こんにちは!
京都ペレット町家ヒノコのスタッフNです。
今週はずっと雨かなあ、なんておもっていたら、まさかの5月中の梅雨入り。まだもう少し、初夏が続く気分でいたのでびっくりですねー。
とはいえ、アジサイもあちこちで見頃ですし、雨は雨でまたいいもの。雨に濡れる新緑に癒されつつ、梅雨を楽しく過ごしたいものです。
さて、ちょっと間が開いてしまいましたが、野鳥のお話第2弾。
前回は鳥の種子散布について書きましたが、今回は虫たちと鳥の話。
今ちょうど、子育てがひと段落した鳥たちも多いようで、身近なところでは巣立ったばかりの若スズメが、親に餌をねだっている姿が結構あちこちで見られます。まだくちばしが黄色っぽくて、なんとなく羽毛がぼさぼさしていてめっちゃ可愛いです(笑)
スズメは普段から虫も食べますが、シジュウカラやヤマガラなど、普段植物の実などを主食とする鳥も多くいます。
が、やはり子育て時期には、たんぱく質が必要!ということで、ちょうど同時期にモリモリ新緑の葉を食べる虫たちは、子育て母さん父さんにとっても、ヒナたちにとっても大事なご馳走。
樹木にしてみれば、せっかくこれからお日様燦々の季節に向けて、新しい葉っぱをたくさん出して、さあ光合成しまくるぞ!と思っている矢先に、食欲旺盛な虫たちに大事な葉っぱを食べられてしまうのですから、たまったものではありません。
そこで、またまた食用旺盛な鳥たちがその虫を餌としてくれるので、樹木にとっては万々歳。
話によると、シジュウカラは1度に10羽程度のヒナが孵り、親鳥は5分に1回ペースで餌(=虫)を運ぶそうで、これは約3週間続きます。しかも、シーズン中は2~3回くらい子育てをするとのこと…。つまり約30羽のヒナが育つために、膨大な数の虫たちが鳥のお腹に収まります。(何匹の虫が食べられるかの計算は、読者の皆さんにおまかせします・・・)
けれど、虫も負けじと膨大な数が生息していて、それぞれが多くの卵も産んでいるので、全滅することはまずありません。
それに、例えばシジュウカラは、先述したように1つがいから30羽程度のヒナが育つわけですが、その子たちが生き延びる可能性はごく低く、30羽のうち2羽が生き残って、次の春に子育てをできる、という程度の確率なんだそうです。
なので、大局的にみると、鳥が増えすぎて虫を食べつくしてしまうこともなく、虫が増えすぎて木が枯れることもなく…それぞれが絶妙な数と生態のバランスを保って生きているわけです。
特に、シジュウカラやヤマガラなどは、営巣した木がエサ捕り場になります。なので、虫がついたからと言って、木に薬をまくなどして虫が全滅してしまうと、その木に営巣した鳥たちにとってはまさに死活問題。
虫には虫の存在意義があるわけで(鳥のえさになる以外に、ですよ、もちろん。虫がいなければ森の生態系はみるみる崩れます)、人の勝手な都合でバランスを崩してしまうと、それはもう虫だけの話ではすみません。
エゴノキが満開でした。この木の種子もヤマガラの大好物。
あ、あと面白かった話がもう一つあって、それはエナガのこと。
冬場、葉を落とした木にエナガがよく群れでやってきて、ピーチクパーチクにぎやかな光景をよく見ますが、あれじつは、冬芽の付け根に産みつけてある虫の卵を食べているのだそう。
虫は、冬芽から新芽が出た時に、生まれた幼虫が柔らかくて新しい歯をすぐ食べられるように、と冬芽の付け根に卵を産むのだそうですが(これもまた、すごい戦略!)それを知っているエナガは、冬の貴重な食料として食べているわけですね。
それは、やっぱり木にとっても助かることで、春先にせっかく出した葉っぱをすべて虫に食べられてしまう、というリスクが大幅に減ります。
卵を産む虫がいなければ鳥は育たず、鳥がいなければ木は育たず、木がいなければ鳥の住処も虫の住処もなくなり、そもそも土壌も豊かにならず、酸素も生まれない。
欠けていいものは何一つ自然界には存在しなくて、何かが増えすぎても減りすぎても、健全なバランスは保たれません。
鳥と木と虫たちと…ごく身近なところで生きる彼らから、生物多様性とか、生態系のバランスとか、言葉だけでは得られない大切なものを教えてもらえた、そんな野鳥研修会でした。
先生が持ってきてくださったメジロの巣(使用済み)。枯れ草などを使って形を作り、外側を苔で覆って、クモの巣の糸や繭糸で縫い合わせ?てあるのだとか!!