『長い旅の途上』 星野道夫
日々の暮らしに追われている時、もうひとつの別の時間がながれている。
それを悠久の自然と言って良いだろう。
そのことを知ることができたなら、それは生きてゆくうえで
ひとつの力になるような気がするのだ。
人間にとってきっとふたつの大切な自然があるのだろう。
ひとつは、日々の暮らしの中で関わる身近な自然である。
それは道ばたの草花であったり、近くの川の流れであったりする。
そしてもうひとつは、日々の暮らしと関わらない遥か遠い自然である。
そこにいく必要はない。が、そこに在ると思えるだけで
心が豊かになる自然である。
それは僕たちに想像力という豊かさを与えてくれるからだと思う。