益田ミリさんの『今日の人生3 いつもの場所で』を読みました。


ページをめくるたび、日常のさりげない瞬間が優しい筆致で描かれていて、心がじんわりと温かくなりました。


華やかでも特別でもない、むしろ何気ない日々——コーヒーを飲んだり、パン屋さんでパンを買ったり、ふとした会話にモヤッとしたり——そんな時間や感情に、作者の静かなまなざしがそっと寄り添ってきます。


この「何気なさ」を美しいと感じられる自分も、少し大人になった証なのかもしれません。


『今日の人生3』は、2020年10月から2024年1月までのエピソードを収録していて、ちょうどコロナ禍の時代とも重なります。


マスク越しで笑顔が伝わりにくかったあの頃の記憶、外出を控えていた不自由な日、そしてそれでも歩んでいた暮らし——そんな「当たり前が失われる日々」の記録も、やわらかく描かれています。


読み返すと「あの頃こうだったな」と自分の思い出も自然と蘇る。


本当に、一人一人の「今日」が積み重なっていく尊さを改めて感じずにはいられません。


この本の好きなところは、大きな感動や笑いではなく、じんわりとした共感と安心が広がるところです。


「人間だもの、こんな日もあるよね」と素直に思える。益田さんの作品は、日常の小さな気づきや揺らぎを受け止めてくれるお守りのようだと思いました。


肩の力を抜いて、静かに自分の「今日」と向き合いたいとき、そばに置きたい一冊です。