
最近珍しく35mmフィルムで撮影されているのはいいのだけれど、画面がひどく暗くて女性たちだらけの寄宿舎が舞台だというのにろくすっぽ顔が見えない。
ソフィア・コッポラといったら父親のフランシス・フォード・コッポラの「ゴッドファーザー」のゴードン・ウィリス撮影がドン・コルレオーネの眼が黒く潰れているといった具合に映画のルックを一変させた経緯があるけれど、顔全般が見えないというのはやり過ぎではないか。劇場では見逃したのでDVDで見たのだが、映画館では見えたのだろうか。
ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演で同じ原作を映画化したのが1971年作「白い肌の異常な夜」(原題は同じThe Beguiled=騙された者)で、撮影は暗い画面で有名なブルース・サーティースだが、それでももう少し見やすかった。
旧作はドン・シーゲル監督作とイーストウッド主演作両方でちょいちょい顔を出す女性恐怖症と性的な歪みが全開という感じで、それを女性監督がリメークするとなるとどんなアプローチをするのかという興味があったが、まあ女性恐怖症は後退してはいるけれど、では代わりに何があるかというとよくわからない。ストーリー(基本、前作と大差ない)からすると恐怖症が前面に出て当たり前ではあるのだから。