蒸機の駆動力をコントロールするにはカットオフと加減弁の操作
とのふたつの要素がありますけれども、これらの組み合わせ方に
よって蒸機の動きは変わりそうなのだが、しかし複雑怪奇でよく
分からない。

そこで、ついにバイブル購入と相成りました。


蒸気機関車メカニズム図鑑

だいたいカットオフとか加減弁というだけで、他に見ない単語な
訳ですから、さらに実物は滅多にお目に掛かれない幻のような存
在とあらば、これはもう想像するより他ないような非現実的な話
になるわけです。

ですから、蒸気機関車EXなどを読んでいると分からないことだ
らけで頭のなかが「???」のようにハテナが並ぶような事態と
なります。


蒸気機関車EX

そこでメカニズム図鑑という禁断領域の解説本に手を出すことに
なってしまったということになるのですが、この書籍は日常的に
目にすることができる外観上のメカニズムだけではなく、ボイラ
の控のように言われなければ分からないようなことまで詳細に記
述されており、はては鉄道省の技官の方なのか、それともご自身
で設計されたご経験をお持ちなのかとすら思います。

またこの書籍の特筆すべき点として、「現在」という言葉が頻繁
に使われており、私たちの日常で近代蒸機といえば昭和10~20
年代の大昔を指すのに対し、この書籍ではその近代を「現在」と
記して、今も「現役状態」が進行中であることを主張しているこ
とが挙げられます。

一方、こちらといえばまったく進歩がなく、その辺りをうろちょ
ろしているような体たらくでして、ワルシャート式弁装置の動作
原理の理解までは至っておらず、シリンダーでの往復運動と走り
装置での回転運動との関係は分かりましたが、逆転機で切り替え
た心向棒の角度と動作開始時のクランクピン位置で本当に上手く
スムーズに動くのかどうか腹落ちしていません(泣)。

こうなってくると、一度とは言わず現場に足を運んでひとつひと
つ指差確認をしながら順を追って理解することが必要となってき
ますので、この手で触れるくらい近づいて診られる場所に行かな
いといけなくなりそうですが、ゆっくりとではあっても進歩はし
ているようで、給水温め器やボックス動輪の拘りは若干ゆるくなっ
てきて、それよりも広い視野を持って精緻な観察眼で進んでいけ
るのではないかと楽観的な希望を持つようになりました。

表紙を一枚捲るとこうあります。

「C57形蒸気機関車は、缶圧16kg/cm2の近代機として
1937~1947年にかけて総数201両が製造された。
四国を除く全国に配置され、特に九州では短期間ながら、特急
「かもめ」の牽引を担う。国鉄無煙化に伴い1975年に最後の
旅客列車牽引機にもなる。
2011年現在、動態保存機の1号機と180号機がそれぞれ
山口線、磐越西線を中心に活躍している。
細身のボイラーで優美な姿から「貴婦人」の愛称を持つが、スポー
ク動輪であったならとつくづく思う。」

また著者プロフィールには「父が国鉄職員であったこともあり
蒸気機関車に興味を持つ。」とあります。

そういえば、D51やC58の設計主任を務められた方は、この
本の著者と同じく細川さんといいましたね。

感謝!