第十四話
~吾は善き羊飼いなり。吾が羊吾が声を知る。~
わたしの平安、わたしの愛をあなたたちの許にとどめ、永続させる。
1 あなたたち一同にとって「今」というこの時は実に驚嘆すべき時である。なぜならば、あなたたちは自分の本来の霊的存在である「神の分霊(キリスト)」となるように自然に生長しつつあるからである。
2 あなたたちの肉体までがより高き次元の法則に同調するようになり、あなたたちはあなたたち自身の考え〔の具体化したもの〕ではなくなる。あなたたちは神の御考え〔の現象態〕となったのである。
3 何人(なんびと)も神の御考えを変更あるいは変化することはできない――これは大いなる真理である。神の御考えは〔必ず〕花開き、成熟するように、なっているのである。何ものもその進行を妨げることはできない。神の御考えを妨害しているように見えるものも実は妨害ではなく、体験を得るための一つの手段に過ぎない。
4 世を恐れてはならぬ、世はあなたたちを征服することはできぬ、あなたたちの裡(うち)なる神我の力が世を征服するからである。あらゆる状態を体験と見なすがよい、そうすればそれによって生長し強くなるであろう。又あなたたちは自分の力が外からではなく内から来ることを知るであろう。この力は常にあなたたちと共にある。それは神の分霊(キリスト)の力である。
5 この力が衰えることはありえない。あなたたちは裡なる神の分霊を認知することによってより高き次元の法則に至る道を開いたからである。
6 あなたたちが神の分霊を唯一の実在、久遠常在の実在、と認めるならば、あなたたちはすぐにより高き次元の法則の中に入る。この法則は、あなたたちがこの真理を認知することによって、あなたたちを通じて表現される。この真理を認めなければ、ひとびとのいわゆる自然法則なるものがあって、あらゆる人々がそれに隷従する。しかしより高き次元の法則がこの自然法則に取って代わると、それは自然を超越した力を発揮する。これがあなたたちの裡なる神我なのである。
7 神の分霊が天上天下の一切の創造者であり、この創造者によって一切は存在するようになった――ことを認知することによって、このより高き次元の法則を今認めるがよい。神とともにある言葉、神である言葉、この言葉があなたたちの中に現象化して肉体となったのである。かくて神の言葉はあなたの中において、そして又あなたたちを通して働き給う。これが久遠の生命、永遠なる生命、の真理である。
8 胸(ハート)の中で、愛と悟りとを以て、「貴神の御意志がわたしの中で果たされますように」というがよい。そうすれば神我(キリスト)があなたたちの中で働くようになる。神我は肉の中に顕現(あらわ)れた神だからである。
9 神我は肉の中に顕現れた神である。わたしはこのことを再びくり返して云う、そうすればあなたたちの心の中にこの真理が深く入っていく。この真理を認め、悟ることによって巨大(おゝ)いなる力があなたたちに勃興(おき)る。神我は今の今あなたたちの中に顕現している神なのである。
10 あなたたちの最奥かつ最高の思念は実は絶対者の意識の中にあるものなのである。
11 故に、思念が高ければ高い程それは大きな力を発揮する。貴神の御意志がわたしの中で行われますように。わたしの中に今顕現しつつあるのは神の御意志なのである。天上並びに地上のいかなるものも父の御意志を変えることはできない。それは至上絶対である。このことを悟った時、意識は絶対者の最高、最奥の思念を自覚する。貴神の御意志がわたしの中で行われますように。
12 この中にこそ天上と地上とにおける偉(おお)いなる力があるのである。
13 これこそが、あらゆる不調和、真実でないものすべてを融かし去る力である。
14 あなたたちの宝はあなたたちの心臓(ハート)のあるところに在る。その宝とは「わたしと父とは一体(ひとつ)である」という神我(キリスト)の真理を絶えず表出することでなければならない。
15 ではこの真理について深く考えるがよい。それはあなたたち自身の意識における集中光、あなたたちの内なる神我すなわち「わたしと父とは一体である」ことによってあなたたちの魂の中に表現されつつある光であるからである。あなたたちに父の全栄光、全権能、善愛を現させるのが父の御意志である。
16 わたしの云ったことを只の常套(きまり)文句のようにくり返してはならぬ。真剣な祈りの中で唱えるように、それをくり返しくり返し読むことである。
17 祈る時には深い敬虔の念が伴い、外部に関する関心を一切遮断しなければならない。そうして始めてあなたたちは内部に入る。祈る時、御自分の中であなたたちを創造(つく)り給うた神との一体を実感することである。
18 かくの如く会得した上でわたしの云うことをくり返すならば、多くの事柄を啓示して戴けるであろう。
19 あなたたちに内なる声が話しかけ、内なる視力が開かれるであろう。神のこの幕屋の中には、あなたたちをあらゆる制約から守る愛の黄金の沈黙、あなたたちを全能者の臨在の中へ連れて行く沈黙、がある。
20 かくて真実ならざるものの影は消え、真実なるものがあなたたちの中で自己自身を啓示する。
21 わたしは、短い期間ではあったがこの真剣な講義中あなたたちと席を共にしたことが大へん嬉しい。わたしをあなたたちより遙かにかけはなれた存在と見てはならないのである。
22 あなたたちは過去の出来事を記憶に移し込めているが、その「過去」のことが「現在」の中であなたたちについて廻っている。故に常にあなたたちと偕なる神の臨在、すなわち神我をハッキリと自覚するがよい。あなたたちは現在においてのみ創造するのができるのであって、決して過去や未来においてではない。久遠の「今」においてのみ創造を為しうるのである。
23 わたしの臨在の中で〔感ずる〕あなたたちの歓喜(よろこび)は永続させうるものである。故にわたしがあなたたちと偕なることを絶えず思念することによって、あなたたちはわたしについて学ぶことができる。
24 わたしの言葉はあなたたちにとっての生命である。わたしを信ぜよ、勇気を出せ。あなたたちの他を助けてあげたいという望みは、それが本当に利己的でなければ、既に成就しているのである。
25 助けてあげたいという望みは胸(ハート)から出るものでなければならない。その胸の中にあなたたちは臨在を発見するであろう。その臨在が出(い)でまし、あなたたちの中で、そして又あなたたちを通して御自身を現され、かくてあなたたちの望みは満たされるであろう。
26 助けてあげたいと思い、その思いが胸から来る場合は直ちに実現する。それはあなたたちの父が聞いておられたからである。このことをよく銘記して貰いたい。父はあらゆるものの僕であり給う。
27 あなたたちは裡なる神我によってあらゆる物事に勝利する。
28 神我は人類として顕現した神の久遠の子である。このことを把握した時、あなたたちは肉体の中にありながら、およそ能う限りの至高のものに到達することができる。
29 肉体の中で生きていると肉体の影響が認められるが、このような影響は悪いものではなく、物事についての深い理解を得る手段なのである。
30 あなたたちはそういう状態から生長して行くのである。それは丁度一粒の種子が地中に植えられると、生長し、花を開き、やがて又種子を生み出すようなものである。神のみ霊も又あなたたちの中でそれと同じことをなし給う。それは必滅、有限の状態より本来の不滅、久遠の状態へと生長する。肉体の中の生命はあらゆる生命全体より決して分離してはいないのである。
31 わたしの云ったことをよく学がよい、そうすればあなたたちの目から覆紗(ベール)が取り外されるであろう。人の子はあなたたちの分離信仰を克服すべくあなたたちと共に待期している。
32 神我の中には自由がある。その神我は神の久遠の子として人類の中に生きている。この巨大(おゝ)なる力はありとあらゆるものを調和させて一家族とし、各人全員の中にあるみ霊はその存在の本源を認識するようになる。
33 このことの認識の中に自由がある。内なるものは外なるものに表現(あらわ)れるのであって、これが、貴神の御意志が天におけるが如くに地にも行われんこと〔の真実義〕である。
34 人は幾度も幾度も人によって傷つけられ、自分自身の愚行によって十字架につけられて始めて彼は、神の分霊を通してすべてのものが「大いなる一体」であることに開眼する。
35 わたしは自分で話しているのではない。常にわたしの中に留まり給うのは父である。父はすべてのものの父であり、すべてのものの中にまします。わたしの中でわたしに代わって語り給うのは父である。父の中にある生命と同じ生命が子の中にあるのである。
36 現象我(パーソナリティー)感を自分の心から無くせよ、そうすればあなたたちは神の栄光、永遠に君臨する神の一人子を見るであろう。
37 現象我は外からつけている仮面にすぎない。現象我にしがみついている限りあなたたちは妄想の中に生きつづけるであろう。
38 余りにも多くの人々がイエスの現象我に捉われ、その結果彼らはすべての人々の中にある久遠の神我を見ることができない。だからこそわたしは、神の分霊が普遍なることをあなたたちに知らすため、それを闡明(せんめい)するために、来たのである。
39 あなたたちがあらゆる方法で病を癒す媒体となれるようにキリストと協力することがあなたたちの仕事である。
40 み霊のみが唯一の実在であることを悟がよい。このみ霊が人の魂と肉体とに活力を与え、およそ存在しうる唯一の力なのである。人は神の中に生き、動き、その存在を保ち、かつ神はあなたたちの中に生きている。神が〔あなたたちを通じて〕神御自身を表現しつつあるのである。このことを完全に知ることは、今の今あなたたちの生命(ラ)・生活(イ)・生涯(フ)における無礙・自在〔の実現〕を意味する。これが久遠の生命という真理に至る道である。「わたしは父の中におり、父はわたしの中にい給うことをあなたたちは知らないのか」。
41 神の赦しは自然に発露するものである。従って一切の誤謬(あやまち)はその久遠の愛の流れによって直ちに消え去る。故に、失望、悲嘆、自責によってこの神の賜物を妨げてはならぬ。
42 このことを悟ると、胸は開かれ、神の愛はその中へ流れ入り、やがてそれが肉体に現象化する。自分を責めて怨嗟に暮れ失望すれば、心は影に満たされる。しかし神の愛が満てば影の余地はなく、影は融け去る。
43 その唯一の条件は、神がその久遠の愛であなたたちを充ち満たすように、あなたたち自身を神に開くことである。
44 情深い者は祝福(さいわい)である。彼らの中にわたしは住むからである。
45 歓喜(よろこ)べ、あなたたちの報酬(むくい)が天に増えるからである。天とはあなたたち自身以外の或る場所のことではない。天はあなたたちの裡に在る。この酬(むくい)いは裡から増えるのである。あなたたちの酬いはすぐに現れ、あなたたちに従(つ)いて廻り、永遠に増大する。
46 あなたたちの中に世の光は輝く。故にその光を只の言葉だけではなく行為によって示すがよい。
47 言葉は教えを受けていない者の心を欺くことはできるが、行為は行為者本人の本性を明かす。〔故に〕あなたたちは話をするにしても感ずるにしても、胸(ハート)からしなければならない。
48 こうしてあなたたちは天にましますあなたたちの父を栄化するのである。天国はあなたたちの裡にある。「わたしと父とは一体である」――この真理が悟れた時、この真理に人は驚嘆する。
49 あなたたちは神の国民(くにたみ)――あらゆる国民の中でも、あらゆる国民の父である神と、その子神我すなわちあらゆる魂の中に宿るこの一人子に対して恭順する以外には、いかなる者にも恭順を誓わぬ国民――と云われてきた人々である。
50 わたしの弟子であるためには、あなたたちは普遍的でなければならない。神に対する以外にはいかなる恭順もありえないのである。その他の〔何ものかに対する〕いかなる恭順もあなたたちの中にまします父なる神の真の表現を制約してしまう。
51 故に、兄弟姉妹に、(例えば)「お前はたかが子守り女じゃないか」とか「君は馬鹿だ」とか云っただけでもうあなたたちは愛の律法に反する罪を犯しているのである。
52 あなたたちが天にましますあなたたちの父に祈る時、先ず第一に、あなたたちに不満を抱いている者を思い起こし、胸(ハート)の中で彼らと和解せよ。その時始めてあなたたちの父はあなたたちの祈りを聞き容れ給うであろう。
53 胸の中で和解して始めて自由となり赦しが得られるのである。そのとき、始めてあなたたちの胸はその真性を現し、愛なる父神はあなたたちを祝福し給う。
54 なぜなら、あなたたちの胸の中にこそわたしの父の家の入り口への鍵があるのであり、その父の家にはもろもろの恵みがあなたたちのために貯えられているからである。
55 〔自分を〕欺く言葉を〔祈りに〕加えてはならない。それは何にもならないのである――そのような言葉は父の領域(みくに)には届かないのである。本気でないもの、感じてもいないことを云うのは祈りではない。
56 祈る時わたしの言葉を思い起こすならば、あなたたちは赦しまた赦されて、心底(ハート)から、秘かに祈るようになるであろう。わたしはわたしを愛するすべての人々の胸の中に宿る神の力を知っているからである。
57 もしあなたたちが神の御意志を以て語るならば、あらゆることが可能である。従ってあなたたちの言葉が空しく返ることはなく、〔必ず〕その発せられた目的を成就するのである。では神の力がどこに宿っているかをよく考えるがよい。
58 あなたたちの胸(ハート)を清純(きよ)めよ、そうすればあなたたちの胸はわたしとともに語ることができる。なぜならば、わたしはわたしの父の御意志を行うからである。
59 多くの人々は自分の友人には親切であるが敵に対してはこれを憎悪する。しかしわたしには敵はいない、みんな友人である。わたしのようになるには、わたしと同じことをしなければならない。
60 あなたたちが真に愛するならば敵は一人もいなくなる。このことが十分に認識されると、それがどんなに真実であるかが分かるようになる。利己心と無智とが融け去って始めて真理である愛が顕現するのである。父の愛の家に敵が存在しうる筈がない。悉皆(あらゆるもの)が愛と平安の中に住まなければならない。さもなければあなたたちは〔父の愛の家の〕中にはいることはできないのである。天に入るには自分自身が天を持ってこなければならないのである。
61 神はその最も不孝者である子を愛し給う。故にあなたたちによくない事をする人々をも愛せよ。そうすればあなたたちは天にましますあなたたちの父のように成る。わたしの中で語っておられるのは父である。これらの言葉は、あなたたちがそれを記憶し、何時までも身に泌みて残るように記録されている。
62 〔わたしが〕言葉を発し、それをあなたたちが聞けば、その言葉は暫くは続く。しかしそれを記録しておくならば、その意味やわたしの話し方があなたたちの記憶によみがえる。
63 あなたたちが自分を愛する者のみを愛したところで、得るところは殆どない。しかし自分を嫌う者をも愛して始めてその酬(むくい)いは大きいのである。
64 愛は怒りを逸(そ)らす。無智の力はいかなる方法を以てしてもあなたたちを害することはできぬ。
65 あなたたちの同胞がたとえどのような〔低い〕地位にあろうと、彼に挨拶するがよい。彼は地上においては小さき者であっても天においては大いなる者であるかも知れないのである。
66 あなたたちに挨拶する人々すべてに挨拶を返すがよい。なぜならば、誠にあなたたちに告げるが、地上では小さくても天上においては大いなる人々が多いからである。あなたたちはこのことを今のうちに知っておく方がよい、神の栄光が或いは素朴な人々、或いは賢き人々を通して現れるのをあなたたちが見る時期がいずれは来るからである。
67 この行き方によって、天にましますあなたたちの父が完全であるように、あなたたちもまた完全となる。
68 施しをしても自分の善事をトランペットを鳴らして吹聴してはならぬ。むしろ右の手のしたことを左の手に知らさぬことである。
69 なぜならば、心(ハート)の底から為(し)たことは何であれ、あなたたちの父はそれを知り給い、豊かに報い給うからである。
70 天にましますあなたたちの父に祈る時は、外部に心を逸(そ)らす感官の扉(ドアー)を閉めて天に入らなければならない。
71 愛の黄金の沈黙の存在する胸(ハート)(複数)の核枢(ハート)においてのみ、祈りは真に聞かれるからである。
72 では、利己をすて、何ものにも捉われず、外部に属するものはすべて外部に任し、清純(きよ)き浄念を以て、自分自身の胸を通して神の胸(ハート)の中に入るがよい。
73 銘記するがよい、あなたたちの清純さはわたし、すなわち神の分霊(キリスト)の中にある。
74 子を愛する〔親の〕心臓(ハート)によって赦しはすでに〔子に〕与えられていることをよく知り、下僕(しもべ)のようにではなく、子が親にするように、赦しを求めるがよい。
75 弟子は幾度赦したらよいか、七度か、とペテロは聞いた。〔その時の〕わたしの言葉は七度の七〇度(たび)であったことが〔聖所に〕録(しる)されているではないか。それは永遠の赦しを意味する。天にましますあなたたちの父は、あなたたちが赦しを求めたその瞬間に、み胸(ハート)の中であなたたちを赦してい給うのである。あなたたちも又そうでなければならぬ。
76 父はあなたたちの胸の中にあるものを知り給い、あなたたちの必要とするものを知り給うからである。
77 故にこのようにして胸の中で祈るがよい。
78 「天にましますわれらの父よ、貴神(あなた)のみ名が崇(あが)められますように、あなたのみ国が来ますように。
79 あなたのみ意志(こころ)が天におけるように地にも行われますように。
80 わたしたちの必要とする食糧(かて)を、今日も明日も日々与え給え。
81 わたしたちに罪を犯した人々をわたしたちが赦しますように、わたしたちの罪を赦し給え。
82 わたしたちを誘惑に陥ち入らしめることなく、わたしたちを誤謬(あやまち)より救い給え。み国と力と栄光とは久遠、永遠に貴神のものであるからです。アーメン。」
83 この祈りを記憶し、胸の中でくり返すがよい。毎日それを唱えれば、力と英智と愛との根源が自分の中に入ってくるのに気付くであろう。父があなたたちを通して語り、あなたたちの中で、その愛と、英智と力とを以て御自身を顕現し給うであろう。
84 天にましますあなたたちの父はあなたたちが他の人々の誤ちを赦した時、すでにあなたたちの罪をも赦し給うているのである。
85 しかしあなたたちがそのみ胸(ハート)の中では赦していなければ、〔神の〕いかなる赦しも又ありえない。胸の中にこそ神と人との会い見る場があるのである。すべての人々を赦しきった時、あなたたちは神に正面きってお会いできるのである。
86 その時、もしあなたたちがあなたたちの同胞を胸の中で赦していなければ、〔神に対して〕何と申し上げるのであるか。
87 あなたたちが神に正面きってお会いする時、あなたたちは何を申し上げるのか。神はあなたたちの胸の中にあるものを知ってい給うのである。
88 又、み霊(たま)のことよりも世のことを大事にしてもならない。
89 み霊の室(複数)は永続するが、世の宝(複数)は果敢(はか)なく、移ろい易い。
90 世の宝をわたしは否定はしないが、み霊の宝は久遠不滅なることをあなたたちは知るべきである。
91 あなたたちが宝とするもののある処に、あなたたちの心情(こころ)もまた在る。
92 目は魂の窓である。では目を惑乱させたり病ましめたりせぬがよい。魂が暗(やみ)となれば肉体はその暗〔病み〕を表現(あらわ)すからである。
93 何を喰べ、何を飲み、何を着るかに思い煩ってはならぬ。これらのことより生命(いのち)の方が遙かに大事だからである。
94 生命の中にあらゆるものが存在する。天にましますあなたたちの父は善き扶養者であり給う。父はそのあらゆる被造物を扶養し給う。ましてあなたたちは只の被造物以上のものではないか。あなたたちは父の子でありわたしの弟子なのである。
95 あらゆるものは、すべてを創造(つく)り給うた父のおかげで生長する。父がその創造り給うたすべてのものの中にいますからである。
96 神はその創造物より離れ別れているのではない。神はその創造物すべての中にいまし、その創造物はまた神の中に生存する。もし神があなたたちの中にいますのでなければ、あなたたちは生きていることができない、神から離れた生命というのはないからである。もし又あなたたちが神の中に生存しているのでなければ、神は無限ではありえない。
97 あなたたちの父は、あなたたちに必要なものをすべて知ってい給う。そしてそれらはすべてあなたたちに与えられる。
98 先ず第一に、すべての源泉(みなもと)である神の国を求めよ、そうすれば、あらゆるものがあなたたちのものとなる。
99 唯ひとつの条件は、清純(きよ)き胸(ハート)であることと、受け容れる能力とである。
100 これらのわたしの言葉をよく検討するならば、なお巨大(おゝ)いなる真理がその中にあることをあなたたちは発見するであろう。
101 かくして純朴なる人々、賢き人々は父の愛の流れの中に捉えられ、父の有(も)ち給うすべてのものを表現(あらわ)す媒体となる。わたしのものはあなたのもの、あなたのものはわたしのものである。
102 わたしが常にあなたたちと偕(とも)にいることを銘記するがよい。そしてすべての者がわたしの許に帰還(かえ)るまでは、わたしの手と足の爪は依然として痛みつづけていることを知って欲しい。それはわたしが善き羊飼いであり、わたしの羊全部はわたしの声を知っているからである。
103 〔この講話が始まって以来今日まで〕大いなる業があなたたちの間で為(な)されてきた。あなたたちは気付いてはいないが、この大いなる業をあなたたちは大きく助けてきたのである。わたしがあなたたちの間にやってきたのはこの為(ため)だったのである。わたしはあなたたちを引きつけて一緒にし、わたしの臨在の中に入れ、あなたたちを囲んでいるもろもろの大いなる霊的力と結びつけた。そしてわたしの父があなたたちの廻りを守護(まも)っている。
104 わたしがこれまで懸(かか)ってきたこの同胞(きょうだい)〔原著者〕のことであるが、彼の意識は〔わたしの神懸かりによって〕その〔内容〕価値が増大した。これから先の彼の仕事は、これまでよりも偉(すぐ)れかつ大いなるものとなることにあなたたちは気付くであろう。
105 わたしは常にあなたたちと偕にいる。わたしがいまあなたたちを残し、遠くに去って行くと思ってはならぬ。わたしが常にあなたたちの中にいると念ずるがよい。
わたしがあなたたちにもたらしたわたしの平安、わたしの愛は、あなたたちと偕に永続する。
では沈黙の癒しの力の聖所に入ろう。わたしを向いているがよい。
沈 黙
父よ、感謝致します。これからわたしは貴神の許に昇天致します。
書記のことば
主が同胞(きょうだい)〔原著者〕より離れ去り給う時、燦然(さんぜん)たる光が現じ、妙なる楽の音(ね)と鈴の音とが響いた。その光は講堂全体に充ち満ち、巨大(おゝ)いなる力が感じられた。会衆一同は講堂より退出はしたものの、一語を発する者もいなかった。
主の語り給うたみ言葉には一切加除を施していない。全くみ言葉のままである。主が今尚われわれと偕にましますという事実の、まことこれはひとつの実証(あかし)である。 完