すでに人間でないものに出会って、それを管理してくれと言われたら、やはり、欲望のままに欲しがるものを与えるか、抹殺するかのどちらかしかなかった。
金とか、食いもんとか、身体とか、欲望のままにそれを与えて大人しくしてもらうか、いっそ抹殺する。
そして、人間を取り戻させるというのは、かなり高度なテクニックである。
相手の負担も大きいし、こっちの負担も大きい。
が、欲望のままに与え続けるのにも限界が来るので、いずれ抹殺してしまう。
この欲望をかわす。というのも、すごいね。
かわした欲望はどこへ向くのかも気になるんですが。
自分がかわせば、その欲望は誰か違う人のところへ行くんなら、それは自分が管理していることにはならない。
が、何か意味があるんだろうな。この欲望をかわすことには。
そして、人間を取り戻すというテクニックも、身につけさせてほしいね。
そうなることが、いちばん望ましいことであるから。
が、人間であり続けるということは、人間でなくなった人にしてみれば、かなり過酷な状況を強いられることであるから、仮に取り戻したとしても、それを維持していくことができるかどうかというのも疑問だが…
変な生きもの育て続けるよりも、抹殺したほうがよほどに良いと思うけどね。
ただ、即刻抹殺するのも気が引けるので、ほどほどに欲望に従ってやろうかと思っているだけで。
こういうのが、闇の人間の考えである。
ていうか、お前よりよほどに人間的だろーが。
これが光の人間の場合はどうか?
ひたすらに、人間を取り戻させようとするね。
たとえば、人間の道徳をひたすら解いたり、人間としてふさわしい生活をひたすらに与えようとしたり。
まるで、寺や教会の慈善活動のように。
が、奥さんは、このどちらでもないやり方をするんである。
抹殺するなら、たった一言で即刻抹殺。
人間を取り戻させようとするなら、その中にあるその人の人間の記憶のかけらを探し出し、これを伝って人間を取り戻させようとする。
つまり、どちらもその人によって違うんである。
なんの一言がその人を抹殺する言葉になるのか、なんの記憶がその人の人間を取り戻させるかけらなのか。
これを、判断する。
だいたい、ここに行きつけるまでには、相当に人間として成熟しなくてはいけない。
つまり、人間として、一般的に人間らしいというものを与えたりしたところで、その人の人間性が取り戻せるかというと、そうとも限らない。
それで取り戻せる人も当然いるんであるが、そういうのは、まだ軽傷である。
であって、彼女と一緒に、人間性を取り戻させる修業というか、そういうものも一緒にやっていく。
で、人間を取り戻せた人は、その後も継続して人間であり続けられているのか?
それは、その後もその人の人生に寄り添ってサポートしていくしかない。
人間性を取り戻せる人のほうが、間違いなく少ないんであるから。
たとえば、今芸能界でよくテレビに出てる人で、何人かいるね。
この人は、人間に戻れるだろう、という人が。
まあ、ぼちぼちやっていこう…