高齢者に対して、家族がおこなうようなお世話をNPOなどの団体がおこなう。
それは、家族のいない人や家族に面倒をみてもらえない人などへの、きめこまやかな生活の支援である。
現在は、高齢者の生活支援は、行政がおこなっているものと、高齢者自身の消費能力によって自分で買える民間サービスの2種類がある。
ここに、家族のいる高齢者であるなら、家族による支援というのが加わるのであるが、家族に面倒をみてもらえない高齢者が多くあり、今後も増えていくだろうと予測される。
家族のかわりに生活のきめこまやかなサポートを他人がおこなう。
ということについて、もっとも難しいのはそういった人々への信頼感を得ることができるかどうかということである。
家族に対する信頼と同じような信頼感を、お世話をしてくれる他人に抱くことができるかどうか。
ともすれば、だまされたり傷つけられたりする可能性が高い。
つまり、こういったことはボランティアという活動の領域であるから、ボランティアをする人の心がまえなどをきちんと持っておかなくてはいけない。
ボランティア活動というのは慈善活動であり、その活動の代償として金品を受け取ることはなく、あくまでも自分自身の慈善の心によって動くことである。
つまり、仕事や労働ではない。そうすることによってなんらかの利益をあげたり、結果を追求したりすることはない。
困っている人を助けてあげたい。自分の持っているもので誰かを救えるのなら、それを提供したい。
そういった気持ちによって動かされることである。
そして、そういった気持ちによって動いたボランティアの人が、困っている人の大いに役に立つことは実はなかなかにない。
たとえば、やっていることが的外れの検討違いのことであったり、おせっかいの大きなお世話であったりして逆に迷惑になったりする。
その活動が大きな影響力を持つものであるのなら、大変に社会の害になってしまう。
たとえば仕事や労働であるならば、利益や結果を生み出さなければなんらかの処分が下されて、不必要な活動は休止される。
しかし、ボランティア活動というのは評価されることが難しく、その活動が社会や当事者にとって不必要であった場合、それを止めることが非常に困難である。
当事者がもうやめてくれ、と言えばいいだけであるが、原則金品のやりとりがないために、人間関係におかしなしがらみができてそういうことができにくい。
つまり、高齢者の生活支援をNPOなどのボランティア団体がやろうとするならば、そういった活動に関する規制等のルールをもうける必要がある。
不必要なボランティア活動の排除に関する法律、とか、行き過ぎたボランティア活動をおこなっている人に対する罰則など。
それは、ストーカー規制やセクハラ規制などど同じ類の規制である。
ボランティア規制法。
それはおそらく、ボランティアという活動の延長上に、ストーカーやセクハラなどの行為があるんであろう。
ボランティアという名の下に、行き過ぎたお世話をする。
しつこくつきまとったり、身体に接触したり、果ては詐欺まがいのことまでする。
それは、なんらかの契約のもとにおこなうやりとりではなく、人間同士の機微にもとづく人と人の触れ合いである。