〔第1問〕(配点:3)
学生A,B及びCは,弁論主義の根拠に関する次のⅠないしⅢの【見解】のいずれかを採って後記【事例】について後記【会話】のとおり議論している。学生とその採る見解を対応させた場合、その組合せとして最も適切なものは、後記1から6までのうちどれか。(解答は,コメント欄に記入)
【見 解】
Ⅰ.通常の民事訴訟は財産関係をめぐる紛争をその対象としているが,この財産関係に関しては私的自治の原則が認められ,当事者の自主性・自律性を尊重されている。それと同じように,財産関係をめぐる紛争につき裁判をする際にも,その裁判の資料(事実と証拠)について当事者の自主性・自律性を尊重したのである。
Ⅱ.財産関係をめぐる紛争において最も強く利害関係を感じるのは当事者であるから,その当事者にそれぞれ自己に有利な資料の提出の責めを負わせるならば,客観的にも十分な資料の収集が期待でき,労少なくして真実を発見しやすい。
Ⅲ.弁論主義を一つの視角のみから説明するのは困難であり,民事訴訟の本質的要請,真実発見のための合目的的手段,不意打ち防止,公平な裁判への信頼確保など多元的要請に基づいて認められた歴史的所産である。
【事 例】
裁判所が審理した結果,当事者たちの主張していない事実であるが,そのうちの一方にとって有利な事実の存在が判明した。裁判所は釈明権を行使してその事実の存在を当事者に示唆したが,その当事者がどうしてもその事実の存在を主張することを肯んじない。
【会 話】
学生A.まず,この事例において,裁判所がこの事実を判決の資料に加えてはならないという点に争いはないよね。
学生B.もちろん。弁論主義を採用する以上,当然の結論だよ。
学生C.そうだね。不意打ちにならない限り弁論主義違反の問題を生じないという見解に立てば別だけど,ぼくもその点に異論はないよ。問題は,弁論主義の下では,なぜ,この事例において,裁判所がその事実を判決の資料に加えてはならないのかだ。
学生A.ぼくとB君の見解からは,同じ説明をすることになると思う。どうかな,B君。
学生B.そうなるね。この事例では,裁判所が釈明権を行使してその事実の存在を当事者に示唆している以上,不意打ち防止の要請は十分に満たしているから,A君と同じ説明をすることになりそうだ。ところで,C君の見解からは,この事例を説明できないんじゃないかな。
学生C.そんなことはないよ。ぼくの見解からは,この事例において,裁判所がその事実を判決の資料に加えてはならないのは当事者が主張しない事実は不真実な事実と推定できるからと説明することができるよ。だから,B君の見解に立った場合,A君の見解からの説明と,ぼくの見解からの説明の両方をすることになるはずだ。
1.学生A-Ⅰ 学生B-Ⅱ 学生C-Ⅲ
2.学生A-Ⅰ 学生B-Ⅲ 学生C-Ⅱ
3.学生A-Ⅱ 学生B-Ⅰ 学生C-Ⅲ
4.学生A-Ⅱ 学生B-Ⅲ 学生C-Ⅰ
5.学生A-Ⅲ 学生B-Ⅰ 学生C-Ⅱ
6.学生A-Ⅲ 学生B-Ⅱ 学生C-Ⅰ