勝新太郎が監督(というか、製作主演を兼ねたトータルなフィルムメーカー)として本領を発揮したのはテレビ版の「座頭市」からだろうが、劇場版で市を監督したのはこれが最初。
冒頭、市が吊り橋を渡っているところで突然近くにいた老婆がいなくなっていまうのが見えないなりにわかる、というのと似たシーンがテレビ版にあった。
目が見えない主人公が心眼で見ている風景をなんとか捕まえようとする試みみたいなものを何度も繰り返している一つという気がする。
東宝公開ながらスタッフは撮影の森田富士郎はじめ大映のベテラン勢で、重厚な画面作りの一方でまだ「お約束」の部分は勝っているにせよ、勝新の自在な即興演出に対応すべく腐心している感じ。
傷ついた手で仕込み杖をふるうという趣向は「続・荒野の用心棒」からだろう。