寒中で寒い日が続きますが、瀬戸内の鮟鱇(あんこう)が手に入っ
たので、これ幸いと鍋を作って食べました。

寒い日の夜に魚介の鍋をやるなら、共の酒はクセの強いウィスキー
に限ります。タリスカーを呼んできました。

鮟鱇鍋とタリスカー

こういう時に、昔だったらボウモアを呼び出すのが通り相場だっ
たのですけれども、オフィシャルボトルの味が変わってしまって
役不足になったことと、こちらもよりピーティなものを合せたく
なったので、タリスカーにチェンジです。日本の魚に日本の酒と
拘る方は余市がいいでしょう。

タリスカーというウィスキーは、スコットランドはスカイ島唯一
の蒸溜所ですが、こんな地の果てのようなところから良質なウィ
スキーが極東の島国まで届き、しかも割りと容易に手に入るのは
ディアジオ社のおかげに違いなく、そもそもの品質については
蒸溜所が位置する場所と気候と水によるものでしょう。

TALISKER DISTILLERY

ボウモアが魚介鍋に対して負けるようになってしまったのは、土
地の産物としての個性よりも、市場で受け入れやすい特徴を優先
させて商品内容を変更したからで、結果アイラ島の食生活文化か
ら切り離された「より工業製品的な」ものに遊離したからです。

ことタリスカーについては、もちろん製造工程の一部は合理化さ
れ、モルトスターから製麦された原材料で仕込みを行っているの
でしょうが、いわゆる汎用品的なオプティック種ではないなど、
土地の個性を頑固に守った上で特徴を立てる強さが、そのままウィ
スキーの強さに表出している「より農産加工品的な」土着性こそ
が土地で取れた魚介類と同じ土俵に乗る資格になっています。

そのスコットランドの西の果てのウィスキーと日本の関門海峡の
鮟鱇との相撲は、上手投げで鮟鱇の勝ちでした。

感謝!