昨日書いたように、TPPの交渉に参加することが、経済的意味よりも政治的意味のほうが大きいということは、政治家であるならば、誰でもわかることである。
が、当然、公衆には日本経済の再生や回復を目的として参加する意向であると言うしかない。
ここで、民衆がこの交渉の参加に反対する理由と、政治家がこの交渉の参加に反対する理由は異なっている。
民衆は、自身の生計の心配をして、農業等に携わっている人は反対をしているんであるが、政治家は、昨日書いたように、TPPに参加することはつまり、アジアの人々を日本に受け入れるということであり、これについて反対しているんである。
なので、反対を押し切って、トップが決断する、ということも当然必要なことであるが、反対する人を納得させるという努力もしなくてはいけない。
たとえば、農業に関して、日本はどういう交渉をしようとしているのか。そして、その交渉が成立すれば、どんな状況になり、日本の農業にどんな影響がでるのか。こういったことをシミュレーションして説明する必要がある。
そして、最悪失敗すれば、どういう風になるか?が、そのことのフォローはどんな風にするつもりであるか?
ここまで説明して、ようやく反対派を説得させることができるだろう。
反対を押し切ってやったところで、後々、こういったことの後始末をしなくてはいけないんである。
が、これをやろうとすると、時間も労力もかなりかかる。けれど、先にやるか、後にやるかの違いだけである。
結局、先にやっておいた方が時間も労力も少なくて済むんであるけれど、それをやろうとする人がいるかどうかの話である。
政治家に対しても同じである。
反対派をつくると、それはその後も根深く残っていく。
当然、みんなが同じ方向を向くということはいけないんであるが、まったく反対の方向を向くということもまた、いいことではない。
違う方向を向きつつも、総意のベクトルは一つの方向に向いていなくてはいけない。
こういった努力を惜しんでしまうと、後々に、後悔する結果になる。
丁寧な議論を重ね、慎重に決断していく。
大変そうではあるが、実はこれが一番の近道である。