話を戻します。
入院中の治療は、ムチウチに対するブロック注射、右手麻痺に対するリハビリ、PTSDめいた症状への薬物治療などが主でした。
麻酔科とリハは隣同士にあって、意外とくつろげるというか。なれるというか。
そんなある日、麻酔科に入り浸っていた鍼のインターンみたいな胡散臭い男性がいた。すごくゴリ押しされ、とうとう頭に無数の鍼を刺されたことがある。ヘルレイザーだこれ、と思った。
「絶対、痛みが軽減するから」って真っ赤な嘘だった。
そもそもいちいち軽口叩く軽薄な奴だったから、効果なくて安心した。
主治医の麻酔科の先生は、イケメンではないけれど、背が高くて姿勢もよく、優しい人だった。病室に先生が来るときは、心なしか病室のお姉さま方がそわそわしていた。「Kちゃんの先生ってカッコいいよね~」と抗がん剤治療してるミセスが笑ってた。
本当にあの病室は、皆が明るかった。笑い声が耐えなかった。
今もみんな元気だといいな。
ほどなく、私は退院した。