
1983年作。
横浜を流れる中村川を男女デュオのダ・カーポが歌いながら舟で下ってくるところから始まり、浮草的というか、寄る辺ない感じで全編を貫く。
舟に自転車が山積みになっているほか、ずいぶん当時の横浜、とくに寿町近辺というのはスラムっぽかったのだなあと思う。今はドヤを改築したホテルに外国人バックパッカーがよく来ている。
ドヤが並んでいる実写の情景が写る。中村雅俊はそういうところで生まれて中学三年で父親を亡くした設定。
高台に建っている小さな家が主な舞台になるわけだが、玄関から入るとすぐ急な下り階段になっているという妙な高低差がある。安い借家である程度の広さを出す工夫だろうか。
中村雅俊が山下公園で有島一郎に声をかけられ、戦争でなくした妻と息子の代わりを探していて、息子になってくれと頼まれる。懐には三百万円ある。コーヒーが喫茶店で一杯250円の時代。
やはり身寄りのない兄貴分が川谷拓三で、心臓が悪い有島を生命保険に入れて同居する中村に寿命を縮めさせようという作戦。
サウナで思い切り蒸しあげておいて冷水に叩き込むドタバタが笑わせる。
今でいう「ととのう」そのまんま。
妻の代わりがミヤコ蝶々、娘の代わりが佐藤B作(誰かと思った)、息子の嫁が
三歳の男の子連れの中原理恵。
血のつながりのない同士が疑似家族になったのを機に情が移ってくるという展開をからりと描いて、子供の実の母の旅役者中尾ミエが舞台上で実の親より育ての親を選ぶ芝居をし、それがそのまま中村と中原の疑似夫婦と子供に投影されるあたり、じめつかず上手い。