
アレクサンドル・ソクーロフによるアンドレイ・タルコフスキーのドキュメンタリー。
ソクーロフにとって監督第一作を擁護してくれたタルコフスキーは特別な存在だったろうが、ことさらに感傷的にそういった事情を伝えるナレーションの類は(例によって)ない。
驚いたのは、音楽にアストル・ピアソラの曲を使っていること。エンドタイトルにロストロポーヴッチの演奏が使われているのは、タルコフスキー同様西側に亡命したロシア人芸術家という点で共通するし、タルコフスキーの葬儀でも演奏しているから不思議はないのだがピアソラとは、個人的に最も好きな映画監督がタルコフスキーで音楽家がピアソラなので、なんともいえない気分になる。
タルコフスキーとピアソラはおよそ共に故郷に容れられず苦労した芸術家という共通点があるわけだが、そういう意識があったのかどうか。
若い時のタルコフスキーの映画「出演」作の軽薄になれなれしく女の子に話しかける映像が見られるのが貴重。
アメリカかぶれでナンパ好きのスチュイーダ(格好つけ)だったという面影が見られる。後年の渋面が張りついたような顔からは想像しにくい。