冷たい雨が降る先週末。
 
ずっと行きたいと思っていた丸木美術館へ行ってきた。
 
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丸木位里、俊ご夫妻の『原爆の図』15部の作品が展示されている。
 
 
 
位里さんの出身地、ヒロシマに原爆投下された知らせを聞いた二人は東京からすぐ駆けつけた。
 
 
そこで見た世界を二人は長い年月をかけ創作活動に全力注ぐ。
 
 
 
最初の作品が目に入ってすぐに私の身体は衝撃を受けた。
 
一部 「幽霊」
 
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二部 「火」
 
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三部「水」
 
 
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五部「少年少女」
 
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六部 「原子野」
 
 
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八部 「救出」
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学芸員さんの言葉が深く心に残った。
 
「皆さんは原爆と聞いて何が浮かびますか?
おそらくキノコ雲と世界遺産になった原爆ドームではないかと思います。
丸木夫妻が描きたかったのは、キノコ雲の下の命を描きたかったのです」
 
 
これらの作品は、強く深い無言のメッセージを送っている。
 
 
この原爆図は世界各地で展示会が催しされている。
同行された学芸員さんの寄稿の一部。
 
 
 美術館で働いていると、絵を見る人の数だけ「原爆の図」があると痛感する。
実際に被爆された方の目に映る「原爆の図」は、当然ながら、私が見ている絵とはまったく違う。
一昨年の米国展では、原爆投下機が飛び立ったテニアン島に勤務していたという94歳の退役軍人が、絵の前で崩れるように座り込んだ。
 
ソウルでの展示では、親族を原爆で亡くした在韓被爆者が慟哭した。
内戦を経験した国から来た若者は、絵から音が聞こえると耳をふさいだ。
命を宿した女性、子を亡くした親、震災を生き延びた人…。みんなそれぞれ自分の背負う歴史を重ねて、異なる「原爆の図」を見る。
 
 
 
 
 
この美術館は他の美術館とは異色ではあるが、是非大勢の人に見てもらいたいと思う。
 
 
特に親も戦争を知らない若い人たちに。
 
 
 
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                 (スマさんは位里さんの母)
 
 
 

 
 
 
館内のステンドグラス。
 
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人間が人間を傷つけ破壊することの愚かさ。
 
戦争も平和も人間の手で作られる。
 
 
平和と命の重さを改めて感じた1日だった。
 

 

偶然にも来月、広島の旅を予定している。

 

普段の旅よりも少し景色が違って見えるような気がする。