ここ数日、イタ電がかかってくるようになった。

出ると、切れる。



イタ電をかけてくる番号は、ふたつ。



・吉田くん(仮名)のケータイ1つ目

・非通知設定



なんとなく想像がついたけど、

まさかこの年齢になってイタ電の被害にあうなんて夢にも思わなかった。



あえて、吉田くんの2つ目のケータイに電話をかけた。


1コールくらいで、出た。

ただし、出たのは、吉田くんではなかった。



「お久しぶり、まっこさん。」


「お久しぶりです、○○さん。」


「もう聞いていると思うけど、私、吉田くんと結婚したの。」


「・・・おめでとうございます。」


「単刀直入に聞くけど、まっこさんは何故今かけてきたケータイの番号を知ってるの?」


「この間久しぶりに会った時に、吉田くんに教えてもらいましたから。」


「どういうつもりで他人の旦那に会ってるの?」



・・・めんどくさい。

頼むから、私を巻き込まないでよ。

と喉まで出掛かったのを、ぐっとこらえた。

胸がムカムカする。



「この間会うまで、吉田くんが結婚したことを知りませんでしたから。

 その後、先週1回会いましたけど、もう会うことはありません。

 誤解を招くようなことをしてしまい、申し訳ありませんでした。」



彼女は、かなり私に噛み付いてきたかったようで、

こちらがあっさりと謝罪の言葉を述べたために、がっくりきたようだ。



「あっそう、それならいいのよ。それじゃ。」



私が返事する間もなく、電話は切れた。



その後、吉田くんの1つ目のケータイから電話が何度もかかってきている。

今も、鳴っている。


今回は、おそらく吉田くんがかけてきているのだろうと思うけど、

もう電話には出ない。



自分の男のケータイにかかってきた電話を勝手に取る女って、どうなんだろう。

少なくとも、頼まれた時以外私はそんなことしたことないし、されたこともない。


まぁ、いいか。

今後一切、私には関係のない人たちだ。



さて、今夜も飲み直そう。