社会から身捨てられた家族。


地域のヤクザに面倒を見てもらっている家。


そんな家に育っている子どもは、いったい何を思いながら暮らしているだろうか。



くやしいだろう。情けないだろう。



そして、その子が非行に走らないように、犯罪者にならないように、どういう思いで面倒をみているだろう。


モンスターペアレンツ。という存在が、教育の世界で取り沙汰されるようになったのはいつごろからだろうか。


学校の教員ではとても対応できない親たち。


とても普通の人間には関われない家庭環境。



彼女が彼の家に入って、彼を救い出せたのは、もちろん優秀な教員だったということもあるけれど、闇社会とつながりのある人だったからである。


正確に言うと、つながりとかそういう軽いものではなく、彼女のプライベートは闇社会にどっぷりと浸かっている。



だからこそ、信じられないような価値観の家に嫁ぎ、そこで嫁をやれたんである。


ただ、教員であるだけでは、ムリである。




そして、これまで闇社会の人間として、こういった社会に害のある家族の面倒をみてきた自分としては、教育や政治が、こういう家族を救える、そして、光の世界に送り出してやることができる。という可能性を知った。



クズのような親でも、子どもはまだまともだったりするような家庭もある。


が、たいていは子どもはヤクザになったり、また親同様にクズになったりする。


もしくは、ハングリーな子どもだったら、けものみちに引き込まれて、そこで成り上がろうとしたり。



すべてに見捨てられたものを、闇は引き受けていくしかない。


他に捨てるところがない。



暴力団を排除したり、罵ったりするのもいいけれど、そこそこに大人になったら、これぐらいのことは知っとけよ。


自分んちにとんでもない迷惑をかける家族を、その辺のヤクザが面倒みてたりするんだ。


罵るんなら、てめえが面倒みろよ。



普通の男にできることなんて、ほんとうにたいしたことじゃない。


自分の家族の面倒さえみれない。


偉そうにほざくな。




そして、自分らは、ぬくぬくと幸せに生きてるありきたりの男であることに感謝して、それを失わないようにがんばることだ。



幸せは、一瞬で失われる。


そういう危機感を常に抱くこと。


これが、ずっと幸せであれる秘訣である。