姑 若先生に手を引かれ嬉しそうに院内へ
さて今回はほほえましいエピソードを認知症を発症して姑が最初に失ってしまったのは排泄のセルフケア能力でした間に合わず失禁してしまうことを「なんでこんなことになったんだ・・」と嘆き涙していた時期も長くは続かずあっという間にリハビリパンツになってそれを嫌がることもあっという間になくなりましたトイレには全く行かず大も小もリハビリパンツに排泄して排泄したこともわからないから痒くなったりするとためらわず手を入れてしまうわけですが非番だった私は起きてきた姑の着替えをしていました夜間の排泄でずっしり重くなったリハパンを脱がせるとお尻が怪しい雰囲気になっているのを発見痒くて引っ掻いたのでしょうあちこち掻き壊れていましたこれは・・カンジダだな・・尿取りパットの交換を拒否することが度々あった姑よく皮膚トラブルが起きないもんだと感心していましたがとうとうカビがついてしまったか・・カンジダは痒みを伴いますから見なかったことにはできません皮膚科受診を決断私からの連絡を受け仕事を早めに切り上げてきた夫を伴っていざ皮膚科へ姑はちょっとも待っていられないし人の目があると気になって興奮してしまいますということをクリニックの受付のお姉さんにお伝えし車内で待てるよう配慮していただきましたとても混雑する人気の皮膚科でしたから大分待たなきゃいけないだろうな・・と覚悟していました車なら後部座席で横になって待てるし他の患者さんに嫌な思いさせることもありません「ばあちゃん横になってていいよ」「うん」と言って横になった姑3分もしないうちに起き上がりかと思えばまた横になりを繰り返していました大丈夫かな家に帰るって言いだしちゃうかなとハラハラしているとクリニックから一人の男性が出てきましたがっちりとしたそれでいてシュッとした高身長の白衣を着た男性です「アッ若先生だ」お父様が一人で診察していたクリニック移転して以降息子さんも加わって親子で診察されているのですその若先生が颯爽と駆け足で近づいてくるではありませんかビックリしつつ窓を開けると「はいこんにちは今日はどうしたのかな?」とおっしゃったではありませんかえっ・・問診いやいや・・ひるんでる場合じゃないお忙しいのにわざわざ来てくれたのだからサクッと答えなければ「認知症でずっと失禁の状態なんですけどとうとう赤くなってしまって」と伝えると「お尻かじゃあここで診せてってわけにはいかないな」行きたくないってゴネたらどうしよう・・と心配していると「おばあちゃんの名前は?」「〇〇です」姑の名前を確認すると若先生は車のドアを開け「〇〇さん痒くなっちゃったところ診せて欲しいんだ治してあげるからね俺と一緒に行こう」そう言って姑に手を差し出しました「うん」そう言うと姑は嬉しそうにあっさり若先生の手をとってスイスイ歩き始めました「えーーーーーっ」慌てて追いかける嫁「俺は?」指示を与えられず置いてきぼりの夫自分で判断しなさいよ若先生の配慮でまっすぐ処置室に案内され診察姑はショートステイ先で男性職員に排泄のケアを受けることを強く嫌がってきましたリハパン下げさせてくれるかな・・またまた心配していると「〇〇さん嫌だろうけど・・ちょっとお尻診せて」若先生に優しくお願いされた姑「いいよ」とあっさりリハパン下げましたおーーー若さって素晴らしい「あーーカンジダだね・・洗ってお薬つけると治るからね洗わせてくれるかな・・」「なんとしても洗います」「〇〇さん洗うとすーーぐ治るからお嫁さんに洗ってもらってね」「うん」どっぷり疲れて帰宅するであろうと覚悟していたのに若先生の破格の対応に助けられ素晴らしくスムーズに診察を終え車まで姑を送って戻って会計してお薬もらって何回もお礼を言って・・・・・あいつはどう思います私があの者ならまず院内について来ますよねそして先に姑と車に戻れば嫁は行ったり来たりせずに済むわなーー「どうだった?」だってーー自分で聞いてこいとは思ったものの「カビだからそれ用の泡買わないと・・ドラッグストア寄って」姑を一人車内で待たせなくて良いのでいる意味はあるな・・という考えに落ち着きつつ「お父さんさ・・診察についてくるべきだと思うよお父さんのお母さんじゃないっけ」「・・だから聞いたじゃん俺は?って・・」「聞かないんだよ普通・・行くのが当然だから」「ごめん・・」「お尻洗う時手伝ってね嫌がって動くと洗えないから」「わかった」小学生のような私よりもはるかに年上の夫これだから若先生みたいな人を見るとあらって思っちゃうのよねぇこりゃ姑と同じだなと薄ら笑いを浮かべた嫁なのでした