USJを飛躍させた敏腕マーケッターが大学生の娘に

職の選び方、働く心構えを説く本

仕事への大志(野心?)のすさまじさに圧倒されつつも

まっとうであり、大切なことが記されている。

 

やりたい仕事がわからない君(娘)へ

問題の本質は君が世界のことをよく知らない

からではなく、君が自分自身をよく知らないことだ。

やりたいことが見つからないのは、自分の中に

「軸」がないからだ。自分自身を知る努力を

十分に行ってこなかったからだ。

 

肝心なのは、自分にとって何がより大事なのかを

考えて、自分なりの優先順位をその時々の精いっぱいで

明確にしていくことだ。君が考え抜くべきなのは

君のキャリアにとって重視すべき「軸」なのだ。

軸には安定、報酬、スキル、業界、成長性など

千差万別の定義がある。

 

この世界は平等でない。その中で自分が変えられることは

①己の特徴の理解、②それを磨く努力、③環境の選択、の

3つしかない。ざっくり言うと、持って生まれたものを

最大限に生かすことだ。

 

本質→構造→現象

資本主義の本質は人間の欲だ。

資本主義は人間の「欲」をエネルギー源にして

人々を競争させることで社会を発展させる構造をもつ。

 

資本主義社会には2種類の人間しかいない。

自分の24時間を使って稼ぐサラリーマンと、

他人の24時間を使って稼ぐ資本家。資本家の

ためにルールが作られている社会だ。

 

資本主義社会とは、サラリーマンを働かせて

資本家が儲ける構造のことだ。

サラリーマンが生み出した多額の価値を

資本家たちが山分けしている。サラリーマンは

資本家の世界を認識することができない。

無知であることに罰金を課す社会だ。

 

年収を決める法則

その人の職能の価値、所属する業界の構造、成功度合いの3点が

それぞれの年収を決める。君がどの職能、どの業界に就職するか

選んだ時点で君の年収はほぼ自動的に決まる。

 

だから年収の期待値の上下を知ったうえで、それでも自分が

情熱をもてる好きな仕事をえらぶべきだ。その理由は

好きでないと、3点目の成功度合いを上に持っていくのが

困難だから。

 

会社の将来性

その会社を支えている需要は持続可能か

(日本の人口減少市場に依存してないか)

 

その会社を支えている基幹技術に対する

代替技術の出現可能性はどのくらいか

(例えば自動車。自動運転になるとわざわざ

自分で車を保有して運転する人は減るだろう)

 

自分の強みを知る

達成したい具体的な「こと」から発想しようと

するのはきつい。

「どんな状態」であれば自分はハッピーだろうか

という未来の理想「状態」からの発想を筆者は勧める。

 

自分の強みを見つける近道は、社会との関わりで

気持ちよかった文脈(自分が好きなことをしている

文脈に近い)をどんどん列挙することだ。

 

君にとって好きな「~すること」という動詞こそが、

君にポジティブな結果をもたらす。それが君の

強みだ。

 

その動詞をできるだけ多く書き出して3つに

分類しよう。3つとはT(Thinking)、

C(Communication)、L(Leadership)だ。

この3つがビジネスに必須のコンピテンシー(基礎能力)だ。

 

人が最も苦しいのは自己評価が極端に低くなっているときだ。

自分の価値を疑うとき、人は臆病になり、行動できなくなる。

潰れないためには肩の力を抜いて、最後尾からスタートする

自分を予め受け入れておくことだ。

 

そこから本当の努力を積み重ねられるか。

「今日の自分は昨日の自分より賢くなったか」の

1点を問える自分であればいい。

 

「できない自分」ではなく「成長する自分」を

認めてあげよう。

 

不安と向き合う

君がこれから成長する限り、不安はずっとなくならない。

でも大丈夫だ。不安には慣れる。不安を燃料にどんどん

強くなっていく。不安なのは君が挑戦している証拠だ。

不安であればあるほど君は勇敢なのだ。

 

キャリアにおいては当座の目標達成の可否がすべてではない。

最も大切なのは目的に向かってたえず成長し続けることだ。

敗北して前のめりに倒れても、そこから立ち上がれば良いだけだ。

そのときの自分は今よりきっと強くなっている。

 

成功しても失敗しても、今より成長できる限りにおいては

実は何も大きな損はない。そのことを知っていれば、

不安に直面しても君はきっと笑えるようになる。

 

不安やリスクっていったい何なの?

大きな失敗をしてもクビになるくらいだろう。

クビになったほとんどの人の人生が、それでも

ちゃんと続いていくことも、君は知っているだろう。

新しい場所を見つければいい、ただそれだけだ。