バイキンマンは子どもが好きなアニメ、アンパンマンに出てくる悪者キャラである。


そして、そのバイキンマンの仲間にドキンちゃんというのがいるんであるが、このドキンちゃんは一応おひめさまなんであるが、バイキン王国とかそういう汚い国のおひめさまである。



そして、嫁は、自分の妹が長女を産んだとき、その子どもに、ドキンちゃんのぬいぐるみをいけしゃーしゃーと贈ったんである。



○○ちゃん、ドキンちゃんに似ててかわいい。とか言いながら…



それ以降、アンパンマンのアニメとかをその子が見ているたびに、あ、ドキンちゃんいるよ。とか言いながら、本人にドキンちゃんを刷り込んでいる。



まちがってもメロンパンナちゃんじゃないし。



そういう勘違いをさせるようが、よほどに残酷である。




そうそう。




彼女の実の妹が産んだ娘は、とても彼女に似ていて、きれいな子どもであって、さらに凛とした気品なんかもそっくりで、それこそ彼女のいろいろを引き継いでいく子、みたいにちやほやされている。



が、10年ほど前に、彼女の従兄のところにも娘が産まれ、この子も一応彼女と血がつながっていたし、従兄の母親である伯母さんが、彼女のように育てようとして、赤ちゃんの頃からいろいろ金をかけて与えていたんである。


そして、ピアノを習わせたりバレエを習わせたり、また彼女が子どもの頃に使っていたものを、彼女の両親から借りたりもらったりしながら、それこそ彼女のように育てていた。


が、この子はまったく似ても似つかない。



そのうち、本人もいろいろを負担に感じるようになり、また、この子の母親は育ちの悪い女であって、実際はこの母親と暮らしているんであるから、とうてい彼女のようなお嬢様になるはずもないんである。



であって、今、この子は悲惨な状況になってしまった。


もともとそんなでもないのに、子どもの頃、ちょっとハイソなことを仕込まれてしまい、それが身について、すでにベタベタの庶民であるにもかかわらず、そういうところだけハイソぶってしまう、という悲惨な少女になってしまった…




であるから、旦那の妹の子どもには、最初からドキンちゃんのぬいぐるみを贈った。




しかも、従兄の子どもがそんな風に育てられているとか、彼女はまったく知らなかった。


別に彼女に預けようとしたわけでも、彼女に子育てを手伝ってほしいとも、なんにもされたことなかった。



知らないところで勝手にそうされていて、本人はそんなの知らない。




が、彼女の親は言えなかったんだろうな。とても、ドキンちゃんであるよ。とかは…





そもそも、この子はお人形さんなんである。


お人形さんであるのに、お嬢様みたいなハイソないろいろをちょろっと仕込まれた。




もう、つまりはおかしないきものになってしまっている。




憧れというのは、憧れで終わればいいんであるが、それを通り越して模倣になると、最終、おかしないきものになる。



が、知らないところで勝手に模倣されたって、こっちは知らない。



だから、関わりたくないと本人も言ってるんである。




だから、不幸な人は関わってはいけない。



不幸な人は、彼女に関わると、それこそ麻薬のような危険な陶酔に陥って、身を滅ぼす。



なのに、なんで関わらせるわけ…?






つまり、不幸な人しか周りにいない妹にわかってもらいたいんである。



自分の周りの不幸な人と、お姉さんを関わらせてはいけない。




君が、関わらせているんである。






お姉さんは、旦那の妹の子どもに、ドキンちゃんのぬいぐるみを堂々とプレゼントできる人である。



そこまでできなくとも、少なくともそういう子どもに、お姉さんを思わせる何かをプレゼントしたりしてはいけない。





お姉さんを憧れに留まらせておくためには、お姉さんのいろいろを教えてはいけない。


お姉さんのことを彼らが想像して、いろいろ語ったりするそれを、そうかもしれないと、ただ想像に任せて憧れさせるに留めることである。