第五話 

~吾生くるが故に汝等もまた生くべし~ 

吾が平安、吾が愛を、吾汝等にもたらす。
吾生くるが故に汝ら吾が内に、吾また汝らの内に生くべし。これ久遠の生命なり。

1 人生には恐れる必要のあるものは何ひとつない。すべてを父なる神に全託して耐え忍ぶ がよい。あなたたちの中にもいろいろと恐怖している者が多いが、それは内在の神我(キリスト)を自覚しないからである。

2 恐怖に満たされるとそれがあなたたちを動揺させてしまう。そのため屡々間違いをおこし自分の生活(ライ)・生涯(フ)に悪影響もおこしかねない。しかし何もそれが大変だというわけではない。なぜなら、生命(ライフ)が唯一無二の実在であり、結局すべては正しい方向に動いていくからである。

3 しかし又恐怖せずに耐え忍んでおれば、父なる神があなたたちの中に着座され、わたしも父なる神と同座し、あなたたちを今すぐ自由にする。

4 あなたたちは神の中に生き、神はあなたたちの中に生きてい給うことを知るがよい。外側というのは無いのである。神のましまさぬ処とては無いのである。この真理が本当に解ったとき、あなたたちはあらゆる場所において四六時中安全である。

5 鳴呼(ああ)、あなたたちの中に、そして又あなたたちを通して現に生きてい給うのが神であること、かつ又父なる神おんみずからが、御自分の意識、生命、智慧が、その無限の英智を以てあなたたちの中に、そして又あなたたちを通して絶えず自己表現しつつあることをあなたたちに理解させることができたら、とどんなにわたしは願っていることか。この驚嘆すべき真理を悟りさえすれば、あなたたちは神の在(ましま)さぬ処といっては無いことを知るであろう。神は遍在し給う、到る処にましますのである。あなたたちが何処にいようと、また其処にも神はましますのである。

6 力の秘訣はあなたたち自身の意識の中にある。なぜならば神の意識、神の智慧があなたたちを通して御自分を示現(あらわ)して、あなたたちを神の息子、神の娘とし給いつつあるからである。

7 肉の感覚を沈黙させるがよい、そうすれば裡(うち)なる神我(キリスト)があなたたちの果敢なき肉体を占領する。肉の感官の方が活発であると裡なる神我は沈黙してしまう。

8 恐れるべきものは何ひとつないのである。故に、耐え忍び、父なる神をしてあなたたちの為に語らせるがよい。なぜならば語り給うのはわたしの裡なる父神であるからである。わたしみずからは無(ゼロ)である、しかしわたしの中に宿り給う父なる神は全てであり給う。父なる神はわたしを知り給い、わたしは父なる神を知る。わたしは父なる神を知るが故に、父なる神はわたしの中において、わたしを通して語り給う。かくしてわたしは父なる神の平安と愛と癒しと英智とをもたらす。

9 父なる神は常にわたしの中にあってあなたたちに御自身を啓示し給いつつある。なぜならば『わたしは生命である』からである。わたしは生命、太初(はじめ)にありし言葉である。

10 多くの人々がわたしを人類の救い主として受け容れることを拒んできた。しかしわたしは生命である、唯一無二の実在たる父なる神の生命が子の中に実存しているのである。

11 わたしは、愛と力と英智と久遠の生命とにおいて父なる神を示現(あらわ)した。わたしはわたしを遣わし給うた父なる神を惜しみなく与えるために来る。これこそが人類の救いである。

12 わたしは肉の身を以て語るのではない。神の意識を以て説くのである。神の中にこそわたしは久遠に住む。今あなたたちに語っているのはわたしの裡なる父である。

13 あなたたちがわたしの言葉を受け容れるならば、あなたたちは無礙、自在となる。『現に生きてい給う』父なる神がわたしを遣わし給い、この父なる神の故にわたしが生きているように、わたしを食するものも又誰にせよ、わたしの故に生きるであろう。

14 わたしを食するとは、わたしをあなたたち自身の中に連れて入れること、あなたたち自身の中にわたしが居ることである。そうすればわたしはあなたたちの中に居り、あなたたちはわたしの中に居り、わたしたちすべては神の中に居るであろう。

15 わたしは常にあなたたちの胸(ハート)の扉を叩いている。あなたたちは其処で辛抱強く待っているわたしに気付くであろう。胸と心との扉を開くならば、わたしは中へ入り、永遠にあなたたちと偕に住み、あなたたちはわたしと偕に居るであろう。

16 これは天より下るパンである。このパンを喰べる者は永久に生きる。

17 わたしは生きている。わたしの為(し)た約束は父なる神のお言葉である。故にあなたたちは永久に生きる。なぜならわたしは生命なるが故にわたしには死がないからである。

18 多分あなたたちの中には、わたしの語ってきた事をまだ把握せずにいる者もいるであろう。そのような人はわたしの言葉につまずく。

19 人の裡なる神のみ霊が神我(アイ・アム)である。旧約聖書を読めば、モーゼが燃える柴を観、その中からみ声が出て神我(アイ・アム)と称し給うた条(くだり)に気付くであろう。〔出エヂプト記3章1-14節参照〕。これがもろもろの予言者に与えられ、大衆に伝えられた力の秘語である。大衆はそれを口にはしたがそれ〔の本当の意味や偉力〕は知らなかった。しかし知った人々は予言者たちの英智の中に入りそれを吾が物とした。

20 人の裡なる神霊(みたま)が神我(アイ・アム)である。わたしはみ霊(たま)である。み霊はその出で来たった本源に昇る。生命を与えるのはみ霊である。肉体それ自身には何ら生命はない。わたしがあなたたちに語る言葉は霊であり、生命である。

21 わたしは天より降って肉の世に入り、それに生命を与える生命のパンである。

22 天とは一ヶの場所のことではない。それは裡なる意識、裡において実在を直接知っていること、である。この実在についての直接知が、下の地に対して上なる天と称されるものである。

23 地とは内界(複数)の化現に過ぎない。それを生動させている生命は裡より来たり、この生命が外に向かって自己自身を表現する。

24 裡なる意識が天であり、肉体を通じて地上に自己自身を表現しているのである。あなたたちはわたしと一体である。そのことをわたしは知り、あなたたちも今では知っている。わたしは天にいる。あなたたちも又、わたしをよく理解すれば、即時に天にいるのである。

25 わたしはあなたたちの中に在(あ)り、あなたたちはわたしの中に在る、故に、あなたたちがわたしの体を食し、わたしの血を飲むならば、あなたたちはわたしと偕にいるであろう。なぜならば、わたしはあなたたちの中に在り、あなたたちはわたしの中に在るからである。かくしてあなたたちはわたしを忘れることはないであろう。

26 わたしが裡なる生命から話すために、わたしの言葉は誤解されてきた。私が生命から話すとき、わたしは肉体のことを云っているのではない。なぜなら肉体は何らこの事にはあずかり知らないからである。

27 わたしの霊体(*11)は実態(エッセンス)であり、完全である。肉体を維持するのは霊体のみである。あなたたちがわたしを、即ちわたしの生命(いのち)を飲むならば、わたしをあなたたちの中に摂取することになる。わたしの身体を、即、わたしの英智を食するならば、わたしの英智があなたたちの中に生じ、わたしは常にあなたたちと偕に居り、かくてあなたたちはわたしを忘れることはないであろう。

28 わたしの教えはわたしから出たものではなく、わたしの中に住給う父なる神のみ教えである。父なる神がわたしに代って説き給うのである。

29 今やあなたたちはわたしのことが解った。わたしが何処から来たかを知った。わたしは自分から買って出て来たのではなく、父なる神に遣わされて来たのであり、父なる神に偽りはない。わたしがあなたたちに示し現しているのは父なる神である。わたしは父なる神の御意志を行い、父なる神の御意志はわたしの中で果たされる。

30 わたしは父なる神を熟知している。なぜならわたしは父なる神から来たのであり、父なる神がわたしを遣わしたからである。しかしわたしたちは一体である。『父とわたしとは一体である』。

31 地上のあらゆる人々にわたしが父なる神を啓示する時が来るであろう。そしてもはや悲しみも歯軋(はぎしり)も無くなるであろう。

32 あらゆる国民(くにたみ)に歓喜(よろこび)が生まれるであろう、なぜならば彼らは天に在す『われらの』父、愛と英智とにましますわれらの父に関する真理を知るからである。

33 すべての者が互いに互いを赦し合うであろう、なぜなら赦しによってのみあなたたちは父の家の歓びに入ることができるからである。

34 この本当の意味があなたたちに解っているだろうか。父の家にいる歓びをあなたたちは今迄に、感じたことがあるだろうか。一切の真実ならざるものより人を解放する聖なる愛をあなたたちが表現し得て始めて父なる神の至福、即ち神我(きりすと)はあなたたちの中に示現するのである。今、しかもまた永遠に、父の家の中に居る歓びを、今こそあなたたちは体解(たいげ)し得たであろうか。

35 そしてすべての人々が天より降(くだ)る生命のパンに毎日預(あず)かるであろう。このパンこそ真(まこと)のパン、即ち生命である。『そしてわたしはその生命である』。

36 わたしは前にあなたたちに『互いに赦し合うべし』と云った。また『互いに愛し合うべし』とも云った。

37 わたしの言葉は真である。なぜならば父なる神はすべての人々を久遠の愛もて愛し給うからである。このような愛を以ってあなたたちは互いに愛し合わなければならないのである。

38 父なる神の愛は偉大であり、強力であり、圧倒的である。この父の愛があなたたちの中にあれば、父の歓びがある。父の愛と平安が常にあなたたちの中において君臨せんことを。

39 なぜならば、「この愛の君臨が実現したとき」、あなたたちの一切の意志、想念、頭脳がこの聖なる不可視の神霊(みたま)によって導かれ、一切の真理を知るようになるからである。

40 天上において為されている神のご意志が、地上においてもまたあなたたちを通じて為されるであろう。わたしの父の御意志はあなたたち自身の胸の中において行われるのである。

41 わたしの意識という内界(複数)は外界に進出し、肉の感官は沈黙させられ、神我(キリスト)が世を贖(あがな)うためにその地位を世に占(し)めるであろう。

42 あなたたちの現状は訓練と〔神我(キリスト)〕展開の状態である。大人になる前に先ず子供の課程を学んでいるところである。

43 今あなたたちは種々の段階を通過しているところであって、いずれ、全能にして父なる神の愛によって満たされた裡なる神我を、胸(ハート)と心の中で真に自覚する境地に到達するであろう。

44 わたしの話しに耳を傾け、わたしの言葉を読むことである。そうすれば読む度毎にそれは新しい意味を持つであろう。わたしはあなたたちが悟り始める迄多くの色々な方法で真理を繰り返す。

45 その時あなたたちはわたしの智力によって満たされるであろう。わたしの言葉(複数)は生命である。あなたたちの日常生活においてわたしの言葉はあなたたちの胸(ハート)と心とを強くするであろう。

46 静かなる時心を静めてそれを読むがよい。そうすれば、わたしの言葉はあなたたちに留まるであろう。

47 わたしが語る時、わたしが真理を語っていることをあなたたちは知っている。なぜならあなたたちはわたしの言葉が真理であることをあなたたち自身の中で感じているからである。わたしの語る言葉はひとつひとつが真理である。しかしその言葉をあなたたちは必ずしも守ってはいないことをわたしは知っている。

48 あなたたちはわたしを見、わたしの話を聞き、わたしはまた父なる神がわたしに与え給うたものをあなたたちに与えたからには、わたしの言葉が忘れ去られることはないであろう。わたしの言葉はあなたたちに留まり、わたしの言葉を念ずる時、わたしをも念ずるであろう。

49 あらゆる人々がわたしの許(もと)にやってくる、なぜならば、肉体に死することは主と偕に生きることだからである。

50 すでにあなたたちはこれまでよりも広い知識の中に入りつつある。これらの言葉を聞くあなたたちは祝福(さいわい)である、なぜならば、あなたたちが今では熟知するところとなった多くの事柄に無智のままで他界した人々が多いからである。

51 あなたたちには見えないがわたしの話を聞いている多くの霊人は、生命が久遠であるという真理を悟らないままに地上の肉体より他界してしまったのである。生命は死と称される出来事によって中断されることはない。生命や誕生や死には中絶はないのである。

52 生命には生誕も死亡もないことを銘記するがよい。あなたたちの廻りや上にいる不可視の霊人達は、今では、生命には区切りのないこと、肉体より他界した人々とまだ肉体を占めている人々との間には分離もないことを知っている。これが神我である。生命がわたしである。常にわたしの許に留まっておられる父なる神は又あなたたちの中にも常に留まっておられる父なる神でもある。父なる神には死も分離もない。

53 あなたたちは金剛不壊(ふえ)の霊的存在なのである。この真理は病と死とに対するあなたたちの精神的態度全体を変える。

54 『自分は一体何なのか?』――この質問を十分に納得がいくまで自分自身に課するがよい。それは適切な問いである。故に自分の胸(ハート)と心とを奥深く探ることである、そうすれば答えを見出すであろう。

55 『神いますが故に汝等もまた生存す』。あなたたちとわたしと父なる神との間には何らの分離もありえない。なぜならばわれわれはすべて一体であるからである。分離はないのである。なぜならば神の外廓なるものはないからである。神には区切りはないのである。

56 父なる神があなたたちの中において個別化し給うたが故に、あなたたちは個々の人間になったのである。かくしてあなたたちは父なる神の生命を示現(あらわ)しているのである。

57 今あなたたちが存在するのは、神があなたたちの存在する処にましますからである。神の宇宙経綸(けいりん)の中であなたたちの占める地位は他の何人もこれを満たすことはできない。

58 わたしは神に遣わされ、命じられた業を為すために来ている。

59 もろもろの状態に逆らうことなく、反ってそれから教訓を学び取るようにするがよい。

60 あなたたちの肉体の感官がこの真理に対してあなたたちを盲目にしている、それは中を観ずに外を見るからである。

61 中を観れば神我(キリスト)を見い出す。父なる神と一体となることによって一切の物事を霊化し、混乱は消え去る。神我があなたたちの中に臨在することによって一切(すべて)が本来の相(すがた)となる。

62 父なる神が導き給うが故にわたしは自分の力を賢明に用いる。故にわたしの愛はすべての人々に及ぶ。父が愛であり、その一切の被造物を愛し給うことを知っているからである。ただ肉の感官のみがあらゆるものに対するわたしの愛と平安とを理解しえないだけである。

63 あなたたちとわたしとの間、そして又あなたたちとはかなき肉体より抜け去った人々との間、には何らの分離もないことを銘記するがよい。

64 唯一の障壁は恐怖である。この恐怖は心の中にしかないのであって、本来実在ではない。それは、裡なるもの〔神我(キリスト)〕を知らず、外なるものに反応して自分〔偽我〕の心で造りあげたものである。

65 父なる神は永遠に君臨し給い、わたしを通してすべての敵を征服し給う。その最後の敵がいわゆる死の恐怖である。この恐怖さえ無くなれば、すべては内在の神我(キリスト)によって更新されるのである。

66 子もまた父なる神に従う。父なる神が全ての全てであるからである。わたしみずからは無である。み業を為すのはわたしの裡なる神のみ霊である。

67 この心構えを持ち続けるならばあなたたちはわたしを受け容れることができる。常にわたしの中に留まり給う父なる神はこの心構えを通してあなたたちの中にもまた留まり給うのである。わたしのために為(し)ておられる事を父なる神はあなたたちのためにも為し給う。

68 何故ならば、あらゆる善きものが久遠に存続しており、この善きものがあなたたちを取り巻いているのであって、それは決して変わることも、無くなくなることもありえないからである。

69 あなたたちの肉の目が〔相対的な〕善悪を認めてしまうからこの〔絶対〕善が損なわれるのである。唯一の真実なるものは、実存するものであって実存しないものではない。神のみが実存するすべてである。神の外に生きている存在はない。神が天と地と、その中およびその上に生存する全てを創造り給うたのである。

70 わたしの言葉は善である。それは善き実を結ぶ。この言葉はわたしを遣わし給うた神より来るが故に永遠に存続する。

71 何人であれこの言葉を聞きながらそれを遵守(じゅんしゅ)しない者からは、この言葉は取り去られる。それは丁度、道端に植えられはしたが根づかなかった種子のようなものである。

72 わたしの裡なる王国の言葉を聞き、一応はすぐに受け容れ、歓びはするが、それもつかの間で、やがて折角の言葉も根付くことなく、そのうち忘れ去られてしまう。そのうち何か面倒なことがおきると、折角の根も浅いために死んでしまう。それは石のように固い土地に落ちた種子のようなものである。

73 〔真理の〕言葉を遵守しなければそれはあなたたちから奪い去られてしまう、魂の中に根をおろしていなかったからである。〔真理の〕言葉は魂の奥深くに浸透し、そこで根を下ろし、信仰によってしっかり固定しなければならないのである。

74 〔真理の〕言葉とは『わたしは生命である』である。わたしは一切のものを支配する。天上天下における一切の権能がわたしに与えられている。

75 富もまたその世俗的欲望と惑(まど)わしの故に〔真理の〕言葉を窒息させかねない。富は成長を止める薊(あざみ)である。わたしのこの言葉について真剣に思いを致すがよい。

76 あなたたちは〔真剣の〕言葉を聞き、今やそれを理解した。故にそれは良き土地に生えて実を結ぶ。あなたたちは人によって或いは百、あるいは六十、あるいは三十〔の果実〕を産み出す良き土地であるからである。

77 われわれが前回集まった時に話したように、あなたたちがわたしを撰んだのではなく、わたしがあなたたちを撰んだのである。

78 わたしの種子をあなたたちの中に植え、あなたたちがわたしの言葉を受け容れ、その言葉が実を結ぶ。あなたたちは人によって或いは百、あるいは六十、あるいは〔三十の果実〕を産みあなたたちの中に宿るならば、わたしはあなたたちの中にあり、あなたたちはわたしの中にある。

79 わたしの言葉はあなたたちの中のパン種子である。それがおのずとあなたたちの中で働くがままにすれば、あなたたち自身がパン種子になる。

80 わたしの言葉はあなたたちの中で湧き上がるように成長するであろう。それは永遠の生命の泉であり、あなたたちの魂と肉体とに漲(みなぎ)り、われわれは、一体となって呼吸をし考えるようになる。かくてあなたたちはわたしの肉を喰べわたしの血を飲み、かくて又あなたたちは常時わたしを念ずるようになるであろう。

81 世の礎石(いしずえ)が置かれる前よりあなたたちの中に隠されていた秘密をわたしは引き出した。

82 あなたたちの仕事は太初(はじめ)から自分で引き受けたものであり、あなたたちの進む一歩々々は正しい。その〔歩みの〕週末は恐らくあなたたちには見えないであろう。そのために疑惑がおこる。しかしあなたたちが疑惑しているからといって、それが〔神の〕創造計画を罷(や)めさせ、変更させることはできない。

83 決して見掛けに落胆してはならない。常に善なるものを見ることである。すべては終(つい)には善なるものに到達するのである。〔神の〕久遠の計画は果たされなければならぬことを知るがよい、なぜならそれが神の御意志だからである。その背後に存する栄光と目的とはすべての人々に対する愛と平和と調和と善意とである。

84 あなたたちはこの事業を援(たす)けるために現在地上にあるのである。それがあなたたちの処にわたしがやってきた理由である。わたしは常にあなたたちと偕にあり、あなたたちを援助している。この事は恐らくあなたたちには十分には解っていないかも知れないが、わたしの言葉(複数)は真実である、何であれ信じてわたしに求めるものはその通り実現する。

85 神とは人間の姿を取った愛であることを知れ、愛が敗れることは決してなく、愛はすべてのものを新たならしめる。

86 わたしがイエスの口を借りて語った者〔キリスト〕であることを信じてわたしを受け容れるならば、あなたたちはわたしの名において多くのことを為すようになるであろう。なぜならば、わたしは常にあなたたちと偕にあり、わたしを遣わし給うた父なる神はわたしと偕にいますからである。

87 現に生きているのは父なる神である。父なる神がわたしの中で生きてい給う故にわたしは生きている。あなたたちも又父なる神の故に生きているのである。わたしは父の中に生き、父はわたしの中に生きている。わたしはあなたたちの中に生き、われわれはすべて父の中に生きている。

88 地上における何人をも父と呼んではならない、天に在(ま)します御方(あんかた)こそが父だからである。

89 神の子を信じないで拒否する者は自分自身を知らない者である。

90 わたしとわたしの父なる神とを知れば知る程あらゆる被造物の中に存在する絶妙なる英智と秩序とに対するあなたたちの尊敬は大きくなるであろう。

91 石や岩までが神の創造の不思議さを現している。露の一滴々々が神の法則に従い、その久遠なる目的を果たしている。

92 〔あなたたちが我(が)をすてて〕太初(はじめ)にあった言葉に心を開くにつれて、あなたたちは更に高度の法則(複数)を認識し、それらの法則と調和をするようになる。

93 あなたたちはいろいろな誤ちを犯しはするが、それが身を助ける体験となる。恐れるな、いたずらに過去を悔やみもするな。強大なる久遠の愛が到る処で、恒に今、愛自身を顕現(あらわ)そう、顕現そうとしていることを知れ。

94 わたしは人の裡なる光りである。わたしに従う者は闇を歩くことはない。わたしは世の光りである。

95 わたしは父なる神の栄光をすべてあなたたちに示現する。わたしが来たのはその為である。

96 パリサイ人達は、「君は自分自身について証言(あかし)しているが、君の証言は本当ではない」と云った。

97 彼らは神のみ霊を知らず、又わたしが何処より来り何処へ行くかも知らなかったのである。しかしわたしは自分が何処より来り何処へ行くかを知っていた。

98 わたしは自分が神より来たことを知っていた。神がわたしを世に遣わし給うたことを知っていた。世間がわたしを拒むこと、しかしわたしを拒むことによって世はわたしを受け容れざるをえないことをわたしは知っていた。しかし断っておくが、わたしを拒むことはわたしを遣わし給う父なる神を拒むことである。わたしは父なる神の生命、人の中に御自身を顕現(あらわ)し給う神の意識である。

99 人は肉に従って裁くがわたしは何人をも裁かない。しかし一旦裁くとなればわたしの裁きは正しい、なぜならわたしは一人ではなくて父なる神が常にわたしと偕にいますからである。

100 わたしは自分自身についての証言(あかし)はしない。しかしわたしを遣わし給うたわたしの父なる神がそれをなし給う。故にあなたたちがわたしを受け容れるならばわたしの父なる神をも受け容れたことになる。〔父とわたしとの間には〕分離のないことを知るがよい。そうすればあなたたちはわたしの事もよく理解(わか)るようになるであろう。

101 神我(キリスト)は、人々の〔神我の自覚〕の展開程度に正確に応じてその必要を満たす。

102 かくしてあなたたちが信じさえすれば、わたしは必ずあなたたちを助ける。なぜならば、父の愛はあらゆる必要なものを満たし、あなたたちが求める前に父はあなたたちの必要とするものを知ってい給うからである。

103 あなたたちが情と魂と心と力とのすべてを尽くして愛するならば、わたしはあなたたちの中に君臨する。そうすればあなたたちにとって何ひとつ不可能なものは無くなるであろう。

104 わたしの裡なる父の愛があなたたちの中に表現されているのである。その愛の中には一切の物事を成就する智慧と力と英智とがある。

105 霊体(*11)は完全なる質料である。従ってあなたたちの物質対は〔本来は〕そのあらゆる部分が唯一の実在である神我(キリスト)に従って機能(はたら)くものであることを間違いなく、理解するがよい。

106 もし悩みや苦しみがあっても、心穏やかにしているがよい。そうすればわたしがあなたたちの生命の中に君臨する。なぜならば神はあなたたちの中で働いておられ、神のお働きに失敗はありえないからである。従ってあなたたちの苦悩は無駄にはならない。あなたたちは神我の力を感じ、悩み苦しみは無くなるであろう。わたしと偕であれば、あなたたちの軛(くびき)は軽い。

107 父なる神はわたしと偕にあなたたちの生命の中に、肉の身の中にさえ、住み給う。故にあなたたちの中にある言葉によって生きよ。あなたたちを愛するわたしはあなたたちの為にわたし自身を与えた。わたしの居る処にあなたたちもまた居るであろう。

わたしの愛と平安とをあなたたちに留める。

書記のことば 
主が去り給う前に、何時(いつ)もの明るい光りが拝され、主の両側には二人の弟子、片側にお一人宛(づつ)顕われ、御三方が退去されるにつれて楽の音と歌声とは次第に消えていった。聴講者達はこの不思議な体験に魅せられ、暫しの程はただ座ったままであった。