そして妹は、その後もその部落の女性社員と付き合っていたんであるが、ときどき話を聞くと、なんかよくわからない仕事に関する議論?を何時間も延々と飲み屋でやったり、一緒に温泉にいって妹が気を失ったとか、そんなこともあったり、なんだかとんでもなく不幸に巻き込まれている様子で、よくそんな人と付き合うね、と思いながら話を聞いていた。
そしてある日、その人が、妹や自分らが子どもの頃によく聞いていたアニソンを集めたCDを作ってプレゼントしてくれたんだけど、その中にまじって、悪魔くん?という、自分らが聞いたこともなかったアニソンが1~2曲混ぜてあって、異様に不快になった記憶がある…
という、そういうことを、この部落の女性社員の人はちょくちょくしてきたので、いったい妹はいつまでこの人と付き合うんだろう…と思っていた。
が、妹の感心するところは、この人がいくらお姉さんに会いたいとか一緒に飲みたいとかいっても、そういう席は一切もうけなかったことである。
ていうか、お姉さんが行くわけないことわかっているし、明らかに嫌っているのにそんな席もうけて、誰が楽しわけ…?
というのも、実は、一緒に暮らしている頃、妹が別の人を家に呼んでそういうことをしたことがあったんだけど、どうしても嫌になって、お姉さんが直前で逃亡した。
つまり、ドタキャンどころじゃなく、思いっきり相手を拒絶したんである。
というこういうことがあって、相手が傷ついたので、二度としないんである。
まあ、旦那も同じ思いしただろうな。
奥さんが、相手を思いきり拒絶した。
嫌いってわかってるのにそういうことするほうが悪い。
ていうか、妹が付き合う人は、ほとんどがお姉さんは付き合えない人なんである。
なんか、貧しくて不幸そうな人ばかり。
だいたい市営団地とかに住んでる感じの。
その部落の女性社員も、以前は親は夫婦で食堂をやってたんだけど、つぶれたのか借金抱えたのか知らないけど、食堂をやめて、どっかの学校の寮の管理人をやっていた。
なので、その人の実家は、学生寮の管理人室だった。
しかも、弟さんがいて、ある日結婚して子どもが生まれたんだけど、その子どもの顔にも、その女性社員の人と同じ青いアザがあった。とか。
なんか、そういう不幸な人ばかり。
で、妹はそういう人の家とかに行っていた。
とか、彼女が広島で学生をやっている頃にアルバイトしていた先も、なんか不幸な独身の女の人がひとりでやっていた喫茶店とかだった。
その人も、いかにも不幸そうだった。ていうか話に聞いただけだけど。
で、妹がそうである頃、お姉さんはどうだったかというと、別の地域で、地元の名士が集まるようなおしゃれなジャズ喫茶に出入りして、地元の名士のオジサンとかといろいろ楽しい地域イベントなどをやっていた。
が、姉妹が京都で一緒に暮らすようになって、そのどちらもできなかった。
つまり、妹もそれほど不幸な人に寄り添えたわけでもなく、お姉さんもそれほど地元の名士と地域イベントなどをしたわけでもなかった。
つまり、どちらもどっちつかずだった。
妹が大変に不幸な人の不幸に巻き込まれているそばで、お姉さんは楽しくそういう地域おこしに携わるということができなかった。
そして、妹のほうも、お姉さんが一緒に住んでいるので、家にそんなに不幸を持ち帰ることもできなかった。
お姉さんはきれい好きで、家がいつもきれいに整って掃除されていなくては嫌だったから。
よく考えたら、そんな二人が一緒に住むということ自体が無謀である…
で、お姉さんが関西にいる頃、地元でどんな地域イベントに参加していたか?
たとえば、地域住民がアーティストを呼んで、地域の会館でコンサートを開いたりとか、まあそういうの。
その頃は学生だったので、大学と地域の交流とか、そういうことにも関わったかも。
いずれも、その日の生活が精いっぱいである不幸な人には、まったく関係のない世界である。
関わらなくていいんだよ。そんなことに。
つまり、奥さんの旦那さんが政治家であったとして、その両方に関わらなくてはいけないとして、それぞれは、別に互いの世界に関わる必要ないんである。
つまり、奥さんは間違いなく不幸な人に関わることはないのでいいとして、妹さんは、それは自分の役目はそうであると覚悟をして、お姉さんの世界にまざって行こうとしないことである。
あなたがそうすると、不幸な人がぞろぞろついてくるから。
それは、お姉さんのそういう世界を、不幸な人々にちらつかせてはいけない。
最悪、君はいいとしても、彼らにとってそういうものを見せられるのは、苦痛以外の何ものでもない。
他に妹が付き合っていた不幸な人。
お母さんが趣味ばかりやっていて、一切家事をしない家庭に育った高校の同級生。
いつも思っていたのは、不幸な人と付き合って、その不幸に寄り添うのはいいんだけれど、なんで一緒に堕ちて行くんだろう…?
自分まで一緒に堕ちて行って、なんか助けてやれてんのかな?
と疑問に思い、なんかこの人だけ家族の中で違う人。みたいに不幸なオーラ満載だった…
で、しかたがないので、いつも妹に合わせて、なんとなく不幸そうに振る舞った。
不幸な人に寄り添ったとしても、自分も一緒に堕ちて行く必要はないんでは?
ていうか不幸力が強すぎて、知らないあいだに不幸に引きずり落とされていくんである。
誰も不幸な人と関わりたくないよね。普通。
か、不幸な人見て、あなたかわいそうね。とせせら笑って優越感を抱く。
とりあえず、ここ数年、ずっと不幸の中に閉じ込められていて、窒息死しそう。
不幸ガスに満たされて中毒死する。
とりあえず、今、お姉さん夫婦が住んでいる団地に、追い出したい家族が3つあって、そのひとつは先月出て行った。
もう一つは、今年度一緒に班長をやる。次にこの家族を追い出す。
子育てしながらやるので、つまり、こういう仕事を産まれた赤ちゃんに仕込みながらやっていくので、奥さんはさぞかし苦痛であると思うけれど、これもこういう子どもの子育てであると理解し、付き合ってもらいたい。
つまり、奥さんが自分でやれば、一瞬で追い出せるんである。
まあ、子育て、教育っていうのはそういうもんだよな。
先生がやれば一瞬で出来る。けれど、それを生徒ができるように教えながらやらせなくてはいけない。
これができずに自分でやってしまう人は、教育者には向いていない。