先週末は、

来ない筈のコハルとヒヨリが

夕方になって

顔を見せに来たけど

ママもバァバもいたんじゃ

ジィジの出る幕は

ほとんどなかった。


さいわい

あれやこれやと他にする事が

山盛りだったから

気にはならなかったが

夜七時を過ぎた頃

コハルが

私の部屋に忍び込んで来て

「わッ!」

と大声を、だした。

脅ろかそうという魂胆だ。


私は

「おおっ!びっくりしたよ〜。」

といいながら

近寄ってくるコハルの顔を

眩しそうに見ると

「もう、かえるんか?」

と尋ねる。


すると

何かを思い出したかの様に

踵をかえすと

部屋をでしなに

「バイバイ」

と小さく手を2度3度振って

あとは急いで、

階段を降りて行った。


後日

家内が尋いてきた。

「コハル、このあいだ

律儀に

帰りの挨拶していったやろ?」


「うん、帰るんか?

って聞いたら

『バイバイ』って言うて

帰ってった。」


家内は

静かに笑っている。


(そう言うわけか)

私も

わかってはいたことだが

コハルの気持ちを

思いやると

『帰るんか?』

と尋ねたあの瞬間の

いいしれぬ

寂しさが

宝石のような輝きを伴って

蘇ってくる。