彼女が松山の短大に勤めていた頃、同僚だった性同一性障害の女性。
この人は、大学の先輩でもあるが、この人の生い立ちなんかも、以前、ブログに書いたことがある。
親の借金を返すために、自分が犠牲になって身体を売り始めた。
そして、そういう才能があったんだろうと思うけれど、それがどんどん組織化していき、家庭や社会的にいろんな事情のある女子をどんどん取り込んでいって、巨大な売春組織を作り上げた。
やっていることは、売春。という、それでも、犯罪と自由恋愛の紙一重の世界の話であって、それは、古くからあちこちに存在している世界である。
が、そこにいわば乱入してきて地を荒らしていった。
けれど、よくよく知れば、なんともかわいそうな事情が横たわっていて、しかも、女だけでやっているところもあって、裏側はなかなかに悲惨であるらしい。
男に傷つけられ、女だけの世界で生きていこうとする彼女たち。
身体を売るだけでなく、他の仕事などもやっているらしい。
ここも、男は立ち入ることのできないアンタッチャブルな世界である。
これを作り上げた本人は、彼女の努力によって、まともに更生できた。
が、はびこった悪は、そうそうすぐに消え去るわけはない。
罪を憎んで、人を憎まず。
これも、自分が彼女に会った頃に、教えてもらったことである。
けれど、自分にはこれがなかなかできない。
その人の犯した悪は許せないけれど、その悪を犯したその人のことは許す。
自分には、これがなかなかできない。
悪を犯したものすべてが悪い。
もしくは、その人を許しているから、その悪もすべて許してしまう。
その人を許しているから、その悪もすべて許してしまう。
このとき、正義とはいったいなにか?
彼の中で、正義とは、いったいなんであるのか?
正義。と、真に善いこと。
これはどうちがうのか?
悪を許す。これは、決して善いことではなく、悪に立ち向かえない、という弱さである。