ねこ太(中2)がときどき見ているNHKの「未解決事件」というシリーズで、

「下山事件」についてやっていました。

とても興味深くて、

そのまま森達也さんの「下山事件」という本も読み、

それについて書きたいのですが、

時間がかかりそうなので、

ねこ太がちょっと前に読んだ森達也さんの「放送禁止歌」という本について書きます。

 

森達也さんの「放送禁止歌」。

テレビの民放連の自主規制について調べた本です。

 

 

 

実はこの本、

ねこ太が小学5年生のときに一度読んでいますが、

概ね忘れていたとのことで再読です。

 

今はほとんど聞きませんが、

私が子どもの頃、

「放送禁止用語」とか「放送禁止歌」という言葉が確かにありました。

岡林信康「手紙」、赤い鳥「竹田の子守唄」、泉谷しげる「戦争小唄」、高田渡「自衛隊に入ろう」。

それから美輪明宏「ヨイトマケの唄」、ザ・フォーククルセダーズ「イムジン河」……。

 

誰が、

何のために、

誰のために、

放送禁止にしたのか。

放送しない判断の根拠はどこにあるのか。

 

森達也さんが、

放送禁止に指定されたアーティストや、

テレビ関係者、民放連、部落解放同盟、同和地区出身者など、

様々な人を取材していきます。

いろいろ考えさせられました。

 

最終的に、

そもそも「放送禁止歌」という規制は存在しないということがわかりました。

テレビ局のスタッフでさえ、

放送禁止歌というのが存在していて、

民放連が規制していると思い込んでいたのに。

そして、彼らはなぜ規制されているのかといった理由は

考えてもいませんでした。

こういったことを森達也さんは、マスコミの思考停止状態と危ぶみます。

「放送禁止歌」自体は存在しませんが、

なぜこんなことになってしまったのかというと。

民放連が1959年に「要注意歌謡曲指定制度」というものを設けます。

しかしこれはただのガイドラインで、

それぞれの放送局が放送するかしないかを判断する性質のものでした。

そして、このガイドライン自体、効力は1988年に切れていました。

 

「マスコミの思考停止状態」についてのエピソードもいろいろ。

某バラエティ番組で、

タレントにスイカ割りをやらせる企画が中止になりました。

その理由は、
「目の見えない人たちを傷つける」からだったそう。

「8時だよ!全員集合」には小人レスラーが登場していたそうですが、
「どうしてあんなかわいそうな人たちをテレビに出すのか」という抗議の電話で打ち切られました。
彼らにとっては大仕事。

名をあげる大きなチャンスと張り切っていたのだそうですが。
 

某テレビ番組で、

ディレクターがカメラの横でキュー出しをする動作が放送されました。

5、4、3、と数えながら指を折っていくのですが、

4の瞬間、モザイクがかけられたのだそうです。
4本指が部落差別にあたるからだといいます。

 

誰かを不快にさせたり傷つけたりする意図があるなら問題です。

でも、単なる言葉狩りの多いこと。

「クレームがきたら面倒くさいよね」という感覚だけで

放送するかしないかを決めているのです。

 

ねこ太には、

おもしろくないときは、

本は途中でやめていいといつも言っているのだけど、

よくわからないことが知れておもしろい、

と言っていました。

 

「下山事件」もそうなんですが、

よくわからないことをそのままにしないで、

ちゃんと調べて考える人になってほしいなと思います。

 

放送禁止歌であった「イムジン河」を初めてフルコーラスで聞いたのは、

井筒和幸監督の「パッチギ!」という映画でした。

とてもいい歌で、

ちゃんと聞けてよかったと思いました。

なんでもYouTubeで見られるようになってよい時代です。