昨夜の晩御飯も

家内と二人きりの静かな

食卓だった。


孫達はまだ、

リョーコさんの実家に帰ったきり

明日には

帰ると聞いているので

この静かさも

残すところあと僅かだ。


夜、8時半を回って

帰宅すると

テーブルに用意されていた

大皿には

キャベツとウインナーが

盛り付けてある。


「学生のころころさぁ

隣の子が、

毎日毎日

茹でたキャベツをおかずに

持って来ていたんや。

それが

私、食べとうて食べとうて!

さぁ。

いっぺんだけ食べさして

もろてんや。」


なるほど

皿のキャベツは

柔らかそうだのに

どこにも焦げ目がないのは

そう言う訳か。


「ソースを掛けて食べんねんで!」


私が箸を手にすると

待っていたかの様に

テーブルの上の

ウスターソースの容器を

差し出しながら言った。


(あっ!なんか思い出しそう)


ソースをかけた

しなしなのキャベツ、を口に運ぶ

懐かしい味が

口一杯に広がった。


「キミちゃん、これ

めっちゃ美味しいわ!

なんか

学校の給食を思い出すなぁ。

これだけで

ご飯、おかわりできんで!

ウインナーが

とっても贅沢に思えるわ。」


そんな私を

家内は満足そうに

見ていた。