今年はピニンファリーナの80周年にあたる記念年だそうで、トリ
ノには博物館がオープンしたと聞き、秋のピエモンテはどんなに素
晴らしいかとランチアをいじりながら思いを馳せていました。

ピニンファリーナはイタリアのカロッツェリア界の王様で、自動車
デザイン界では女王様のように見えますが、自動車産業の拡張とと
もに役割が変化していき、今やカロッツェリアとはデザインスタジ
オという意味合いが強くなって、その認識を新たにするタイミング
であるということが、博物館オープンの意義に含まれているように
思います。

そういう、資本主義の拡張に伴う自動車の大衆化・一般化と、安全
性の向上が求められる等の自動車の社会的要求に対する最適化と、
産業商品でありつつも依然として大きな買い物である商品としての
魅力との間で求められるバランスの、ひとつのプロポーザルが生ま
れています。

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ピニンファリーナが素晴らしいのは、多くが過去を志向しているイ
タリアで、未来の姿を作り出しているからです。そこに人々は感動
し共感し希望を見ている。

このスタディがそのまま路上に舞い降りることは難しいでしょうが、
これがアマルフィやポルトフィーノの街を走り抜けるとき、人間が
今を生きることの喜びが表現されるからこそ、デザインが大切だと
いうことを再認識させてくれます。

Tante Auguri.