ストーリー物の動画を作るとき、感情表現ってとても大切だと思います。
僕は、Second Lifeで動画を作れると聞いたとき、人の表情を表現できるのかどうかを最初に気にしました。
表情が自由に作れないのなら、セカンドライフでマシニマを作り始めなかったかもしれません。
もちろん、表情以外でもたくさん感情を表現する方法はありますが、今日は表情の話に的を絞って書きたいと思います。
動画で表情を作るなら以下の3つの方法がメインになると思います。
A.カメラアングルや身体のポーズで変える
これは、同じ顔でも上から見下ろすのと下から見上げるのでは、見え方が変わったりすることを利用したものです。
僕が初めて作った動画では犬アバターを登場させたのですが、うなだれさせたりすることでちょっと寂しそうに見せたりと工夫をしました。
B.アバターのシェイプで変える
セカンドライフはアバターのシェイプ(容姿)を自分で変更できます。
顔のつくりも目を大きくとか、鼻を高くとか、口の位置とか、色々変更できます。
それを利用して、同じ顔なんだけど、口の位置を少し下げることで普段の顔よりも機嫌を悪そうにしたり、目を大きくすることで驚いているような顔にしたりとすることが出来ます。
手間がかかる方法ですが、表情豊かに表現したいときには有効な方法だと思います。
「のりかえの合間に!」という動画では、登場人物がしゃべっているシーンが多かったので、見ている人が飽きないように表情をころころ変えました。
そのため、あらかじめ主要登場人物は怒った顔用のシェイプ、笑ったとき用のシェイプ、悲しい顔、などいくつか用意していました。
C. HUDで作る
SecondLifeには、アバターの表情があらかじめ用意されています。
その表情をコントロールする方法はいくつかあると思いますが、僕はHUDと言われるもの使っています。
↑僕がメインで使っている表情HUDです
ボタンを押して表情を選択します。
複数の表情を組み合わせることもできます。
セカンドライフのアバターの表情は大げさすぎて嘘っぽかったりするからです。
それと、歯がくちびるから飛び出したりすることもあるからだと思います。
repulsed (嫌悪とか拒絶)の表情↑
3枚目の「嫌悪」の顔写真は下唇のしたに何か白いものが見えますよね。これは歯が肉を突き破って出てきてしまっているのです。
disdain(軽蔑)の表情↑
4枚目の軽蔑もちょっとやりすぎかなぁという気もします。
こういう顔をするときもあるかもしれませんが、なかなか利用する機会は少なそうです ^^;
もうちょっと抑えめな顔なら使えるのになぁ…。
でも、表情が嘘っぽかったり大袈裟だったりするのや、歯が飛び出て顔が崩れてしまったりするのを防ぐ方法が2つあります。
まず1つ目は先に書いたAとBの方法を組み合わせる方法です。
例えば、一番簡単なのは3枚目の「嫌悪」の顔の時、カメラをすごい寄って口元が映らないようにしたり、カメラは寄らなくても手前に人や物を置いて、顔の半分しか見えないようにしたりすれば解決です。
これはAのカメラアングルやポーズで表現する方法との組み合わせです。
でも、そんな都合よくいつもうまく隠せるわけではないですよね。
そういう時は、Bとの組み合わせはどうでしょう?
嫌悪の表情をするとき用にあらかじめ下あごを少し引っ込めたり唇を厚めにしたシェイプを作っておくのです。
そうすれば歯が飛び出してしまうことは防げます。
また、大袈裟すぎて嘘っぽい表情もこれらの方法である程度回避することができます。
これも悪くはないのですが、もうちょっと抑えめの顔にしたい。そう思い、Teeth smile(歯を見せる笑顔)の表情を試してみると下の写真になります。
このteethsmile(歯を見せる笑顔)は結構良いのだけど、でもこれよりはもうちょっと笑ってほしい。
LaughとTeethsmileの中間くらいがいいのになぁ。
ちなみに、LaughとTeethsmileの組み合わせも試してみました。
これでもいいかなと思ったのですが、ちょっと口の形がアヒル口っぽくなっていて、それがあまり好きではなかったので、没にしました。
さて、こういう時、シェイプを編集して、口を大きく、そして口角を上げ、目を細くしたシェイプにしてからteethsmileにすると下の写真になります。
最初のteethsmileとLaughの写真の中間くらいの笑いの表情になったのではないでしょうか?
もう一つの方法は、合成する方法です。
下の写真は実際に今作っているマシニマの画像なのですが、怒っている顔をしています。
怒っている表情は無条件で口が開いてしまいます。
でも、口は閉じさせたいのです。
口を閉じさせるのは表情HUDではコントロールできません。
下の写真は全く同じアングル同じポーズで表情を作らなかったものです。
この閉じている口を怒っている顔に合成してしまえばいいのです。
まず、上の写真(怒った顔)の目元の部分だけ切り取ります。
下の写真は編集ソフトの Adobe Premiere Pro というソフトで切り取ったところの写真です。
切り取り方はなんでもいいですが、今回はクロップと言う機能を使いました。
この切り取った目元の写真をさっきの普通の顔の画像に合成すると下の写真になります。
怒っていて、でも口は閉じている顔です。
セカンドライフ上で表現できなくても、動画なら編集で表現できます。
この方法は静止画ならとても簡単です。時間もあまりかからないです。
また、不透明度をキーフレームで徐々に変更すると、最初は普通の顔だったのに、だんだんと怒った表情になる。
そんなシーンも作れます。
けっこう違和感なく表情がだんだん変わっていく感じに見えるので、僕はよくこの方法を使います。
下の動画の2分47秒から2分48秒のあたりの表情変化はこの方法です。
ですが、動画の場合、人物が動いたり、カメラが動いたりする場合もあると思います。
その場合アバターの動きを全く同じにして、カメラの動きも全く同じにしても、ただのせただけではうまく重ならないことが多いです。
そのため、切り抜く方法は境界をぼかせるものが便利です。
そして、1コマ1コマ確認してずれているコマがあれば修正します。ぼかし具合を強めたり弱めたり、切り抜いた目元を大きくしたり小さくしたり、けっこう縦横比を変えたら上手く重なったり、不透明度を変更したら自然になったりもします。
表情を自在にコントロールできると、動画の編集が楽しくなります。
登場人物の気持ちが伝わってきたらきっと見ている人は感情移入しやすいですよね。
時間と手間はかかりますが、表情の表現は手間を惜しまないで作っていきたいです。