政治家志望の旦那さん。



男気にあふれていて親分肌である。


が、ほんとうに政治家になりたかったか。


その気質を見抜いた祖母と母親が、頼りにならない父親を尻目に、勝手に地元の有力政治家にしがみつき、双璧と言われる実力者の同級生と張り合っていただけである。



政治にまったく興味のない嫁と過ごすにつけ、自分はほんとうに政治家になりたいのか、疑問に思っていた。


自分は、そういう立派な人になるような人間的な器ではない。


今さら、社会で立派に何かをやれるような人間ではない。


そんなこと、別に嫁も望んでもいない。




俺は、俺が面倒みたいと思ったやつを、自分なりに面倒みていくことにする。


国の使命は、放棄する。同時に権利も放棄する。



自分の腕1本で、一からやってみたい。



俺がそういう使命を放棄したからには、嫁もそうなる。


もともと使命と引き換えに得られる権利になんか、まったく興味がない。




つまり、双璧の実力者に、委ねたわけですね。


なにかあれば、この人をサポートしていくことになるんでしょう。




ただ、舞台の上で役者として演じていく人生よりも、よっぽどいいね。




就任数日で失脚したどこかの政治家と、自分の姿が重なったのかもしれません。


立派な奥さんと、立派な立役者のもとで、立派な舞台に立てたとしても、立派でない自分は必ずいつかどこかで露呈します。


それを考えたら、ありのままの自分で生きていけるところで生きていくのが、一番幸せでしょう。


そういう彼についていく人は、大勢いると思います。



そういう生き方を選ばせた奥さんは、やっぱり立派な方だと思います。



ただ、自分がほんとに政治に興味なかっただけだと思うんだけどね。