家内とむすめが話している
四歳になったひよりのことのようだ

先々週末にコハルとヒヨリが
来た時に
家内はキティーちゃんの絵の付いた
ペットボトル
オープンナーを買った 



二人は家内の買い物に
付いて行って
自分達も欲しいとせがんだのだが
あいにく
店頭には商品が二つしか
なかったので
家内は姉のコハルに
「また、後で買ってあげるから」
と約束をして
二つのうちの一つを
ヒヨリにあげた

先週末にも
また二人が来て
コハルが
「ば〜ば、キティーちゃんの
買ってや!」
と念をおしたとき
テーブルの上には既に
キティーちゃんが二つ並んでいた

コハルがよろこんで
「ばーば、もう買うておいてくれたん?」
と尋ねたが
家内が
「前の時、ひよりが
持って帰るの忘れたみたいやで」
と答えると
「じゃあ、もう
コハルにちょうだいね?」
となし崩しにくる

「ひよちゃんに聞いてみなアカンよ」
家内は
コハルの攻撃を
一旦押しとどめて
ひよりを呼ぶと
「ひよちゃん、キティーちゃんの
オープンナーどうした」
と尋ねた

そのとき
娘もその場に居合わせたのだが
ヒヨリは
一瞬、考えたふりをしたあと
「ひよりのは、おうちに
置いてあんねん」
とサラリと答えたのだが
家内が
「これ、ひよちゃん
持って帰るを忘れたんだと思うよ
これひよちゃんのやわ」
と告げると

「あれ?!」
ちいさく驚いたあと
実に可愛らしい
ふくざつな表情をみせたんだとか

家内も娘も
その瞬間
(この子はなんぼ空気を読むんや)
と感じたという
ばーばに買って貰ったものを
無くしてしまったら
申し訳ないと
咄嗟に判断をして
嘘を言ったのだろうが
その嘘も
バレた時の驚きも
ばーばを傷つけたくない気持ちに
溢れて見えた
•••
ということらしい




ひよりは
喋り出すの矢鱈とが遅くて
三つになっても
ダンマリで
皆んながハラハラさせもしたが
思えば
言葉にはださなくとも
実によく
ものごとが分かっていた

言葉を発す代わりに
皆んな様子をじいっと観察して
自分なりに
状況の把握につとめていた
と思われるふしがあった



ひよちゃん!

••

ひよちゃん