
樹木希林の遺作にして初の外国映画出演作で、すでに亡くなった人の生きている姿をスクリーンに見るというのはそれほど珍しいことではないが、映画自体ドイツ版なまはげみたいな異様な扮装をした連中が出てきたり、ヒロインがドイツの家屋で能面をかぶって怪談を降りてきたり、その出方消え方がバカに唐突だと思ったら実はという趣向があったりなど、映画の内容そのものが日独にわたる死生観の交流といった趣があるのと交錯するのが不思議な感慨を持たせる。
さまざまな技法をこらして西洋と東洋、現実と幻想、生と死とを往来して見せようとしているのだが、画調がいかにもデジタルそのまんまのフラットな明るさで今ひとつグレーゾーンの玄妙な感じは出ていない。
主人公のアルコール依存症の扱いがどうも軽くて、そんなに簡単にやめられるものだろうか、特に日本みたいに飲酒とその結果の失敗に甘い国で、一升瓶をラッパ飲みなどしたらいくらでも手の届くところに酒があるのだし、連続飲酒まっしぐらではないかと気になった。