あれはまだアイルトン・セナが現役だった頃、F1サーカスのヨーロッ
パラウンド開幕戦にあたるイタリア・イーモラでのサンマリノGP
のことでした。

トサコーナーの手前にかかる黄色いサーキット看板にSINT2000のパッ
ケージと共に描かれていたのは、イタリアは石油公社Agipのブランド
シンボルであるキメイラです。

当時のAgipはスクデリーアの公式パートナーだったので、フェラーリ
の赤いサイドポンツーンには、火を吹く6本足の牡山羊が誇らしげに
掲げられていて、我が国でもそのチームの栄光とともにエンジンオイ
ルといえばAgipが相場なのでした。

ferrari641/2

F1ブームの勢いに乗って、極東の島国ではプリントされたアジップ・
ドッグが人心を掴みましたけれども、本国の看板のキメイラは一体
一体姿かたちが微妙に異なり、しかもそのラインが生きているのです。

そうです。イタリアのアジップ看板は看板職人による手描きだった
のです。

TVの画面を通じてその事実に気づいたとき、プリントでOKの他の
諸国と生きることに本物の情熱を求める彼の国の決定的な違いを見せ
付けられたように衝撃を覚えたものでした。

その衝撃は自分のクルマのエンジンでも同様で、Agipのオイルを入れ
たエンジンはフリクションが著しく低下しスロットルレスポンスよく、
媚薬の魅力に満ちた生き物のエンジンに生まれ変わったものです。

その後、スクデリーアのサプライヤーがAgipからshellに変わり、メ
ディアでの露出減少とともにAgipの製品展開にも変化がみられたか
らか、昨年からAgipのキメイラは親会社の公社を示すENIのキメイラ
にそのイメージスイッチを起こしています。

今週末にミラノ郊外モンツァで行われるスクデリーアのタイトルが
掛かった伝統の一戦では、そのタイトルの鍵を握る最終コーナーの
パラボリカで、例年同様キメイラがニケに代わって勝利の神を務め
ることになるでしょう。

Agipキメイラ


感謝!