保育園では勉強することはなく、このエシコウルでアルファベットや数字の基礎を学び、就学に備える。

 

そう、フィンランドは、親の経済状況に関係なく、また奨学金で借金まみれになることもなく、本当に平等に学ぶことができる社会を作っている。

 

日本のように、保育園ができたら騒音が心配だとか言って自治会をあげて反対運動をするような社会とは、土台から違うのだ。

 

日本でも幼児教育が無料になる?

保育料が無料になることは好ましい。

しかし、様々な事情により現に保育料がかかっていない家庭でも、今年の10月からは一律で徴収される「給食費」で、逆にお金がかかるということが顕在化してきている。

 

そして、幼児教育も無料になった、義務教育はお金がかからない、高校も無料になった、という仕組みを作っても、その先に待っているのは、大学の学費という現実だ。

 

日本の学問のレベルがあがらないのは、学費が高いことと、就職活動の早期化がある。

 

最高学府である大学では、学問ということをしっかりやるべきだ。

将来の仕事に関係するか否かなどは関係ない。

ひとつの学問というものに、じっくりと向き合うべきだ。

それなのに、バイトをしなければ学費も払えない、教養科目が終わったらすぐに就職活動をしなければならない、そんな状況で、どうやって卒業論文に向き合えというのだ。

 

高卒で就職、専門学校で専門的ノウハウの習得、大学で学問の探求、それぞれの人生、それぞれ社会で果たす役割があるのだ。

 

日本よ、そろそろ小手先だけの教育政策をやめて、北欧の教育制度に学ぶべきだ。