東京は長野か!?-2011100412110000.jpg

寒いですね。
白馬や志賀にも雪が降ったとか。


それにしても善光寺の猫はやばいですね。

※第7回は9/6に掲載しています。


長野に帰って来て、東京にいた頃より飲み会の回数が減った。
地元の友人たちの多くは妻帯者で、思い付きで誘う訳にもいかない。
何より、車社会は外でお酒を飲むことに適していない。
「気軽に誘ってよ」
そうは言ってくれるけれど、迎えに来る奥さんたちのことを考えるとね…。
家で飲んでもつまらないので、気分転換も兼ねて一人で出かけるお店が数件出来た。
火曜の18時。
お酒を飲むにはまだちょっと早い時間。
定食も食べられる居酒屋のカウンターに座った。
19時から大きな予約が入っているらしく、その準備でお店の人たちは忙しそうにしていたが、まだお客さんがいる様な雰囲気ではなかった。
ただ、カウンターに仕事終わりと見える50代くらいのおじさんが一人ポツンと座っていた。
おじさんは、仕込みをするマスターに遠慮しながらも、時折話しかけていた。
ビールジョッキを空けたおじさんは、お代わりを注文した。
ビールが進むとお話したい気持ちも高まる様で、おじさんがマスターに話しかける回数も増えていった。
マスターは手を休めずにおじさんの話しに参加した。
「なんか、すいませんね」
マスターに遠慮しながら、おじさんは話しの最後に必ずそう付け足した。
付け足しながら、おじさんは話しかけ続けた。
そして、声のトーンがちょっとだけ上がった。
「俺はさ、言ってやったんだよ、そしたら分かってくれて、そこからももうそんな揉めてないから良かったんだんけどさ。なんかすいませんね、変な話ししちゃって、ホント」
どうやら嫁姑のいざこざを自分が上手く取り持ったという武勇伝を語っていたらしい。
そしておじさんは、グラスに残ったビールを飲み干し、続けた。
「色々あったじゃない。大変なことが。震災とか色々あって、やっぱり家族っていいよなぁって思うよね、マスター」
「ホントそうですね」
「変なこと言ってごめんね。じゃ、お会計お願い」
会計を済ませたおじさんは最後に一言言って店を出て行った。
「ごちそうさま、ホントなんかごめんね」
謝らずに「ありがとう」って言ってみたらいいのに。
身勝手な僕は思ったけど、そんな失礼なこと言っちゃいけないんだろうな。
おじさんはきっと家族もとへ帰って行った。
そして家でも同じように謝っているのかな。
店を出ていくおじさんの背中が大きく見えた。
19時ちょっと前、おじさんと入れ替わりに大学生くらいのグループが入ってきた。
(続く)


※次回は10/11に更新予定です。