サントリーの最高傑作

これはハッキリ言って事件だと思う。サントリー白州蒸溜所の
15年カスクストレングスだが、リフィルホッグズヘッド&
ウェアハウス中段とまで裏ラベルに印字されている。しかも、
それが極上の美味しさなのだ。

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昨今のウィスキー飲料市場は、ハイボール人気を受けて市場が
成長し、会社は山崎/白州ともに追加投資を決定しているが、
同じウィスキーでもこの追い風を受けている種類ものとは異なる、
いわば「純モルト」製品の方が美味しく本物なのである。

例えば、国内でライバル視されているニッカ・ウヰスキーの製品
には、ホッグズヘッド新樽のバニリックな個性が認められる
けれども、一般に樽の風味を色濃く出したければバーボン樽を
使うことが一般的であるし、ホッグズヘッドは熟成にばらつきが
大きいから、当たればカスクで陽の目を浴びるけれども、外れ
ればブレンド原酒として姿を見せることはなくなってしまうこと
が多い。

そういうなかで、リフィルホッグズヘッドを中段で熟成させたと
ラベルに印字することは、サントリーの製造技術に対する自信の
裏付け以外のなにものでもないだろう。これこそ国内トップメー
カのプライドというものだろう。素晴らしい!

肝心の味の方も充実していて、程よく樽香が出ながらも熟成感が
それを上回り、ピートを思わせるようなクセの強いドライなアル
コールとソルティなジリジリ感が、ストレートパンチを応酬し
ながらフィニッシュしていく、じつに味わい深くブレンドとは
異なるバランスの良さを構築している。

もし、これが完全に生産技術として管理されて、再現性を保証
できるのであれば、白州蒸溜所だけ独立して別ブランドを立ち
上げるべき、あるいは既存の白州の竹炭濾過を廃止して、真正
面から白州の実力を世に問うべき事態だと思われる。

なぜ、この素晴らしい商品を、もっと世に知らしめないのだろう?

本当にコンテストに出品する製品というのは、むしろこれでは
ないのだろうか?そういう奇跡の一本だと思う。

願わくば、メーカの意思決定者が本当に正しいディレクションを、
勇気を持って下してほしいと願わんばかりだ。

感謝!