物権変動②
不動産登記
登記と登記簿
不動産の物権変動を公示する方法は登記です。(177条)登記は、国が作成管理する登記簿に、不動産物権変動の事実及びその内容を記録して行います(不動産登記法11条)
登記請求権とは
登記権利者(通常は買主)が登記に協力しない登記義務者(通常は売主)に対して登記申請に協力せよと請求する権利をいいます。
物権的登記請求権
所有権の物権そのものの効力から生じる登記請求権
物権変動的登記請求権
物権変動の事実そのものから生じる登記請求権(すでに所有権がない者でも登記請求出来るのが特徴)
債権的登記請求権
売買契約等の債権的な契約に基づく登記請求権
中間省略登記とは
不動産がA→B→Cと譲渡されたのに、その登記を中間者Bを省略してA→Cとする場合をいいます。
登記をするためには、登録免許税がかかります。そこで節税目的から移転登記の回数を減らすために中間省略登記が行われることがあります。
これからなす中間省略登記は、原則は否定されるが例外として、当事者全員の合意がある場合にはCはAに中間省略登記請求ができる。
すでになされた中間省略登記は、原則有効ですが例外として、A・Cの同意がない場合中間者が抹消を求める正当の利益を有する場合には、中間者は、抹消請求できる。
対抗要件
物権変動は、原則として意思表示のみ生じるので、例えばAが甲不動産をBに譲渡した後、さらにCにも甲不動産を譲渡したというように、物権変動が多重的に発生することは避けられません。そこで、このような問題を解決するために177条は物権変動を第三者に対して対抗(主張)していくためには対抗要件として登記が必要であると規定しています。
これは、不動産取引を円滑にするために画一化を図るとともに、権利を譲り受けたにもかかわらず登記を怠った者より、登記をする事によって権利を確保することに意欲的な者を保護しようとする趣旨に基づくものです。
登記を対抗要件とする権利
民法では、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、不動産賃貸権があります。(不動産登記法3条)
登記しなくても対抗できる第三者
物権変動は、原則として登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することはできません。ここでいう第三者とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者で、不動産に関する物権の得喪及び変更の登記の不存在を主張する正当な利益を有する者をいいます。したがって、このような正当な利益を有する第三者にあたらない場合には登記をしなくても物権の得喪及び変更を主張することができます。
不当な利益を有する第三者にあたらない者として不動産登記法5条
詐欺又は脅迫によって登記申請を妨げた第三者、他人のための登記申請義務のある者
不法占拠者・不法行為者賃貸借契約が終了しているにもかかわらず土地、又は建物を明け渡さない賃借人をいいます。
無権利の名義人
無効登記の名義人や虚偽表示の相手方等をいいます。
前主・後主の関係にある者
土地がA→B→Cと順次譲渡された場合にまだAに登記があるとしてもAとCは前主・後主の関係にあり、対抗関係にならないのでCは登記がなくともAに対して自己の所有権を主張できます。
背信的悪意者
1.背信的悪意者排除論
当該物権変動について登記の不存在を主張することが信義則に反する事情のある者をいいます。
このような背信的悪意者に対しては登記をしなくても物権変動を対抗できます。
2.背信的悪意者からの転得者
背信的悪意者は信義則上、登記の不存在を主張することが許されないにすぎず、全くの無権利者ではない。そこで転得者は、転得者自身が背信的悪意者でない限り有効に権利を取得することができる。
* 転得者とは
権利を譲り受けた者から更にこれを譲り受けた者のこと。
登記を対抗要件とする物権変動
177条の物権変動は意思表示による場合に限らず相続や時効取得等、すべての物権変動を含みます。(無制限説)
取消しと登記
取消前の第三者
第三者の保護
制限行為能力取消
保護されない
詐欺取消
96条3項によって善意の第三者は保護される。
強迫取消
保護されない
取消後の第三者
取消権者Aと取消後の第三者Cとは、Bを起点とする二重譲渡類似の対抗関係に立つので、両者の優劣は登記の先後で決し、先に登記した者が確定的に権利を取得します。
解除と登記
解除前の第三者
解除前の第三者が保護される(545条1項但書)ためには、登記が必要となります。
解除後の第三者
取消後の第三者と同様に対抗問題となり、登記の先後で、その優劣を決します。
相続と登記
共同相続と登記
共同相続人の1人が勝手に単独登記をして第三者に土地全部を譲渡した場合、他の共同相続人は、登記なくして自己の持ち分を第三者に対抗することができます。
相続放棄と登記
共同相続人の1人が相続放棄したが、他の相続人が登記しない間に、相続放棄をした者の債権者がその相続人の相続分を差し押さえた場合、他の相続人は、相続放棄による持ち分の取得を登記なくして第三者に対抗することができます。
遺産分割と登記
遺産分割前の第三者
共同相続人の1人Bが遺産分割前に自己の持ち分ん第三者Cに譲渡して、その後遺産分割によってB持ち分が他の相続人A所有になった場合、第三者Cが909条但書によりB持ち分の取得をAに対抗するためには、登記が必要となります。
遺産分割と第三者
共同相続した土地を遺産分割の協議によって、Aの単独所有としたが、その登記をしないでいたところ、Bが自己の持ち分を第三者に譲渡した場合、Cは、Aよりも先に登記を備えていれば、Bの取得をAに対抗できます。
遺贈と登記
被相続人Dから特定不動産の遺贈(特定遺贈)をうけたBがDの死亡後、所有権移転登記をしないでいるうちに、相続人Aの債権者Cがこの不動産を差し押さえてきた場合、BはCに対して所有権を対抗するためには、登記が必要となります。
被相続人からの譲受人との関係は当事者関係となるので譲受人は登記なくして相続人に対抗することができます。
時効取得と登記(判例の5つの準則)
占有開始当初からの所有者との関係
時効取得Aと時効取得された元所有者Bは、通常の売買契約における売り主と買い主のような関係になるので、Aは、Bに対して登記なくして時効取得を主張できます。
時効完成前の譲受人との関係
時効完成前に元所有者Bから不動産を譲り受けた第三者Cは、時効取得Aとは通常の売買契約における売り主と買い主のような関係になるのでAはCに対して登記なくして時効取得を主張できます。
時効完成後の譲受人との関係
時効完成後に元所有者Bから不動産を譲り受けた第三者Dは時効取得Aとは対抗関係になるので、AはDに対して登記なくして時効取得を主張できません。
時効の起算点は動かすことができない。
時効の起算点を動かすことを認めると時効完成前と後で分けた意味がなくなるため認められません。
時効完成後の譲受人が登記した時点からさらにあらたな時効が進行する。
Aの時効完成後にDが登記を備えたため、さらにAがDに対して時効取得を主張できなくなった後、さらにAが時効取得に必要な期間、占有を継続した場合には、あらたに時効が完成し、AはDに対して登記なくして時効取得を主張できます。
登記と登記簿
不動産の物権変動を公示する方法は登記です。(177条)登記は、国が作成管理する登記簿に、不動産物権変動の事実及びその内容を記録して行います(不動産登記法11条)
登記請求権とは
登記権利者(通常は買主)が登記に協力しない登記義務者(通常は売主)に対して登記申請に協力せよと請求する権利をいいます。
物権的登記請求権
所有権の物権そのものの効力から生じる登記請求権
物権変動的登記請求権
物権変動の事実そのものから生じる登記請求権(すでに所有権がない者でも登記請求出来るのが特徴)
債権的登記請求権
売買契約等の債権的な契約に基づく登記請求権
中間省略登記とは
不動産がA→B→Cと譲渡されたのに、その登記を中間者Bを省略してA→Cとする場合をいいます。
登記をするためには、登録免許税がかかります。そこで節税目的から移転登記の回数を減らすために中間省略登記が行われることがあります。
これからなす中間省略登記は、原則は否定されるが例外として、当事者全員の合意がある場合にはCはAに中間省略登記請求ができる。
すでになされた中間省略登記は、原則有効ですが例外として、A・Cの同意がない場合中間者が抹消を求める正当の利益を有する場合には、中間者は、抹消請求できる。
対抗要件
物権変動は、原則として意思表示のみ生じるので、例えばAが甲不動産をBに譲渡した後、さらにCにも甲不動産を譲渡したというように、物権変動が多重的に発生することは避けられません。そこで、このような問題を解決するために177条は物権変動を第三者に対して対抗(主張)していくためには対抗要件として登記が必要であると規定しています。
これは、不動産取引を円滑にするために画一化を図るとともに、権利を譲り受けたにもかかわらず登記を怠った者より、登記をする事によって権利を確保することに意欲的な者を保護しようとする趣旨に基づくものです。
登記を対抗要件とする権利
民法では、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、不動産賃貸権があります。(不動産登記法3条)
登記しなくても対抗できる第三者
物権変動は、原則として登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することはできません。ここでいう第三者とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者で、不動産に関する物権の得喪及び変更の登記の不存在を主張する正当な利益を有する者をいいます。したがって、このような正当な利益を有する第三者にあたらない場合には登記をしなくても物権の得喪及び変更を主張することができます。
不当な利益を有する第三者にあたらない者として不動産登記法5条
詐欺又は脅迫によって登記申請を妨げた第三者、他人のための登記申請義務のある者
不法占拠者・不法行為者賃貸借契約が終了しているにもかかわらず土地、又は建物を明け渡さない賃借人をいいます。
無権利の名義人
無効登記の名義人や虚偽表示の相手方等をいいます。
前主・後主の関係にある者
土地がA→B→Cと順次譲渡された場合にまだAに登記があるとしてもAとCは前主・後主の関係にあり、対抗関係にならないのでCは登記がなくともAに対して自己の所有権を主張できます。
背信的悪意者
1.背信的悪意者排除論
当該物権変動について登記の不存在を主張することが信義則に反する事情のある者をいいます。
このような背信的悪意者に対しては登記をしなくても物権変動を対抗できます。
2.背信的悪意者からの転得者
背信的悪意者は信義則上、登記の不存在を主張することが許されないにすぎず、全くの無権利者ではない。そこで転得者は、転得者自身が背信的悪意者でない限り有効に権利を取得することができる。
* 転得者とは
権利を譲り受けた者から更にこれを譲り受けた者のこと。
登記を対抗要件とする物権変動
177条の物権変動は意思表示による場合に限らず相続や時効取得等、すべての物権変動を含みます。(無制限説)
取消しと登記
取消前の第三者
第三者の保護
制限行為能力取消
保護されない
詐欺取消
96条3項によって善意の第三者は保護される。
強迫取消
保護されない
取消後の第三者
取消権者Aと取消後の第三者Cとは、Bを起点とする二重譲渡類似の対抗関係に立つので、両者の優劣は登記の先後で決し、先に登記した者が確定的に権利を取得します。
解除と登記
解除前の第三者
解除前の第三者が保護される(545条1項但書)ためには、登記が必要となります。
解除後の第三者
取消後の第三者と同様に対抗問題となり、登記の先後で、その優劣を決します。
相続と登記
共同相続と登記
共同相続人の1人が勝手に単独登記をして第三者に土地全部を譲渡した場合、他の共同相続人は、登記なくして自己の持ち分を第三者に対抗することができます。
相続放棄と登記
共同相続人の1人が相続放棄したが、他の相続人が登記しない間に、相続放棄をした者の債権者がその相続人の相続分を差し押さえた場合、他の相続人は、相続放棄による持ち分の取得を登記なくして第三者に対抗することができます。
遺産分割と登記
遺産分割前の第三者
共同相続人の1人Bが遺産分割前に自己の持ち分ん第三者Cに譲渡して、その後遺産分割によってB持ち分が他の相続人A所有になった場合、第三者Cが909条但書によりB持ち分の取得をAに対抗するためには、登記が必要となります。
遺産分割と第三者
共同相続した土地を遺産分割の協議によって、Aの単独所有としたが、その登記をしないでいたところ、Bが自己の持ち分を第三者に譲渡した場合、Cは、Aよりも先に登記を備えていれば、Bの取得をAに対抗できます。
遺贈と登記
被相続人Dから特定不動産の遺贈(特定遺贈)をうけたBがDの死亡後、所有権移転登記をしないでいるうちに、相続人Aの債権者Cがこの不動産を差し押さえてきた場合、BはCに対して所有権を対抗するためには、登記が必要となります。
被相続人からの譲受人との関係は当事者関係となるので譲受人は登記なくして相続人に対抗することができます。
時効取得と登記(判例の5つの準則)
占有開始当初からの所有者との関係
時効取得Aと時効取得された元所有者Bは、通常の売買契約における売り主と買い主のような関係になるので、Aは、Bに対して登記なくして時効取得を主張できます。
時効完成前の譲受人との関係
時効完成前に元所有者Bから不動産を譲り受けた第三者Cは、時効取得Aとは通常の売買契約における売り主と買い主のような関係になるのでAはCに対して登記なくして時効取得を主張できます。
時効完成後の譲受人との関係
時効完成後に元所有者Bから不動産を譲り受けた第三者Dは時効取得Aとは対抗関係になるので、AはDに対して登記なくして時効取得を主張できません。
時効の起算点は動かすことができない。
時効の起算点を動かすことを認めると時効完成前と後で分けた意味がなくなるため認められません。
時効完成後の譲受人が登記した時点からさらにあらたな時効が進行する。
Aの時効完成後にDが登記を備えたため、さらにAがDに対して時効取得を主張できなくなった後、さらにAが時効取得に必要な期間、占有を継続した場合には、あらたに時効が完成し、AはDに対して登記なくして時効取得を主張できます。
物件変動①
物権とは
特定の物を直接的・排他的に支配する権利をいう
1つの物に対して同一内容の物権は併存し得ないという排他性を有してます。この目に見えない物権の排他性を主張する事によって、取引の安全が害される可能性があるので、登記等の公示が必要となります。
物権法定主義(175条)
物権法定主義とは
法律で認められていないあらたな物件や法律と異なる内容の物権を当事者の合意により創設する事を認めない主義をいう。これは、①封建制度下の複数の多様な物権を整理して自由な所有権を中心とする簡単な物権関係を作ること②物権は直接的・排他的な権利であるためなるべく種類を限定し内容を明確にするけとという趣旨に基づきます。
判例は、物権法定主義の趣旨を害しない場合は温泉専用権のような慣習法上の物権を認めている。
物権の効力
物権は、特定の物を直接的・排他的に支配する権利であることから、①優先効力があり②物権的請求権の行使が可能です。
優先的効力
物権相互間の優先的効力
物権相互の間では、先に成立したものが後に成立したものに優先します。優先的効力を生じるためには、登記、または引き渡しという対抗要件が必要となります。
債権との間の優先的効力同一の物について債権と物権が併存するときには物件が優先します。
なお、不動産の賃貸権は、債権ですから登記することが認められ、その後に物権に対して優先権が認められます。
物権的請求権とは
他人の不当な干渉によって所有者の自由な支配が妨害されている場合に、妨害を排除し、所有権の内容を実現するために救済手段をいいます。
民法上、直接的に物権的請求権を認めた明文規定はありませんが①占有権に占有訴権が認められている以上、これより一層強力な物権についても認める必要があること②民法も占有訴権の他に「本権の訴え」の存在を予定していること(202条)が制度の根拠となっています。
物権的妨害予防請求権
将来、物権侵害の生じる可能性が高い場合に、予防を請求する権利をいう。「占有保全の訴え」に対応する。
物権的妨害排除請求権
物を奪われる以外の方法で物権の侵害が生じる場合に妨害の除去を請求できる権利をいう。「占有保持の訴え」に対応する
物権的返還請求権
物権を有する者が物を奪われる物の占有を全面的に排除された場合に、物の引き渡しや明け渡しを求める権利をいう。「占有回収の訴え」に対応する。
物権変動総論
物権変動とは
物権が発生、移転、変更、消滅することの総称をいいます。
物権変動には、契約による場合(売買契約、抵当権設定等)及び契約によらない場合(時効取得、埋蔵物発見等)がありますが、前者が圧倒的に多いです。
契約による物権変動
物権変動に必要な行為
物権変動は、当事者の意思表示のみによって生じ、それ以外に何らの形式も必要としません(意思主義176条)
意思主義
当事者の意思表示だけで足りるとする立場
形式主義
当事者の意思表示のほかに一定の形式的行為(登記、引き渡し等)が必要だとする立場
物権変動の生じる時期
特定物であるば、特約なき限り売買契約をした時点で物権変動が生じます
公示の原則と公信の原則
公示の原則とは
物権の変動を第三者に公示するためには、外部から認識し得る一定の形式が伴わなければならないとする原則をいいます。物権は、特定の物を直接的・排他的に支配する権利ですから、同一物につき同じ内容の物件が成立すると、第三者に不足の損害を与え、取引の安全を害することになります。そこで民法は、目に見えない物権に変動が生じた場合には、それを目に見えるような形で公示しない限り、第三者に物権変動を主張できないと定めました。(公示の原則)
公信の原則とは
公示を信頼して取引をした者は、譲渡人の権利の有無と関係なく公示通りの権利を取得するという原則をいいます。我が国の民法では、動産についてのみ公信の原則を認め即時取得の制度(192条)を置いています。
特定の物を直接的・排他的に支配する権利をいう
1つの物に対して同一内容の物権は併存し得ないという排他性を有してます。この目に見えない物権の排他性を主張する事によって、取引の安全が害される可能性があるので、登記等の公示が必要となります。
物権法定主義(175条)
物権法定主義とは
法律で認められていないあらたな物件や法律と異なる内容の物権を当事者の合意により創設する事を認めない主義をいう。これは、①封建制度下の複数の多様な物権を整理して自由な所有権を中心とする簡単な物権関係を作ること②物権は直接的・排他的な権利であるためなるべく種類を限定し内容を明確にするけとという趣旨に基づきます。
判例は、物権法定主義の趣旨を害しない場合は温泉専用権のような慣習法上の物権を認めている。
物権の効力
物権は、特定の物を直接的・排他的に支配する権利であることから、①優先効力があり②物権的請求権の行使が可能です。
優先的効力
物権相互間の優先的効力
物権相互の間では、先に成立したものが後に成立したものに優先します。優先的効力を生じるためには、登記、または引き渡しという対抗要件が必要となります。
債権との間の優先的効力同一の物について債権と物権が併存するときには物件が優先します。
なお、不動産の賃貸権は、債権ですから登記することが認められ、その後に物権に対して優先権が認められます。
物権的請求権とは
他人の不当な干渉によって所有者の自由な支配が妨害されている場合に、妨害を排除し、所有権の内容を実現するために救済手段をいいます。
民法上、直接的に物権的請求権を認めた明文規定はありませんが①占有権に占有訴権が認められている以上、これより一層強力な物権についても認める必要があること②民法も占有訴権の他に「本権の訴え」の存在を予定していること(202条)が制度の根拠となっています。
物権的妨害予防請求権
将来、物権侵害の生じる可能性が高い場合に、予防を請求する権利をいう。「占有保全の訴え」に対応する。
物権的妨害排除請求権
物を奪われる以外の方法で物権の侵害が生じる場合に妨害の除去を請求できる権利をいう。「占有保持の訴え」に対応する
物権的返還請求権
物権を有する者が物を奪われる物の占有を全面的に排除された場合に、物の引き渡しや明け渡しを求める権利をいう。「占有回収の訴え」に対応する。
物権変動総論
物権変動とは
物権が発生、移転、変更、消滅することの総称をいいます。
物権変動には、契約による場合(売買契約、抵当権設定等)及び契約によらない場合(時効取得、埋蔵物発見等)がありますが、前者が圧倒的に多いです。
契約による物権変動
物権変動に必要な行為
物権変動は、当事者の意思表示のみによって生じ、それ以外に何らの形式も必要としません(意思主義176条)
意思主義
当事者の意思表示だけで足りるとする立場
形式主義
当事者の意思表示のほかに一定の形式的行為(登記、引き渡し等)が必要だとする立場
物権変動の生じる時期
特定物であるば、特約なき限り売買契約をした時点で物権変動が生じます
公示の原則と公信の原則
公示の原則とは
物権の変動を第三者に公示するためには、外部から認識し得る一定の形式が伴わなければならないとする原則をいいます。物権は、特定の物を直接的・排他的に支配する権利ですから、同一物につき同じ内容の物件が成立すると、第三者に不足の損害を与え、取引の安全を害することになります。そこで民法は、目に見えない物権に変動が生じた場合には、それを目に見えるような形で公示しない限り、第三者に物権変動を主張できないと定めました。(公示の原則)
公信の原則とは
公示を信頼して取引をした者は、譲渡人の権利の有無と関係なく公示通りの権利を取得するという原則をいいます。我が国の民法では、動産についてのみ公信の原則を認め即時取得の制度(192条)を置いています。
