身内のどろどろ事情によって、夫婦や親子の仲が悪くなる。
それは、たとえばどんなどろどろ事情であったりするか。
たとえば、夫のきょうだい仲が悪く、仲の悪いきょうだいが自分の家族に常に嫌がらせをしてくるとか、妻の実家が貧乏で、常に妻に金品をたかりにくるとか、そういったことであったりする。
そういったことが長年続き、どんどんとエスカレートしていき、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれ、夫婦や子供との仲にまで悪影響を及ぼしていく。
最初はお互いに家族の問題はあって当たり前で、それを共に背負って生きていくことが結婚であるとかそういったきれいごとで耐え忍ぶんであるけれど、だんだんと互いに嫌気がさしていき、自分の身内は血がつながっているけれど、配偶者の身内は自分にとっては他人であるので、相手の事情はしだいに受け入れられなくなっていく。
そして、その矛先が子供に向いていく。
つまり、配偶者の身内事情の嫌さ加減を、血のつながっている子供にぶつけていくようになる。
こういったことがどんどん泥沼化していき、どうにもならない状況になっていくんである。
結婚して子供が授かったことによって、互いの身内の事情が解決できていく、というような奇跡のような話は、ほとんどない。
そもそも、互いに身内事情が解決できるような相手と結婚したかどうか考えればわかることである。
この人と結婚すれば、自分が抱えている家族の問題を一緒に背負って解決していくことができる、などと考えて結婚相手を選んだかどうか。
そういう風でもないかぎり、ただ好きな相手であるというだけで、そうそう互いの身内事情を解決していくことなどできない。
好きだと思っていた想いも、互いの身内事情に傷つき、だんだんと薄れていってそのうちに深い溝になっていく。
それが現実である。
もし、自分たち夫婦は、結婚したことによって奇跡のように互いの問題が解決していったと思っているのであるとすると、それは全部子供に背負わせているんである。
そうであって、子供との関係はうまくいっているかどうか。
よくわからない人生を送っていて、親とは音信不通になっていたりするんではないか。
たとえばこの人と結婚すれば、身内の事情が解決すると思って互いに結婚相手を選んだ夫婦であるとする。
自分はきょうだいの仲が大変に悪いので、愛嬌よくきょうだいの仲が大変に良い女性を妻にして、自分のきょうだいの仲を取り持ってもらおうと思った。
とか、自分の実家は貧しいので、実家の家族の面倒までみてもらえるような大変にお金持ちの男性を夫に選んだ。とか。
そうであれば、互いの問題を解決できるかといえば、それもかならずしもそうとも限らない。
きょうだい仲が良い人は、なぜきょうだいの仲が悪いのかがわからないし、夫のきょうだいに自分のきょうだい仲を妨害されないように逆に夫のきょうだいとは一切関わらなくなってしまう可能性も高い。
お金持ちの男性は、最初は妻の実家のめんどうをまるごとみてくれようとするかもしれないけれど、それがどんどんエスカレートしていくと、嫌気がさして離婚してしまうという話もよくあることである。
そういう事情がある男女の場合、どういう相手を選べば身内の事情が解決していくような結婚になるのか。
きょうだい仲の悪い男性の場合、たとえばいっそきょうだいのいない女性。きょうだいがいないので、きょうだいがいるということだけで、その人にとっては大変にありがたいことであると思うような人、とか。
実家が貧しい女性の場合、同じように貧しい育ちであるけれど、立身出世して一人で身を立てたような男性。貧しさを知りつつも、家族を養っていく度量を備えている人であると思われる。
とか、そういう感じの人を相手に選べば、多少はうまくいくかもしれない。