主にスマートフォンや携帯電話で遊べる「ソシャゲ」が今、一斉を風靡している。
「ソシャゲ」は略称であり、正しくソーシャルネットワーキングサービス上で動くオンラインゲームとされており、ウェブブラウザが動作すれば特定のハードを買う必要がなく、気軽にどこでもゲームが出来る。
ゲームボーイやPSPなど携帯ゲーム機を買わなくても、携帯電話さえあれば多くの人がゲームを楽しめるようになった。
しかし、気軽にゲームが出来ると言っても、ゲームにはお金が掛かる。スマートフォンという「本体」を持っていても、「ソフト」にはお金を払うのは常識であった。
しかし、ソシャゲはその常識を破壊した。
「プレイ無料」として、誰でもお金を払わずにゲームをダウンロードし、遊べるようになった。
しかし、「プレイ無料」というのは呼び水であり、ゲームをプレイするための「スタミナ」を回復したり、より強力な武器・キャラクターを手にするためにはお金を払わねばならず、こちらの方が有料ソフトより出費が大きくなるユーザーもいる。
SNSでのプレイということもあり、友人同士で競い合って、ゲーム上のガチャガチャである「ガチャ」に没頭し、「廃課金」と呼ばれるまでお金を投入する人も多くいる。
廃課金者も多くいるが、過度な遊びをしない限り、永遠に無料で遊べるエンターテイメントがソシャゲなのだ。
ゲーム機も買わなくていい。ゲームソフトも買わなくていい。
とにかく、ゲームを始めることに一切の敷居がない。
ソシャゲはゲーム機とゲームソフトという、ゲームに入るための入場料を撤廃した。
ソシャゲはまるで、入園無料の遊園地なのだ。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
そんなソシャゲ全盛期の現代、富士急ハイランドが入園を無料化するというニュースが流れた。今日のツイッターのトレンドでも1位になるなど、トップニュースで報じられている。
同園を運営する株式会社富士急ハイランドは、入園を無料化する代わり、アトラクション代は2倍にするという。
遊園地に入るのも、レストランを利用するのも、お土産を買うことも、園内で写真を撮ることも無料、、といった「基本プレイ」を無料にする一方で、アトラクションを利用して初めて料金が発生するシステムとなっている。
ソシャゲと同じく、とにかく園内に入る間口を広げることが現代では大事なのだろうか。
富士急に加え、福岡市では15歳で起業した若者実業家が「運賃無料タクシー」を事業化するというニュースが本日流れた。
こちらは今の所、区間内では運賃無料らしいが、「初乗りだけ無料」だったり「区間から出ると料金が発生する」など課金できる要素は多い。そもそも、本当に企業からの広告料だけでタクシー代が全部無料になるとは思えない。
とにかく、こちらもタクシーに乗る敷居をなくした、「入るのはタダ」方式であり、ソシャゲの概念と通じる可能性だってある。
これまで払うのが当たり前だったサービスを突然「無料」にして話題性を集め、「実はここから有料でして、、」と後からお金をせびるのは止めて欲しい。
ソシャゲのシステムが悪いと言ってるわけではない。これまでにない画期的な、夢のようなシステムだ。
しかし、ソシャゲは明瞭会計ではない。
・ゲームソフトとは違い無限にお金をつぎ込める料金体系
・「魔法石」「ラブカツストーン」といったゲーム独自の仮想通貨
「円」ではなく「石」で払うことに違和感を感じるのだ。
そもそも、なぜソシャゲの通貨は「石」が多いのか。現代社会なのに石器時代の通貨に戻ってはいないか?
無料化にする事でSNSで盛り上がり、大規模な宣伝がタダで行える。
その一方で、実際には「石」でちゃっかりお金を徴収する。
宣伝費の節約と売り上げの増大の二つ。
ソシャゲ化する企業は文字どおり「一石二鳥」を狙っているのか?
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
富士急、タクシーとサービスの無料化がニュースになった同じ日に、トヨタが2018年3月期の連結決算を発表し、今期の純利益が2兆円を超えると発表された。
ソシャゲとは違い、自動車は「石」では買えず「円」で買う。車というハードを買い、動かすためのガソリンを買う。ハードもソフトもお金が掛かる、昔から変わらぬ商法である。
現代の流行に流されず、ソシャゲに頼らない企業で2兆円もの利益を出している。
単純比較は可哀想な話だが、ソシャゲ化する企業には同じく2兆円もの利益が出せるのか?
絵空事のような話であるが、ソシャゲが莫大な利益を生むのは既に証明されている。ソシャゲで誰でも廃課金する可能性だってある、儲かる可能性は高い。
魔法石一つ一つの利益は小さい。しかし、塵も積もれば山となる。石も積もれば岩になる。
せっかくなら、ソシャゲ化する企業は「一石二鳥」ならず、「一石二兆」まで目指して欲しいものだ。