幸いなことに一昨日の台風は
この辺りに
大した被害をもたらすことなく
日本海を
北上していった。

それに気を取られて居た
と言う言い訳が
許されるはずもないが
家内が
昨朝、顔を合わすなり
「何か言う事はないですか?」
催促してきたのに
「・・あっ!誕生日おめでとう!」
とかろうじて
言葉を返す。
若い時分なら完全アウト。

この台風明けの
めでたい誕生日だのに
誰も祝ってくれ人も無いので
コハルを連れて
久しぶりに
近くの映画館に
映画を見に行くことになった。

コロナ前には
何度も通った場所だが
暫く来ない間に
チケット売り場の窓口に
お姉さん達の姿はなく
平べったい
モニターが並んでいる。

不安を覚えながらも
タッチパネルに触れてみると
先ずは座席の確保を
要求された。
椅子が並んだ館内の
見取り図が現れて
空席を示している。

(あれ?コハルは未就学の6歳
チケットは
いるのだろうか?)

しばし、悩んでいたが
考えた所で埒があかない。
咄嗟に
隣の子供連れのご婦人に
聞いてみた。

「さあ?分かりません。」
と言う返事。

助けを求めて
近くに居るはずの家内とコハルの姿を
目で探してみるが
近くにはゲームセンターがある。
きっと
あそこへ流れて行ってるんだろう
と思いながら
諦めて
モニターに向き直り、
取り敢えず次の矢印にタッチすると
な〜んだ
そこには料金表が
表示されたいた。
3歳から料金が必要とある。
コハルは千円だ。

久しぶりの映画館で
大迫力の映像とサウンドに
浸りながら
時折、うたた寝する
映画館は、気持ちがよかったが
出しなに
「面白かった?」
とコハルに尋ねてみると
「・・・」
返事が帰ってこない。

家内は
「2時間も、じっとしていな
あかんねんから、
偉かった偉かった!」
と誉めそやすものの
コハルにも
スッキリしない
思いが
多少あったようだ。