前回はなぜ大企業がトランスジェンダーやLGBTをしつこく推進しつづけるのか、という質問の答えをご紹介しました。
今回はその中で取り上げられていたCorporate Equity Index (CEI-企業平等指数)についてです。
CEIはHuman Rights Campaign(HRC)という世界最大のLGBTロビー団体が2002年に作りだしたもので、企業がどれほどLGBTの人達にフレンドリーな職場環境を提供しているか、を指数化したものです。
それがいつの間にか大手ファンドが投資先を決める重要な指標になってしまいました。100点満点を取ることで株価もあがるし、経営陣の評価も上がり、給料も左右される、という感じです。
そこで今回はHRCのサイトからCEIの審査基準を翻訳します。正直、HRCの要求がすごすぎて驚きました。なぜ大企業があそこまでLGBTQの人達に阿るのかがよく理解できます。
大まかにいうと、100点満点を取得するためには色々なことをやらなければいけません。その上で最大25点の減点事項があります。満点をとるためには、LGBTQの人たちを怒らせてはいけない、ということになります。そして彼らの要求はとどまることがありません。
「2023年の企業平等指数の審査基準」より。
2002年に開始されたHRC財団の企業平等指数(CEI)は、職場におけるレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアへの平等という進化する分野における米国企業のロードマップおよびベンチマークツールとなっています。同様に重要なのは、各企業が100%の評価を獲得できるようなリソースとコンサルティングを提供することです。
2023 年 CEI の評価基準
1. 労働力の保護(5点満点)
すべての業務において、性的指向や性自認・性表現がポリシーに含まれている(5点)
アメリカではすでに性的指向による差別は禁止されています。労働力の保護は非常に大事なことですが、法律を守る、というだけでは100点中5点しかもらえないようです。
2. インクルーシヴな福利厚生(50点満点)
福利厚生の基準を満点にするためには、それぞれの福利厚生が、福利厚生を受けることのできるすべての米国人従業員に提供されていなければなりません。複数の健康保険プランが利用できる地域では、少なくとも1つのインクルーシヴな健康保険プランが利用可能でなければならない。
- 同性・異性の配偶者医療・ソフト面の福利厚生の同等性(ポイント付与なし)
- 同性・異性のドメスティックパートナーの医療・ソフト面の福利厚生の同等性(10点)
- 性別に関係なく、配偶者やドメスティックパートナーの家族形成のための給付が同等であること(10点)
- トランスジェンダーに対する平等かつ除外項目のない医療保障保険 (25点)
- LGBTQ+ベネフィットガイド (5点)
福利厚生は企業にとって大きなコストですから50点の配分なのは理解できます。
アメリカは医療費が異常に高いです。日本と違って各企業が保険会社と契約を結んで従業員に健康保険を提供するのですけど、その際、健康保険料を企業側と従業員側で分担して負担します。さらに、実際にかかった医療費の一部も企業側が負担することになります。
これらを踏まえてツッコませてください。
まず、一つ目のブレットポイントの同性愛の配偶者に異性の配偶者に対するのと同等の福利厚生を与えることについてポイント付与がないことに注目です。
LGBTQ人権活動家たちはずっと「異性間で結婚できるのと同等の権利が欲しいだけだ」と主張しつづけてきました。なのにその権利を与えるだけではポイントは得られない、とはどういう事でしょうか?ストレートの人たちと同じ権利を得るだけでは足りないと考えていることがよくわかります。
三点目の「家族形成」について。初見では意味不明でした。配偶者ならすでに結婚しているのだからすでに家族です。ドメスティック・パートナーにしてもすでに福利厚生は言及されているのになぜわざわざ追加で言及するのか?と。
でも養子の事だと考えると辻褄があいます。正直、籍を入れる覚悟もないのに養子はとりたがるのには違和感しかありません。結婚より子供を育てる方が責任もコミットメントも重大なのですから。何故そんなに子供をLGBTファミリーに組み込む事にこだわるのでしょうか?
四点目。トランスジェンダーのための医療に25点も追加することにびっくりです。HRCにとって一番大切なのはトランスジェンダーの権利であって他のLGBはついでにすぎない、というところでしょうか?
ホルモン剤や性転換手術はアメリカでは多大な費用がかかります。地方都市で中古の家を一軒買える値段はします。(そしてこれは再手術しなくても済む場合です)貧乏人でもトランスジェンダーになれるように企業が支援しろ、というところでしょうか。体を改造するより心の問題を解決したほうが安上がりだし、体に負担をかけずにすむのに。
ここまでで55点分です。続きます。
3. インクルーシブな企業文化をサポートする(25点満点)
a. 4つのLGBTQ+社内研修と説明責任の取り組み(5点)
企業は、以下の要素のうち少なくとも4つを含む、多様性と文化的コンピテンシーに対する会社全体の持続的かつ説明責任のある取り組みを示さなければなりません:
- 新入社員研修で、差別禁止方針には性自認と性的指向が含まれることを明記し、それぞれについて方針を示す定義やシナリオを提供している。
- 管理職は、性自認および性的指向を個別のテーマとして含む研修(より広範な研修の一部であってもよい)を受け、それぞれについて方針を説明する定義またはシナリオを提供する。
- 専門能力開発、スキル研修に性自認や性的指向を統合する。その他の多様性および/または文化的コンピテンシーの要素を含むリーダーシップ研修にも。
- 専門能力開発、スキルベース、またはその他の研修にインターセクションリティを統合する(必須)
- シニアマネジメント/エグゼクティブの業績評価指標にLGBTQの多様性指標を含める。
LGBTQを応援しているよ!という振りをするだけで役員の報酬が良くなるのであれば、企業がこぞってLGBTを推進するのもうなづけますね。
でもなぜ性自認が性的指向と同じ扱いをされているのでしょう?
性自認という事は、医者が診断しなくてもある日突然自分で決断できる、ということです。結婚して子供もいるような男性が、ある日唐突に「自分は女だ」と宣言して女子トイレや更衣室を使い始めることもできるわけです。第二次性徴期を経験した男性に力で叶わない女性にとってはこんな人達は恐怖でしかありません。
性自認がみとめられてしまったら、本当に性同一障害で苦しんでいる方と、のぞき見したいだけの変態との区別ができなくなります。それでは本物の当事者の方が迷惑を被る羽目になるし、人権団体としては本末転倒ではないでしょうか。
さて、上記のポイントにでてくる「
インターセクショナリティ」。アメリカで良く耳にする言葉ですがイマイチわからないので調べてみました。
「人種、性別、階級、性的指向、性自認など複数の個人のアイデンティティが組み合わさることによって起こる様々な差別の現状に目を向け、マイノリティの中でもさらに焦点の当たりづらい差別を受けている当事者を可視化するための概念」だそうです。
「差別」されやすい要素を複数持ってる人は差別の度合いがより強いから可哀そう!ということ?たとえば黒人で麻薬中毒なトランスジェンダー女は「差別被害者」のヒエラルキー上では頂点にいる、というところでしょうか。
でもこんなコンセプトをたとえば会計とかプログラム言語の研修にどう統合するのでしょう?
…もうすでに満腹ですが「LGBTフレンドリーな文化」の要求はまだ続きます。
b. LGBTQ+のデータ収集の取り組み(5点)
- 年次または隔年で実施される匿名の従業員エンゲージメント調査や企業風土調査で、従業員がLGBTQ+であることを表明するための機会を与えること。
- 従業員の人種、民族、性別、兵役、障害状況を含むデータ収集フォーム(通常、従業員記録の一部として記録される)には、性的指向と性自認に関する任意の質問を含むこと。
- 理事会(または他の運営組織)メンバーの人口統計データ収集には、個人が性的指向や性自認、またはLGBTQ+だと報告するためのオプションが含まれている。
政府機関が人口調査するのはともかくとして、たかだか一NPOがデータ収集を強制的に求めることができる、ってすごいですね。
企業上層部のLGBTデータを求めるのは理事会や役員会内、取締役にもLGBTの人がいないと差別だ、と騒ぐためでしょうか?
c. トランスジェンダーにインクルーシヴなのベストプラクティス(5点)
- 性移行を支持するトイレ、服装規定、および文書作成に関するガイダンス(註:大人になって「実は心は女でした」と言い出す人が心地よく性転換できるようにするための環境を作れってことらしい)
- 以下のポリシーまたはプラクティスのうち、少なくとも1つを実施していること。
- トランスジェンダー専用トイレ/施設ポリシー
- 性別にとらわれない服装規定
- 性別の代名詞を任意で共有することを認める方針/手順
またトランスジェンダーのための加点ですね。
d. LGBTのための従業員グループ -またはダイバーシティ協議会が存在すること (10点)
LGBTQの人たちが差別なく働ける保証や同性愛の配偶者の福利厚生には1点も加点されないのに、LGBTQの従業員グループの作成に10点も加点がある、という事がひっかかります。
これは中国共産党が中国に籍を置く会社に「中国共産党」のグループをつくらせている様子を彷彿とさせます。LGBTの人権活動家ってみんな左寄りだし社会主義者が多いですし、毛沢東を崇拝したりしていますから真似しているのでしょうか?
HRCの子分組織を社内に作って社内の動きを監視させたり、上層部に要求を通すことが目的かもしれません。
ここまでで80点分です。
4. 企業の社会的責任(20点満点)
a. より広範なLGBTQ+コミュニティに対するアウトリーチまたはエンゲージメントの5つの明確な取り組み(15点)
企業は、以下のうち少なくとも5つを含む、会社全体に及ぶ継続的なLGBTQ+に特化した取り組みを実証する必要があります:
「以下のうち少なくとも5つを含む」とありますが、最初から5つしかありません(笑)
- LGBTQ+の応募者がいることを証明したLGBTQ従業員採用活動(必須書類には、採用イベントの簡単な要約や応募者数の推定が含まれます。)
- LGBTQ+と認定された取引先を取り込む努力が実証された取引先多様性プログラム
- LGBTQ消費者に対するマーケティングまたは広告(例:LGBTQ+コンテンツを含む広告、LGBTQメディアへの広告、LGBTQ団体やイベントのスポンサーになるなど)
- 少なくとも1つのLGBTQ+団体やイベントへの慈善的支援(例:金銭的支援、現物支給、プロボノ支援など) *「プロボノ支援」とは各分野の専門家が持っている知識を無償提供して社会貢献すること。
- 地方、州または連邦の法律またはイニシアチブを通じて、法の下でのLGBTQ+の平等に対する公的支援を実証している。
b. LGBTQ+の企業の社会的責任
請負業者/サプライヤーの非差別基準および慈善寄付ガイドライン(5点)。
色々な企業が毎年6月になるとレインボーカラーのロゴに変えたりする理由はこれでしたか。
性的指向は個人の自由だと思っていましたけど、LGBTQを支援することが「社会的責任」扱いされるのですね
ここまでで100点満点になります。
ここまでやれば十分以上じゃないの?とおもうのですが、彼らはこれでは満足できません。「減点基準」があります。
ここがHRCが「マフィアのように企業を脅し管理している」と評される部分でしょう。
4. 責任ある市民活動(-25点)
雇用主は、最近の記録で大規模な公式または公的な反LGBTQの傷がある場合、スコアから25点減点されます。この基準のスコアは、以下のようなトピックに関連してHRCが注目した情報に基づいています(ただし、これらに限定されません); 企業の慈善寄付を、LGBTQの平等に反する提案を主な使命とする団体に向けること; 包括的な職場方針の採用を奨励することを合理的に目的とした株主総会決議に反対すること; LGBTQに関するインクルーシヴな方針または実践を取り消すこと、または雇用主のLGBTQ雇用方針書に反する実践に従事すること。
「LGBTQの平等に反する提案を主な使命とする団体」というとキリスト教系の団体でしょうけど、企業による寄付金の行先まで指図する傲慢さが凄まじいですね。自分たちは企業から金をもらって肥え太り、自分たちの考えに反対する人たちは兵糧攻めにしよう、とする意図がうかがえます。邪悪さを感じてしまうのは私だけでしょうか。
「減点」といえば、前回の記事に出てきたバドライトの親会社であるアンハイザー・ブッシュ社はHRCから減点処分を正式に受けました。
売り上げが25%減ってアメリカ1のビールの座から引きずりおろされ、親会社の市場価値が10億ドル以上下落した後でも、ディラン・マルバニーに対する支持を表明しつづけるべきだった、とのことです。要求だけつきつけて責任を取らずに済むのですから気楽なものですね。
アンハイザー・ブッシュ社これまで何年間もLGBTQの正常化に多大な貢献をしてきたのにその忠誠心は無駄だったようです。
次で最後です。
ポイント配分
企業は0から100までの尺度で評価され、各基準を満たすと一定数のポイントが与えられます。HRC財団は、特定の基準の一部を満たした事業主に対して、引き続き部分的にポイントを付与する予定です。
タイムライン
以下の日程は計画上のものであり、変更される可能性があります:
2022年の暦年の間、CEIチームは新基準に関する雇用主への啓蒙活動に力を注ぎます。2023年春まで、CEIの新しい調査は実施されない予定です。このスケジュールにより、新基準に関する雇用主への追加教育に多くの時間を割くことができるようになります。次のレポートは2023年11月に発表される予定です。
「新基準に関する雇用主への啓蒙活動」って。。。

きっとHRCを「コンサルタント」として雇って社内教育させるのでしょう。いい商売ですね。
この基準が出来たのは20年前ですが、これまでに何度か追加・変更がなされています。現行のもので終わり、ということはないでしょう。彼らの要求はこれからも大きくなるのに違いありません。
差別は良くない、というのには賛成しますが、彼らの要求をすべて認めてしまうと女性の安全や権利が脅かされることになります。
実際にアメリカでは、手術してないトランス女のアスリートが全裸になって着替えたことに文句を言った女子高生が「不安を感じることがおかしい」と教育を受ける羽目になっています。トランス女を女性用の牢屋に入れたら同部屋の女囚人がレイプされた、という話はいくつもでているのです。
ちゃんと線引きしないといけません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。