「 皇太子が人間の女子と関係を!?」
白鳳九は、素素の存在を知り憤る。
この件を「ここだけの話です。」と教えてくれた司命星君がなだめる。
「天族の皇太子なら子孫繁栄のため、多くの側室が必要です。」
鳳九「何が〝 子孫繁栄のため〟よ。
青丘は一夫一妻制でも繁栄しているわ。
よーし、私が問い詰めてやる。」
そう言うなり九尾狐の姿になり、素素が閉じ込められている昭華宮に忍び込んだ。

鍵がかけられた扉を叩き呼びかける。
鳳九「聞こえてる?私は白鳳九よ。
あなたは夜華の恋人よね?」
素素「夜華?夜華は生きてるの!?」
鳳九「知らないけど、何かあったの?」
夜華の安否を知りたくて、会いたいと泣き続ける素素。
天族の侍女達が来たので鳳九は物陰に隠れる。
姿は見えなくても、素素が粗雑に扱われているのがわかった。
鳳九「 問い詰めるつもりが、何だか胸が痛くなった。あの人間はかわいそうだわ・・・。」
その後も、素素は食事も取らず虚ろな目をして時を過ごした。


翼界。離鏡は天宮の法会に行くことにした。
鮫人族が翼族の支系なので、
天族の皇太子を傷つけた事を謝罪する 良い機会だと思ったのだ。

玄女は、ここ数日離鏡にいたわってもらい、嬉しかった分、離れるのを寂しがる。
体調は思わしくない。
医師は、玄女が仙人で、胎児は翼族の子だから障りがあると説明する。
離鏡は、天宮へ行けばもっと具合いが悪くなるから留守番をしろと言うのに、言うことを聞かない。
結局、医師と火麒麟を連れ、四人で行く事になった。

天宮に着き、離鏡が席を離れた間に、
玄女は医師から、お腹の中の子は既に死んでいると聞かされる。
しかし、離鏡に優しくされたいが為、この事は伏せて病児を産むことに決めた。

火麒麟は、一人で天宮の中を歩くうち
何かに気づく。
「 どこかで嗅いだ桃の花の香りがする・・・。」
香りをたどって昭華宮に着いた火麒麟は、扉の鍵を壊す。
そして中に入るが、また鍵のかかった扉。
何とかしようと思っているうちに、誤って火をつけてしまう。
火はみるみるうちに建物に広がった。
侍女「誰かー!火事よー!」
侍女「中に人がいるの!助けてー!」

霊宝天尊と数万年ぶりの再会をはたしていた離鏡は、火事に気づき駆けつける。
離鏡「すみません。私の従者の過ちです。お許しを。」
霊宝天尊は「気にせずともよい。」と言って紅蓮業火を消す。
離鏡は、剣で鍵を壊し、中に入って驚く。
そこに倒れていたのは、
女性の姿をした司音だったからだ。


司音を抱きかかえ、自分の医者に見せる。
それを目の当たりにした玄女
「うそよ・・・こんな所にいるはずがない・・・。
翼王!これは天族が操る幻覚です!
司音と親しいと知り、あなたを騙すつもりだわ。」と叫ぶ。
そんな玄女を振り払う離鏡。
「巫師!早く手当を。紅蓮業火にのまれたのだ。
具合いはどうだ?
いくら神仙とはいえ、紅蓮業火は耐え難い。」
医師はこの者が仙人ではなく人間だと告げる。
「なに?・・・本当だ。
愚かにも神仙と人間の区別を見分けられなかった。
・・・手当せよ。」
玄女は、素素が司音でも白浅でもないことに安堵した。
火麒麟が、火事は自分がおこしたと謝る。
離鏡「 なぜ紅蓮業火を使った?」
火麒麟「 寂しい宮殿から、懐かしい香りがしたので覗くと、一人のおなごが閉じ込められて泣いていたんです。
だから助けてあげたくて。
でも仙術では鉄の鎖は切れませんでした。」
離鏡「 だから焼き切ったと。」
火麒麟「 だって紅蓮業火は万物を滅ぼすんでしょ? 」
離鏡「 そうだ。しかしお前は火を抑えられなかった。
だから宮殿に燃え広がったのだ。
仕方がない。
天君に責められなければよいが。 」
そう話していると、素素が目を覚ました。
「 ここは?・・・夜華は?」
離鏡「 私は翼族の王・離鏡だ。
私の従者が誤って火をつけ申しわけない。」
素素「 そうだったのね。
 あの神仙たちが殺しに来たのかと・・・。」
素素に近づき手を触ろうとした火麒麟に驚く。
寂しげに項垂れる火麒麟に聞く「 あなたはいくつ?」
火麒麟「7万300歳だよ。」
素素「7万300歳ですって?」
火麒麟「お姉さんは桃の花の香りがするね。」
玄女「 なぜ人間が天宮に?」
素素「 あの神仙たちに捕まったの。
夜華を知ってる?
今どこにいるのかしら?」
離鏡「 皇太子殿下とどういう関わりが?」
と、そこへ夜華の母・楽胥が入って来た。
楽胥 「  翼王が助けた者のことで、礼を言うとともに引取りに来た。
掟を侵したゆえ、昭華宮で反省させていたが、火事に遭い翼王に救われるとは。」
そうして楽胥は自分の宮殿に連れて行った。

楽胥「 あの日、お前の命乞いをしたのは、お前のためではなく、その腹にいる夜華の子のためよ。」
「 承知しています。
ですが、私と夜華は人間界の東荒海で誓いを立てました。
もう夫婦なのです。」
楽胥「天族の皇太子は己に釣り合う相手を娶る。
人間界での事は認められない。」
素素「 お言葉ですが・・・。」
楽胥「 おだまり。私が話している時は聞いていなさい。
これは天族の掟よ。」
素素は俯いた。「  はい。」


長海でまだ療養中の夜華の元に、天君が来た。
夜華は覚悟を決めた。
これより先は、素素への想いを気づかれないようにしなければならない。
妻を守るために・・・。