朝から設計室の

真ん中で

男達がワイワイ寄って騒いでいる

何事かと思ったら

なんのことはない

ゴキブリが出たので

皆んなして捕まえていたらしい。


私の机は

部屋の一番西の隅っこだから

まず、

こっちまでは逃げおおせて来る

ことはなかろうと

たかを括っていた。


案の定

5分後には

「捕まえました!」

の声が響いて

喝采が

あがってめでたしめでたし。


と思いきや

心配な一言

「あれ、死んだふりしてんのかな?」

とだれぞが

のたまえば

「そうそう、やつら

結構その手を使うからな!」

と相槌する輩もいる。


(そんなこというとらんで

はよ、

踏み潰したらええのに!)

何気なく

成り行きに

耳をそばだてていたが

ここは新喜劇か?


始末するに必要な

十分過ぎる時間があったはずなのに

なのに

突然

「あれ?おらんがな?・・」

「さっきまで、あったのに!

おらんようになってます!」

の掛け合いが響いた。


(大人3人がかりでの

この仕業とは

なかなかのもんだわい)

 

と思って

呆れ返っていると

その後も

捜索は続けられて

ついに

箒とちりとりを持った屈強な男が

捕まえてんのか

追いかけてんのか?分からん

身のこなしで

私の机の方に迫って来た。


少しの間

その辺りの椅子や

備品を動かして

ドタバタと追跡をしているようだったが

やっぱり・・


体の動きが

止まったと思いきや

少しの沈黙のあと

「逃げられました〜!」

敗北宣言。


たちまち

それまでの騒がしさが

ちぃさな物足りなさに変わり

私だけかもしれないが

いや〜な予感に

膨れ上がったいった。



さて

凡そ9時間後

日は暮れて

私は

ひっしでPCと睨めっこしていたが

ふと

左腕に何かを感じて

視線をやると

くそ〜ぉ

やっぱりやんか!


そんな流れになってる

気ぃしたんや!

おっきな真っ黒いゴキブリが

左腕に止まってる。


しかし

驚いたことに

このとき

不思議なほど冷静な私は

左腕のG君を床に払い落とすや

動き出す寸前の彼を

サッと5割の足の力で圧殺すると

意気揚々

ティッシュにくるんで

リーダーの元へ

報告に行ってしまった。


「Gさんメシ取りました!」